
必読ポイント
対象者:物流事業者(貨物自動車運送事業者、貨物利用運送事業者、倉庫事業者等)、不動産事業者、自動運転関連の技術開発を行う民間事業者(1社単独、または複数企業によるコンソーシアムでの申請が可能)。
目的:将来のレベル4自動運転社会実装を見据え、レベル2以上の自動運転車両の導入、対応する物流拠点の整備・改修、システム構築・改修、初年度の運行経費等の支援(補助率:1/2、補助上限:車両導入最大1億円など)。
公募締切:2026年8月7日(金)正午(12時)必着(※電子メールによる提出のみ)。
注意:正式な交付決定の通知が届く前の発注や契約は補助対象外となります。
国土交通省による「自動運転トラック実装支援事業費補助金」の二次公募が行われています。この制度は、物流業界が抱える深刻な人手不足や輸送効率の低下といった課題を解決するため、将来の「完全無人運転(レベル4)」を見据え、その前段として実証運行に用いる「自動運転システム(レベル2以上)搭載トラック」や、それに対応する「物流拠点・システム」の導入を強力にサポートするための補助金です。本記事では、補助金概要や注意点をまとめました。
第1章:高速道路とインフラ整備の実証が進む
日本の物流業界が抱える深刻な人手不足という課題。この課題解決の切り札として期待されているのが、高速道路等を走行する長距離トラックの「無人自動運転(レベル4)」の社会実装(※技術を実際の社会で運用すること)です。国や民間企業は新東名高速道路などでの自動運転トラックの自律走行を支援する実証実験を重ねており、今後は東北自動車道など合流車線の長さが短い箇所が多く、より厳しい道路環境での実証が予定されています。
また、自動運転においては安全に遠隔監視を行うことが重要です。このため通信ネットワークの高度化に向けた議論も活発に進められています。具体的には、映像の遅れや途切れを防ぐ最新の5G基地局の整備や、クルマと道路(信号機など)が直接やり取りするための専用電波のルール作りなど、自動運転を陰で支える「見えないインフラ」の整備が、国を挙げて進められています。
自動運転レベル
自動運転は、システムがどの程度運転操作を担うかによって、以下のようにレベル分けされています。
レベル1(一方向の運転支援)
システムが「アクセル・ブレーキ(縦方向)」または「ハンドル操作(横方向)」のどちらか一方を支援します。運転と周辺監視の主体は人間です。
レベル2(縦・横方向の運転支援)【※本補助金の実証で用いるレベル】
システムが「アクセル・ブレーキ」と「ハンドル操作」の両方を同時にアシストします。特定の条件下でハンドルから手を離せる(ハンズフリー)技術も含まれます。ただし、運転と周辺監視の主体はあくまで人間であり、周囲の安全確認や緊急時の対応は常に運転手(人間)が行う必要があります
レベル3(特定条件下での自動運転)
特定の条件下において、システムがすべての運転操作と周辺監視を行います。ただし、緊急時などシステムから要請があった場合は、人間が運転を代わらなければなりません。
レベル4(特定条件下での完全自動運転)【※本補助金が最終的に目指すレベル】
特定の条件下で、システムが完全に自動で運転を行うレベルです。周辺監視や運転操作はすべてシステムが行うため、車内に運転手が乗っている必要がありません(ドライバー・フリー)。ただし、決められたルートや道路、特定の速度や天候など、システムが安全に走れる限定的な条件下でのみ作動し、車外の離れたセンター等からの「遠隔監視」が行われます。
レベル5(条件のない完全自動運転)
場所や天候などの限定的な条件がなく、システムが常にすべての運転操作と周辺監視を行う、究極の自動運転レベルです。


