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2026.07.27

公共工事 新規参入への道 ~戦略的ロードマップ~③ 福岡都市圏10市 指名へのステップを探る

公共工事への新規参入を目指す経営者のためのロードマップ、第3回に突入しました。第1回では「P点(経営事項審査)」という基本ルールの理解を、第2回では「発注見通し」を使った情報収集の重要性を解説してきました。
今回は、いよいよ実践編です。自治体へのヒアリングを踏まえ、公共工事実績ゼロの新規参入業者が指名を得るには、どのようなルートが現実的なのか探りました。

今回、福岡都市圏(福岡市と近郊の計10市)を対象に、自治体の公式ホームページで公開されている情報とヒアリングをもとに、データや実情をまとめました。

1.調査項目

入札名簿への登録時期や随時登録の有無

公共工事に参入するには、参入したい自治体に対し、入札資格審査申請をおこない、登録される必要があります。申請受付時期は、定期受付が隔年、追加がその年の間にあることが多いですが、追加受付がない自治体もあります。追加受付がない場合、最長2年間は登録できないことになりますので、自治体のホームページで申請受付時期を必ずチェックしてください。

小規模修繕枠の有無と対象工事

自治体により名称が異なる場合がありますが、ここでは名簿登録を必要としない工事を指しています。名簿登録不要で、地元業者に対し、ごく少額の修繕工事などを依頼することなどが一般的です。

格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向

各自治体が、どのような工事種別・区分(土木一式工事、建設一式工事など)をもうけているか、またその割合はどうなっているのか調査しました。発注割合は、各自治体が公表している令和8年度の発注見通しや、令和7年度の入札結果をもとに、編集部が独自に抽出・分類・集計(一部推測を含む)した目安の数値です。参入時の市場規模を測る一つの参考指標としてご活用ください。

指名基準の傾向

指名競争入札は、名簿登録された業者の中から、役所内の「指名業者選定委員会」によって指名された業者だけが参加できます。各ランクには、多くの業者がひしめき合っています。そのような中、指名を得ることは容易ではありません。しかし、各自治体は規程や要綱で指名基準を明記しています。たとえば「防災協定の締結」が明記されている場合は、当該自治体と防災協定を結んでおくなど、指名を得るために自力でやれることはすべてやっておきましょう。

最初の指名をもらうためのステップ(コツ)

各市がホームページなどで公表している情報と、市へのヒアリング結果を踏まえ、最初の指名獲得のために考えうる道筋をまとめました。

2.各市の状況まとめ

福岡市とその近郊市の状況は次の通りです。

福岡市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
3年ごとに定期申請、1年ごとに追加申請を受付
小規模修繕枠の有無と対象工事
無し
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
  • 一般土木、港湾土木、建築など工事39種・製造2種に分類される。
  • 令和8年度発注予定(件数ベース)では、管と一般土木がそれぞれ約2割、電気が約15%で、これらの上位3項目で全体の約6割を占めている。
指名基準の傾向
施工能力(当該工事と同種の工事の施工実績、市発注工事に係る工事成績、技術者の状況等)、受注機会の公平さ、信用状態(経営状況、社会貢献優良企業として市の認定)、市内に主たる事務所を有する地場業者であることなど
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
市のHPで資格審査申請のタイミングをチェックし、まずは確実に登録されること。そのうえで、以下の2つの戦略が有効と考えられます。

戦略1:市の公式優遇制度「社会貢献優良企業」の認定を狙う
福岡市は、特定の社会貢献活動を行っている企業を「社会貢献優良企業」として優先指名する制度を設けています。施工実績がゼロでも、努力次第で取得できる認定(エコアクション21の取得、消防団協力事業所の表示証交付、ふくおか「働き方改革」推進企業の認定など)を積極的に取得することで、この優遇制度の対象となります。

福岡市のような登録業者が膨大な巨大自治体において、ただ漫然と待つのではなく、制度を賢く利用して「市に貢献している優良企業」としての見栄え(エビデンス)を整えておくことが、名簿に埋もれないためには有効でしょう。

