【現場レポ】第19回・持続化補助金を福岡で申請サポートして気づいた「5つのこと」
執筆:一般社団法人九州広域行政事務支援機構 保利 / 2026年4月(第19回申請対応中に執筆)
第19回の申請受付が3月6日に始まり、4月30日の締切に向けて現在進行形でサポートを続けています。この1ヶ月半で10件以上の申請に関わった中で、「ネットの解説記事を読んできた」という事業者さんほど、同じところでつまずくことに気づきました。
ここに書くのは、公式の公募要領には載っていない、実際の申請作業を通じて初めてわかることです。福岡市内で申請を考えている方の参考になれば幸いです。
① 様式4の「3週間前」は本当にギリギリだった
「様式4の取得は締切の3週間前までに」——この情報はあちこちに書いてあります。ところが今回、3週間前に相談に来た事業者さんが、結果的に綱渡りになりました。
博多区の飲食店オーナーが、4月に入ってから窓口を訪ねてきました。経営計画書はほぼ書けているとのことでしたが、補助事業計画書(様式3)の「補助対象経費の内訳」が、具体的な見積もりを取る前の仮置き状態でした。窓口の担当者からは「見積書が揃ってから再来してください」と言われ、見積もりが揃うまでに5日かかりました。様式4の発行受付締切は4月16日。発行まで3営業日かかると案内されており、最終的には間に合いましたが、1週間のバッファしかありませんでした。
今回の第19回で痛感したのは、「様式4の取得」と「見積書の取得」は並行して動かないと詰まるということです。見積もりは依頼してから返答まで数日かかります。この2つを直列にこなそうとすると時間が足りなくなります。
② 「計画書を書ける人」と「採択される計画書を書ける人」は別
今回サポートした10件のうち、最初に持ってきた計画書がほぼそのまま使えた事業者さんは2件だけでした。残りの8件は、内容を大きく書き直す作業が発生しました。
最も多かった修正パターン:「強み」が強みになっていない
南区で整骨院を営むBさんは、経営計画書の「自社の強み」欄に「スタッフが全員国家資格保有者」と書いてきました。それ自体は事実ですが、審査員の立場から見ると「他の整骨院も同じ」という話です。「それはどの整骨院でも言えませんか?」と尋ねると、Bさんはしばらく考えて「ウチは産後ケアに特化していて、6ヶ月待ちになるほど予約が埋まっている」と話してくれました。これが本当の強みです。ただ、この情報は最初の計画書には一切書かれていませんでした。
審査が求めているのは「なぜあなたの店でなければいけないのか」という代替不可能性です。それは日常の業務の中に埋まっていて、当事者には「当たり前すぎて」見えていないことが多い。
ヒアリングの中で「お客さんからよく言われること」「わざわざ遠くから来てくれるお客さんがいること」「競合店がやっていないのに自分だけやっていること」——こういった問いかけで初めて出てくる強みが、採択される計画書の核になります。
③ 「ウェブサイト制作費」は要注意
早良区でリラクゼーションサロンを営むCさんが「ホームページをリニューアルしたい」という相談で来られました。見積もりを取ってきた制作会社の内訳を確認すると、「SEO対策費」「月次更新費(12ヶ月分)」「サーバー費(1年分)」が含まれていました。これらは補助対象外です。制作会社はこの区別を知らずに見積もりを出していたため、対象経費だけを抜き出した別の見積もりを改めて取り直す必要があり、10日近くのロスが出ました。
ウェブサイト関連費として認められるのは、原則として補助事業の一環として新たに作成・改修する部分の費用のみです。維持管理費・更新費・広告出稿費は対象外。制作会社に「補助金対象経費だけで見積もりを分けてほしい」と最初から伝えることが重要です。
④ 加点は「取れるものから全部取る」が正解
採択率が50%前後で競っている現状では、本体の計画書の質だけでなく加点の有無が明暗を分けることがあります。
費用ゼロで取れる加点:一般事業主行動計画の策定・公表
「女性の活躍推進企業データベース」に一般事業主行動計画を登録することで加点対象になります。費用は一切かかりません。ただし登録から反映まで数日かかるため、今から動く必要があります。今回サポートした案件のうち、この加点を取った4件は全員が申請前に登録を完了していました。
第19回から新設:米国関税加点
今回から「米国関税の影響を受ける事業者への加点」が追加されました。原材料を輸入している製造業や、輸出入に関わる卸業者が対象になり得ます。「うちは関係ない」と思い込む前に一度確認する価値があります。
⑤ 「採択後」のほうが実は手間がかかる
申請が終わって採択通知が届いた事業者さんから「これで終わりですよね?」と聞かれることがあります。実際には採択はゴールではなくスタートで、そこからが手続き上のハイライトです。
第17回から「交付申請」という手続きが追加されました。採択通知を受けてから交付申請を行い、「交付決定通知書」が届いて初めて発注・契約・支払いができます。この交付決定前に動いてしまうと補助金の対象外になります。
第17回で採択された城南区の小売店オーナーが、採択通知が来た翌日に看板業者に発注してしまいました。交付決定はその3週間後。発注日が交付決定日より前だったため、看板代が全額補助対象外となりました。補助金を受け取るつもりで先に払ったお金が、丸ごと自己負担になったケースです。
採択通知が届いたら、まず「交付申請の手続きをする」——このステップを飛ばさないよう、私のところでは採択後にも必ずご連絡するようにしています。
第19回の申請締切は2026年4月30日(木)17:00
様式4の受付締切は4月16日です。今から動いても余裕はありません。
まずは管轄の商工会議所に相談の予約を入れてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 行政書士に頼まずに自分で申請できますか?
A. できます。ただし今回の経験から言うと、「強みの言語化」と「補助対象経費の整理」の2点は、第三者に見てもらうことで精度が上がりやすいです。費用をかけたくない場合は、商工会議所の経営指導員への相談(無料)を積極的に活用してください。
Q. 過去に不採択だった事業者は不利になりますか?
A. 制度上、過去の採否は審査に影響しません。ただし同じ計画書をそのまま再提出しても結果は変わりません。不採択の経験がある方は「なぜ落ちたか」を仮説立てて計画書を書き直すことが重要です。
Q. 第19回を逃したら次はいつですか?
A. 第20回は2026年秋頃の公募が予想されています。1年に2回程度のペースで公募されており、今回間に合わない場合でも半年程度待てば次の機会がある見込みです。
福岡市内を拠点とする認定経営革新等支援機関。小規模事業者持続化補助金の申請支援実績多数。本記事はフィクションをもとに執筆しています。



