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2026.09.24

【令和9年度予算概算要求の紹介】国土交通省・観光庁編 地域インフラ・交通・観光の変革に重点 持続的成長に挑む中小企業を支援

令和9年度の国土交通省(観光庁を含む)の予算概算要求では、国民の安全・安心の確保、持続的な経済成長の実現、個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくりを軸とした基本方針が示されています。行政の施策方針は、各種補助金や公共事業などを通じて、中小企業や地域事業者のビジネス機会に結びつきます。本記事では、主な支援施策の内容と、公募や事業活用に向けて今から準備すべき実務上のポイントを解説します。

第1章:「強く豊かな日本」投資枠に1兆5,508億円

令和9年度予算概算要求において、国土交通省の一般会計総額は8兆7,694億円となっており、このうち成長投資等を推進するための「『強く豊かな日本』投資枠」として1兆5,508億円が要求されています。この投資枠には、インフラの防災・老朽化対策や物流DX、自動運転、住宅/港湾GX、産業クラスター基盤整備など、幅広い分野が網羅されています。
観光庁関係の概算要求では、一般財源として99億7,600万円、国際観光旅客税財源として1,800億円の予算枠が計上されています。
中小企業や地域事業者が活用・参画できる主な重点領域としては、以下の分野が挙げられます。具体的な支援施策・補助金事業については、第2章以降で詳しく解説します。

  • 物流・交通の持続性確保:物流の「2024年問題」や地域における交通空白の解消に向けた自動運転、デマンド交通、ライドシェアの導入推進。
  • 住宅・建築分野の脱炭素化とストック活用:2030年度以降の、新築住宅におけるZEH水準に相当する省エネ性能の確保を見据えた省エネ新築・改修支援や空き家対策。
  • インフラの老朽化対策と防災・減災:予防保全型メンテナンスや官庁営繕、建設産業における人材確保、DX施策。
  • 観光地の高付加価値化とインバウンド対応:地方への誘客促進、二次交通整備、廃屋撤去・再生による温泉地等のまちづくり支援。

第2章:物流・自動車・地域交通分野

2.1 物流効率化や自動運転実装(対象:運送業・物流業・バス事業者など)

トラックやバス等の商用車分野における脱炭素化(GX)や生産性向上に向け、盛り込まれている主な事業は以下の通りです。

  • 商用電動車の性能評価・導入促進事業:6億6,600万円(新規)
    概要:商用電動車(EVトラック・EVバス等)の導入を促進するため、バッテリー再利用の実証や性能評価、導入ガイドラインの策定等が予定されています。
  • 脱炭素に向けた産学官連携による次世代大型車開発促進事業:5億4,400万円
    概要:重量車の電動化技術や、水素・合成燃料をはじめとするカーボンニュートラル燃料の実用化に向けた開発・実証が盛り込まれています。
脱炭素に向けた産学官連携による次世代大型車開発促進事業の目的・内容・実施体制を説明した図
本記事で使用している図表の出典は、いずれも国土交通省のウェブサイト↗に掲載されている資料です
  • 税制改正要望:電気バス等に係る自動車重量税および自動車税の特例措置など、電動化車両の導入負担を軽減する税制優遇措置の適用が要望されています。

2.2 交通空白解消と地域公共交通の再構築(対象:旅客運送業者など)

地域住民や観光客の移動手段を確保し、持続可能な地域社会を構築するための施策です。

  • 地域公共交通確保維持改善事業:765億円
    概要:デマンド交通や公共ライドシェア等の導入、複数自治体・事業者による共同化・協業化、自動運転バスの社会実装やキャッシュレス決済の導入などを総合的に後押しします。

2.3 交通運輸技術開発・SBIR支援(対象:スタートアップ・技術系中小企業)

  • 交通運輸技術開発・国際標準化の推進:19億3,500万円
    概要:SBIR(中小企業技術革新制度)の一翼を担う事業として、交通運輸分野におけるスタートアップや中小企業の優れた技術シーズの発掘、研究開発・実証、社会実装および国際標準化を支援します。

第3章:住宅・建築・インフラ・防災分野

3.1 エコ関連支援・ストック再生・PPP/PFI(対象:住宅・不動産業界など)