戦略2:まず少額随意契約を狙い、自社認知を高めておく
公共工事実績ゼロのうちは、各区役所の維持管理部門や外郭団体などが発注する数万円〜数十万円規模の「少額随意契約(見積もり合わせ)」を狙います。

自社の専門的な強みや下請けとしての実績、対応可能な業務をまとめた資料を各担当課へ提供し、「いざという時の修繕などに素早く対応できる業者がいる」と正しく認知してもらうためのスマートなコミュニケーションを図ることが、最初の1勝を引き寄せる道になります。
出典:福岡市のウェブサイト

筑紫野市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
  • 令和8・9年度競争入札参加資格審査申請の受付は終了(追加受付なし)
  • 令和10・11年度競争入札参加資格審査申請の受付開始は、令和9年11月ごろを予定
小規模修繕枠の有無と対象工事
無し。小口の工事は各施設ごとに発注することもありますが、そのような小口発注でも名簿登録が必要です。
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和7年度の入札結果を集計したところ、土木工事、管工事、水道施設関連がそれぞれ全体の2割弱を占め、トップ3を形成しています。次いで、舗装工事や建築工事(解体含む)が各1割強で続きます。

中身を見ると、夏場に向けた「小中学校の空調設備工事(管工事)」がまとまって発注されているほか、老朽化した水道管の布設替、学校の防犯カメラ更新など、生活・教育インフラの維持更新に関する工事が目立ちます。
指名基準の傾向
市の要綱により、
(1)発注する工事に応じた工事経歴(市工事以外のものを含む。)の有無
(2)業者の施工能力、手持ち工事量、経営状態等からみた施工見込みの確実性
(3)指名回数の機会均等、地域性及び経済性の確保
(4)有資格者の登録希望順位、
を考慮して選定することが定められています。
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
定期受付(次は令和9年11月ごろ予定)のタイミングを絶対に逃さずに登録を済ませます。筑紫野市は追加受付を行っていないため、ここを逃すと長期間参入できなくなります。その上で、以下の2つの戦略を検討しましょう。

戦略1:民間・下請け実績と、希望順位を武器にする
筑紫野市の指名基準には、評価する工事経歴として「市工事以外のものを含む」と明記されています。次回登録までの間に、民間の仕事や下請けとして自社の専門工種の実績を着実に積み上げ、即戦力としてアピールします。指名基準には「登録希望順位」も考慮すると定められているため、自社の得意とする本命の業種を第1希望として登録し、本気度をアピールしておきましょう。

戦略2:各施設が発注する小口の工事から地道に実績を拾う
筑紫野市の場合、小口の工事は施設ごとに発注することが多いそうですが、小口の工事であっても有資格者名簿への登録が必須となっています。学校や公民館等の施設が発注する少額随意契約(見積もり合わせ)の声がかかるチャンスをつかむため、自社の専門的な強みを各担当課や施設へ的確に情報提供(認知)しておきましょう。小口案件を一つずつ拾って、市での元請け実績を作ることが、その後の指名獲得への重要な一歩です。

春日市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
令和8・9年度追加分は、郵便の場合、令和9年10月31日まで受付(消印有効)
小規模修繕枠の有無と対象工事
  • 契約金額が一定額以下(工事または製造の請負200万円など)である場合、市内の事業者で且つ競争入札参加資格を有しない等の条件を満たせば、事前登録により市と契約を締結できる「少額契約登録」制度がある。
  • 令和8・9年度の少額契約登録申請受付は、令和9年10月31日まで(消印有効)
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和8年度の発注予定(件数ベース)では、土木工事約39%、建築工事約17%、電気工事約15%、舗装工事約9%、管工事約8%となっており、これらの上位の種目が全体の9割近くを占める。
指名基準の傾向
市の要綱では「建設工事の指名基準の留意事項」として、施工能力を総合的に勘案すること、同種工事についての施工実績、市内の工事特性への見識、同一年度内の指名回数などが規定されている。
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
競争入札参加資格(一般登録)と少額契約登録の二重登録はできません。自社の現状に合わせた使い分けが必要です。

