
中東情勢に関し、アメリカとイランは戦闘終結に向けた合意をしました。軍事衝突から100日超。最悪の事態は回避されつつありますが、一度跳ね上がった燃料費や仕入価格がすぐに元に戻るわけではなく、中小企業への経済的な影響は今もなお続いています。
日本商工会議所ならびに東京商工会議所は、中東情勢が緊迫化していた2026年5月7日~5月29日に、中小企業を対象にエネルギー等の影響調査を実施し、全国の2,497社が回答しました。この調査からは、地域の中小企業が直面している実態が見えてきました。
1.重くのしかかるコスト増
調査によると9割を超える企業が中東情勢の緊迫化による何らかの影響を受けていると回答しました。
具体的な影響のトップは仕入価格の高騰で、約7割半の企業が苦しんでいます。次いで燃料価格の高騰(約6割強)、物流費の高騰(約4割)と続き、やはりコスト負担の増加が経営の重荷になっていることが分かります。特に製造業、建設業、宿泊・飲食業では、仕入価格の高騰によるコスト増に直面している企業が8割以上にのぼり、影響の大きさがうかがえます。

2. 価格転嫁できている企業は約半数
コストが増加する中、それを自社の販売価格に反映(価格転嫁)できているかどうかが生き残りの鍵となります。
結果は、価格転嫁できている(一部できているを含む)企業が約5割、ほとんど転嫁できていない・していない企業も約5割と、状況が真っ二つに分かれる結果となりました。
また、従業員数が5人以下の小規模な企業に限って見ると、燃料の節約や仕入先の見直しなど他の対策に苦心する企業も多い中で、そもそも対策として価格転嫁を進めている(または検討している)割合は約3割にとどまっています。事業規模が小さいほど転嫁に向けた動きを取ることすら難しいという厳しい現実も浮き彫りになっています。

3. 備品の在庫確保や燃料積み増し進む
このような状況に対し、全体の約8割の企業がすでになんらかの対応策を実施、または検討しています。具体的な動きとしては、前述した価格転嫁を進めるだけでなく、当面の消費財・備品などの在庫確保に動く企業も約4割と目立ちます。また、一部では燃料や原材料の積み増しを進める動きもみられます。
一方で、自社の自助努力だけでは限界があるのも事実です。政府に対しては、事業の前提となるエネルギーの安定供給確保を求める声が約6割と最も多く、次いで電気代やガス代、燃料費の負担軽減や、資金繰りへの支援を求める切実な要望も見受けられました。事態が収束に向かう現在においても、長引くコスト高の影響から抜け出すための支援は引き続き求められそうです。

4.有事に揺るがない経営体質をつくるために
戦闘終結への合意というニュースがあったものの、原材料や燃料のコスト高騰という「後遺症」は、今後も多くの企業にとって共通の課題です。今回の調査では、いざという時のための在庫確保や、地道な価格転嫁の交渉など、各社が生き残りをかけて対応を進めている様子が見て取れました。
「同じ業種の企業はどう影響を受けているのか?」「有事の在庫積み増しは具体的にどの程度行われているのか?」など、より詳細なデータに関心がある方は、ぜひ日本商工会議所の公式ホームページに掲載されている集計結果資料をご覧ください。地政学リスクに振り回されない、強靭な自社の現状を客観的に見つめ直す良いきっかけにもなるはずです。
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