第2章:事業の概要・必須要件と注意点
2.1 誰が申請できるのか
物流事業者(貨物運送事業者や倉庫事業者など)、不動産事業者、自動運転の技術開発を行う民間企業が対象です。1社単独でも、複数の企業が協力するグループ(コンソーシアム)でも申請可能です。
2.2 審査の前提となる4つの補助要件
本補助金を申請し審査を通過するためには、以下の4つの要件をすべてクリアしていることが前提となります。
- ビジネスモデルの構築:自動運転車両を活用して、輸送の効率化や輸送力向上につながるビジネスモデルを構築していくこと。
- 将来のレベル4技術提供:将来的に「レベル4」の完全自動運転技術を提供できる企業が参画していること。
- 持続可能な計画の策定:補助金をもらって終わりではなく、将来的な持続可能性を踏まえたビジネスプラン(計画)が作られていること。
- L2(レベル2)以上の実証運行の実施:物理的な事業環境として、以下の3点を満たしていること。
- 自動運転可能なトラック(セミトレーラ等を含む)を利用していること
- レベル2以上の自動運転が可能な自動運転キットを搭載していること
- 自動運転トラックへの切替拠点での「荷役作業」を行うこと
2.3 補助対象経費と補助額・補助率
補助率は1/2です(※かかった費用の半分が戻ってきます)。対象となる経費と1事業者(1グループ)あたりの上限額は以下の4つに分かれています。
- 自動運転車両の導入:車両の購入費や部品代、架装費など。上限は1億円(※車両1台あたりの上限は5000万円、最大2台まで)。ここで導入する車両は、上記の必須要件にある「レベル2以上の自動運転が可能なシステム」を搭載した車両である必要があります。
- 物流拠点整備・改修:駐車スペースやトラックバースの造成・舗装など。上限は1億円。(※1拠点あたりの上限は5000万円、最大2拠点まで)。
- 物流システム構築・改修:1人のオペレーターが複数台を監視するシステムや自動荷役機器との連携システムの構築費など。上限は1500万円。
- 初年度の運行費:燃料代、高速道路の料金、レベル2運行時のドライバーの人件費、積替え時の荷役にかかる費用など。上限は3000万円。
2.4 補助対象にならないケースと注意点
◆ 申請前・決定前の発注はNG:補助金の「交付決定(※国からOKが出ること)」の前に発注や契約をしてしまった経費は、原則として対象外になります。
◆ 身内からの調達に関する厳格なルール:システム開発などを外注せず自社(またはグループ内)で調達する場合、申請者自身の利益分を上乗せすることはできません。「利益排除」の考え方に基づき、人件費や製造原価のみで計算する必要があります。
◆ 他制度や過去事業との重複NG:この補助金で購入・整備する車両や設備と「同じ経費」に対して、他の国の補助金を重ねて使うこと(国庫補助金の二重取り)はできません。また本事業特有のルールとして、過去に同補助事業で採択されたことがある場合、過去と同じルートおよび車両での初年度の運行費は対象外となることがあるため注意が必要です。
◆ 消費税等:経費に含まれる消費税や地方消費税分は補助の対象外となります。
第3章:制度を活用するとどう変わる?
この制度を使うことで物流の現場はどう変わるのでしょうか。
例えば、自動運転トラックと遠隔監視システムを導入すれば、1人のオペレーターが遠く離れたセンターから複数のトラックを同時に監視できるようになります(1対多の運行)。また、拠点を改修して自動荷役システムを入れることで、人が手作業で行っていた重い荷物の積み下ろしがスムーズになります。
つまり、「運転手が乗らなくても荷物が安全に移動し、荷待ちの時間や積み下ろしの負担も劇的に減る」という、持続可能で効率的な新しい物流サービスを構築できるのです。

第4章:申請フローとスケジュール
公募締切は2026年8月7日(金)正午(12時)必着です。この章では、手続きで迷わないための全体の流れ(予定)とスケジュールを確認しましょう。
- 申請準備・提出:指定の書類(交付申請書、事業計画書、経費内訳、役員名簿など)を作成し、Zipファイルにまとめて必ず電子メール 〉 で提出します。
- 審査・交付決定(8月末頃~):審査を通過すると、まず採択の通知が届きます。その後、事務局と計画や金額の調整等を経て、正式な交付決定となります。
※【重要】…採択された段階ではまだ発注できません!必ず正式な交付決定の通知が届いてから、事業の契約や発注を行ってください。
- 事業実施と中間検査(12月~1月頃):計画通りに事業を進め、冬頃に事務局による中間検査を受けます。事業期間は2027年2月26日までです。
- 確定検査(2027年2月下旬~3月上旬):最終的な経費の確認を受けます。
- 実績報告書提出(2027年3月中旬):事業の成果等をまとめた報告書を提出します。
- 精算(2027年3月末):補助金が後払いで振り込まれます。
第5章:よくある質問
- システム開発を外注せずに自社で行う場合、その費用は対象になりますか?
-
対象になりますが、自社の利益を上乗せすることはできません。人件費や製造原価などの原価のみで計算して申請してください
- 過去にも同じような補助金をもらって自動運転の実験をしたのですが、今年も申請できますか?
-
過去の事業と「ルート」および「車両」が重複している場合、初年度の運行費(上限3000万円の枠)などは補助対象外となることがあります。事務局へご確認ください。
- 補助金で導入した車両や設備は、事業が終わったら自由に売却していいですか?
-
不可です。補助金で取得した財産には処分を制限する期間が定められています。勝手に売却や貸与を行ったり、別の目的に使ったりすると、補助金の返還や加算金(利息)の支払いといった重いペナルティが科されます。処分等する場合は、必ず事前に事務局へ申請し、承認を受けてください。
第6章:持続可能な物流サービス実現のカギ
自動運転トラック実装支援事業費補助金は、企業のコスト削減とともに、トラックドライバー不足という社会課題を解決し、持続可能な新しい物流サービスを社会に根付かせるための国の挑戦を後押しする制度です。事業の効率化やサービス水準の向上を目指す物流事業者様にとって、またとないチャンスです。必要書類をしっかりと確認のうえ、申請をご検討ください。
▼ BizRizeでは、無料相談を行っております! ▼

BizRize事務局
ヒト・モノ・カネに関する経営資源を、効率よく活用できるプラットフォーム「BizRize」を運営。毎週木曜に経営者向けの勉強会を開催し、補助金や資金調達に役立つ情報を無料メルマガで配信中!