戦略1:経審未受審の小規模業者は少額契約で市との関係性を築く
まだ経審(経営事項審査)を受けていないなど、入札に参加する要件を満たしていない小規模な業者は少額契約に登録します。将来、一般登録に移行した場合の指名に直結するわけではありませんが、まずは市内の各施設や担当課が発注する小口の工事に地道に対応し、市に貢献する地元業者としての信頼関係を現場レベルで構築していくことが第一歩となります。

戦略2:指名を狙うなら一般登録+民間・下請実績で認知を図る
本格的に市の公共工事(指名競争入札)を狙うなら、競争入札参加資格(一般登録)へ登録します。民間工事や公共工事の下請け実績は有効なアピール材料になります。まずはこれらで自社の専門工種の実績を確実に積み上げ、見栄え(エビデンス)を整えましょう。あわせて、自社の強みや対応可能な業務をまとめた資料を担当課へ提供するなどの活動を通して、「確かな施工能力を持つ市内業者がいる」ことを認知してもらうことも必要です。

大野城市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
2年に1度の定期受付(6月)と、それ以外の年の追加受付があります。令和8年度競争入札参加資格審査の追加・変更は、令和8年8月3日(月)から8月31日(月)まで受け付けています(当日消印有効)。
小規模修繕枠の有無と対象工事
資格審査(参加資格登録)を受けていない方で、少額で内容が軽易な契約の受注・施工に関して登録する「小規模契約希望者登録制度」がある。たとえば、小規模な建設工事や修繕等の場合、1件の契約金額が 50 万円以下のものが対象
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和8年度工事発注予定(7月1日時点。件数ベース)では、土木一式と建築一式がそれぞれ2割強を占めているのが特徴。このほか舗装工事約14%、機械器具設置約12%、電気約10%など。具体的な内容としては学校・公園の施設改修などが目立つ。
指名基準の傾向
市の規程に、次の事項を総合的に勘案することが定められています。
(1)地場業者の育成
(2)受注機会の公平性
(3)当該工事の施工能力
(4)市における工事成績
(5)手持ち工事の状況
(6)当該工事に対する地理的な条件
(7)不誠実な行為の有無、信用状態等
(8)安全管理及び労働福祉の状況(福利厚生など)
(9)発注する工事に応じた官公庁の実績
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
大野城市では、「通常の競争入札参加資格」と「小規模契約希望者登録」の二重登録ができません。そのため、自社の現状に合わせて以下の2つの戦略のどちらかをとる必要があります。

戦略1:本格参入を目指すなら通常登録+少額随契・民間実績のルート
経審(経営事項審査)などを受けて入札要件を満たしている場合は、迷わず通常の競争入札参加資格に登録します。名簿に登録した上で、まずは担当課などから少額の随意契約(見積もり合わせ)の獲得をめざす(市との取引実績を作る)ことが、最初の指名を得るための近道といえるでしょう。民間での工事実績もしっかりアピールしておきたいところです。

戦略2:入札要件を満たしていない場合は小規模契約からスタート
まだ経審を受けていないなど、通常の入札参加資格を満たしていない新規業者の場合は、50万円以下の工事が受注できる小規模契約希望者登録を登竜門として活用します。学校や公園などのちょっとした修繕を丁寧に行い、市役所内に「自社のファン(顔なじみの担当者)」を増やしていくことで、将来的に通常名簿へ切り替えた際のスムーズな指名獲得を目指しましょう(※小規模契約が指名獲得のための実績になるわけではありません)。