  • みらいエコ住宅2027事業:2,000億円
    概要:2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2030年度以降の、新築住宅におけるZEH水準に相当する省エネ性能の確保を確実に実現するため、ZEH水準の省エネ性能が確保された住宅の新築及び既存住宅の省エネ改修等を支援する事業が予定されています。
みらいエコ住宅2027事業について説明した図
  • 住宅ストックを活用した賃貸住宅融資制度の創設(住宅金融支援機構):(独)住宅金融支援機構出資金(21億円)の内数
    概要:住宅金融支援機構による既存住宅ストックを活用した賃貸住宅のリフォームや空き家再生等に対する金融支援スキームの創設が盛り込まれています。賃貸流通の活性化を図る狙いです。
  • PPP/PFIの推進:49億円
    概要:民間資金やノウハウを活用したPPP/PFI(=国や地方自治体などの公共サービスを、民間と協力して行う仕組みのこと)を推進するため、地方公共団体への専門家派遣等によるスモールコンセッション(=遊休公的施設等の利活用)の案件形成支援や、公営住宅整備・公的賃貸住宅団地の再生におけるPPP/PFI活用推進などの方針が示されています。
  • 空き家対策総合支援事業、空き家再生等推進事業:70億8,000万円
    概要:地方公共団体が実施する空き家等の除却や活用、NPO・民間事業者等によるモデル的な取組(改修工事・除却工事等)に対する支援などが含まれる見込みです。
  • 子育て支援型共同住宅推進事業:スマートウェルネス住宅等推進事業(183億400万円)の内数
    概要:共同住宅における子育て期の事故防止や、子育て支援施設の設置など、安心・安全な居住環境の整備に対する支援が予定されます。

3.2 インフラ防災や建設人材確保、生産性向上(対象:建設・土木業界など)

  • 建設産業の供給力強化事業:10億円、新規
    概要:建設キャリアアップシステム(CCUS)等を活用した建設技能者の人材育成、処遇改善、リ・スキリング、および建設現場のDX推進が想定されています。

建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System)

建設業で働く技能者の資格や就業履歴を登録・蓄積し、適正な評価や処遇改善につなげるための仕組みのこと。

  • 建築GX・DX推進事業:103億円
    概要:建設現場の人手不足に対応するため、施工などの合理化に役立つ機器やフィジカルAI搭載ロボット等の実証・導入を後押しし、生産性向上を目指します。
  • 官庁施設の老朽化対策:163億300万円
    概要:既存官庁施設の安全確保や計画的な改修を実施し、老朽化対策とトータルコスト縮減を図る狙いです。
  • 防災・安全交付金:1兆1,293億円
    概要:地方公共団体等によるインフラ(道路・橋梁・上下水道等)の予防保全型メンテナンスや老朽化対策、防災・減災取組に対して支援を実施します。

第4章:観光庁施策…持続可能な観光立国・観光地と観光産業の強靱化

4.1 国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開:1,800億円(旅客税財源)

先進的で費用対効果が高いインバウンド施策へ集中的に充当する予定です。

  • インバウンド受入環境整備およびオーバーツーリズムの未然防止・抑制
  • 最先端技術を活用した出入国手続の高度化(共同キオスク導入等)
  • 空港・港湾から観光地までの公共交通利用環境の整備 など
国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開について説明した図

4.2 一般財源に関する主要事項:100億円

観光立国の基盤を支える基幹施策に関する施策が盛り込まれています。インバウンドの戦略的誘客、国内交流・アウトバウンド拡大、観光地・観光産業の強靱化を軸に、プロモーションや人材育成、地域活性化などの事業が並んでいます。

  • 戦略的な訪日プロモーションの実施
  • 地方空港を活用した相互交流の促進
  • 国内外の人材確保・育成に向けた魅力発信や育成環境整備等
  • 観光を軸とした関係人口創出・二地域居住促進 など

第5章:概算要求を踏まえた実務上の備え

令和9年度の国土交通省・観光庁の概算要求からは、インフラや地域交通の持続性確保、GX・DXによる現場の生産性向上、観光地・サービスの持続可能な高付加価値化などにチャレンジする企業を重点的に支援しようとする姿勢が読み取れます。
中小企業の皆さんへ、今後の予算化および施策実行に向けてお勧めしたい具体的なアクションプランは次の通りです。

  1. 行政のスケジュール把握:年末の予算閣議決定、翌年の国会審議を経て、来春以降に順次発表されるとみられる各事業の公募要領や要件等に関する情報をキャッチします。
  2. 社内課題の棚卸しと対象設備の選定:自社の業務プロセスにおけるボトルネック(人手不足、老朽化、省エネ化の遅れ等)がどこにあるのか整理します。そのうえで、補助金の対象となり得る設備(EV車両、建設ロボット、キャッシュレス決済機器等)の選定・導入計画の整理を進めましょう。
  3. 事前相談・連携体制の構築:自治体、商工会議所、観光地域づくり法人(DMO)、金融機関等の関係機関と早期に情報共有を行い、案件形成や共同事業計画の策定に向けた連携体制を整えておきましょう。

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