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2026.08.27

87%の個別手配客と地方分散が過去最高の9.5兆円を牽引 観光庁の2025年インバウンド調査まとめ

2025年の訪日外国人旅行消費額は過去最高の9.5兆円(前年比16.4%増)に達しました。観光庁が公表した2025年の「インバウンド消費動向調査」の最新データや、訪日リピーターに関する詳細分析などを読み解くと、この成長を支える市場の大きな構造変化が見えてきます。
インバウンドといえば団体客、というフェーズはすでに終わり、現在では観光・レジャー目的において、自由に旅程を組む個別手配客が圧倒的多数を占め、一部の国籍では滞在の長期化が顕著になっています。 本記事では、2025年の最新データや資料から読み取れるインバウンド市場の実態をまとめ、今後のビジネスのヒントとなる視点をお届けします。

個別手配

団体ツアーや、旅行会社などが提供する往復航空券と宿泊がセットになった「個人旅行向けパッケージ商品」を利用せず、旅行者自身が航空券や宿泊施設などをすべて個別に手配する旅行形態を指します。

(本記事で使用している図表の出典は、いずれも観光庁のウェブサイトに掲載されているインバウンド消費動向調査に関する資料)

第1章:87%を占める個別手配客

現在のインバウンド市場を理解するうえで外せないのが、旅行スタイルの変化と、国籍による滞在日数・消費額の違いです。
観光・レジャー目的で日本を訪れた外国人の旅行手配方法を見ると、団体ツアー参加が10.1%にとどまる一方、個別手配が全体の86.5%と圧倒的多数を占めています。決められたルートを回るのではなく、自ら情報を集めて自由に動く個別手配客が、市場の主役として完全に定着していることが分かります。
さらに、滞在日数の長期化も注目すべきポイントです。観光・レジャー目的の全体の平均泊数が7.1泊であるのに対し、フランスは16.5泊、英国は12.8泊、米国は10.7泊と、欧米豪からの旅行者は10泊以上の長期滞在傾向があります。
また、彼らは1人当たりの旅行支出も高く、観光・レジャー目的の全体平均が約22.4万円であるのに対し、英国は約41.1万円、フランスは約37.1万円と高い消費単価を記録しています。
自由に動く個別手配客に自社の魅力を見つけてもらうこと、そして消費額の大きい長期滞在層にどうアプローチするかが、これからのインバウンドビジネスの重要な鍵となります。

第2章:アジア圏からはリピーターが圧倒的に多い

どの国・地域から日本を訪れているかを見てみると、国・地域によって、初めて訪日した観光客と、リピーター客に分かれる傾向があることが分かります。
データを見ると、欧米豪からの旅行者は「初回訪問」の割合が高い傾向にあります。
一方、アジア圏はリピーターが圧倒的多数を占めます。観光・レジャー目的で訪日した人のうち、台湾は約88%、香港は91%が「2回目以上」のリピーターです。
こうした違いを踏まえると、インバウンド向けの商品・サービスも、まずは初回訪問客を主な対象とするのか、リピーターを想定するのかを見極めることが重要になりそうです。

第3章:訪日回数が増えると地方分散が進む

訪日回数が増えるにつれ、個人旅行者のリピーターは地方へ足を運び、消費単価を上げる傾向があるようです。
観光庁がインバウンド消費動向調査とともに公表した「訪日外国人旅行者(観光・レジャー目的)の訪日回数に関する分析」(※【分析データ】2024年暦年確報値)に基づき、訪問地の変化を見ると、1回目の訪問では三大都市圏のみを訪れる人が約半数(49.6%)で、地方部のみ訪れる人は8.8%です。他方、6回目以上の超リピーターになると三大都市圏のみ訪問する人が40.9%、地方部のみ訪問する人は34.1%で、地方部のみを訪れる人の割合が大幅に増えていることが分かります。
また、日本への訪問回数別の1人当たり消費単価(平均値)を見ると、初回訪問が最も高く(約26.1万円)、2~5回目で一度下がります(約19.5万円)。しかし、「6回目以上」になると宿泊費や買物代が伸び、再び上昇し(約21.8万円)、V字のカーブを描くことが読み取れます。

コラム:万博来場者は地方周遊も楽しんだ

観光庁は、2025年4月から同年10月にかけて開催された大阪・関西万博の外国人旅行者に関する分析結果も公表しています。大阪・関西万博のデータからは、大型イベントを訪れる旅行者が、結果として広域な周遊と高い消費をもたらす実態が確認できます。 万博来訪者は万博未訪問者と比較して平均泊数が長く(11.3泊)、1人当たり旅行支出も高い(約27.3万円)傾向がありました。また、万博来訪者は大阪府や京都府だけでなく、奈良県(19.4%)、兵庫県(13.3%)、さらには中国地方の広島県(8.8%)など広く西日本へも足を伸ばしており、地方周遊による一定の消費波及効果があったと言えるでしょう。

第4章:「長く滞在したくなる理由」を提供できるか

ここまで見てきた通り、インバウンド市場は団体ツアーから自由に動く個別手配客へと主役が完全に交代し、リピーター層の地方分散や、欧米豪などの旅行者を中心とする滞在の長期化が進んでいます。
このような長期滞在・高消費の個別手配客を地域に呼び込み、確かな経済効果へとつなげるためには、地域を単な
通過点にするのではなく、「長く滞在したくなる(連泊したくなる)理由」を提供できるかが問われています。
そのためには、たとえば宿泊者向けの夜間体験や、地元食材を使ったディナー、夜の伝統文化体験、独自の夜間ツアーの充実など、宿泊施設と連携したサービスの構築による付加価値の提供が欠かせないのではないでしょうか。
さまざまな取り組みを通じて自ら旅をアレンジする個別手配客に、この地域ならではの特別な価値を提案する。これこそが、今後のインバウンドビジネスにおける勝利の方程式と言えそうです。

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