宗像市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
毎年6月に一般(指名)競争入札参加資格の申請を受付
小規模修繕枠の有無と対象工事
業者登録をしていない市内の事業者を対象に、市発注の小規模業務(予定価格30万円未満で主に修繕業務)に関する小規模契約事業者登録制度をもうけている。登録は平日に随時受け付けている。
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和8年7月1日現在の、予定価格が400万円超と見込まれる未発注工事について分析すると、土木一式約40%、ほ装約17%、機械器具設置約16%、建築一式約10%で、これらが全体の約8割を占める。市は海に面しており、土木一式工事に港湾工事枠があるのも特徴でしょう。
指名基準の傾向
市の規程で、原則として
(1)地場業者の育成
(2)受注機会の公平性
(3)対象工事に対する施工能力及び工事実績
(4)市における工事成績評定
(5)不誠実な行為の有無、信用状態等、
を総合的に勘案することが定められている。
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
宗像市では一般登録と小規模契約登録の二重登録はできません。本格的に公共工事参入を狙うなら、毎年6月の一般登録を逃さないようにしてください。その上で、以下の2つの戦略で攻めてみましょう。

戦略1:主観点を装備し、地元雇用の加点を生かす
宗像市独自の「主観点(加点制度)」をフル活用しましょう。目を引くのは「市内に住所を有する従業員の雇用」に対する加点です。このほか「子育て応援宣言」や「防災協定」なども掛け合わせ、自力で点数を底上げして、同ランク内での優位性を築きます。

戦略2:少額随意契約を拾っていく
市の指名基準には「地場業者の育成」が設けられています。自社の専門的な強みや民間での施工実績を各担当課に提供し、「確かな施工能力を持つ市内業者がここにいる」と正しく認知してもらいましょう。少額随意契約を地道に拾っていくことが、指名獲得へ繋がる重要なルートです。
※少額随意契約は通常登録が必要です。通常登録が不要(30万円未満)な小規模契約事業者登録とは別の制度ですので、留意して下さい。

太宰府市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
受付は毎年11月~12月ごろに行われる。2年に1度の「定期受付(有効期間2年)」と、その間の年の「追加受付(有効期間1年)」が交互に実施される仕組み。直近では令和8年11月に追加受付が予定されている。
小規模修繕枠の有無と対象工事
無し
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和8年度の発注見通し(件数ベース)で見ると、土木一式工事が全体の3割強を占めトップ。次いで特徴的なのが、市内各所で配水管の布設替が集中している水道施設工事が約2割弱で第2位に入っている点。さらに建築一式工事と電気工事が各1割強と、これら上位で7割強を占めている。
指名基準の傾向
市の要綱で、
(1)信用状態、不誠実な行為の有無
(2)実績及びその適正能力、当該契約に対する適応性
(3)手持ちの契約の状況
(4)暴力行為及び不当行為の有無、
を総合的に判断し選定することが定められている。
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
以下の2つのステップで、市との関係性を自ら築きにいくことが有効でしょう。

戦略1:認知を高める
まずは民間工事などで自社の得意な工種の実績を積み上げ、それをまとめた資料等を各担当課へ提供し、「市内に確かな施工能力を持つ業者がいる」ことをアピールしましょう。このようなスマートな認知活動が、最初の突破口として効いてくるはずです。

戦略2:少額随意契約を泥臭く狙う
太宰府市の指名基準要綱では、1,000万円未満の建設工事であっても5社以上を指名することが定められています。上記の認知活動を通じて、まずはこの「5社の枠」を目指すのも一手です。また、少額随意契約(見積もり合わせ)も狙っていきましょう。最初のお声がかかった際に、迅速かつ丁寧な施工を行うことで、「次も安心して頼める業者」として市との信頼関係を築き、本格的な指名へと繋げていくことが王道ルートです。

古賀市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
受付は毎年1〜2月ごろに行われる。2年に1度の「定期受付(有効期間2年)」と、その間の年の「追加受付(有効期間1年)」が交互に実施される仕組み。
小規模修繕枠の有無と対象工事
無し
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和7年度の発注傾向(件数ベース)を見ると、管渠工事や災害復旧を中心とした土木一式工事が約3割弱を占めトップ。次いで、小中学校や市営団地の大規模改修に伴う建築一式工事が約2割と続く。また、古賀市の独自の特徴として、配水管の布設替や水再生センターの設備更新、学校の空調整備など、水回り・空調インフラを担う給水衛生設備工事(および関連の機械設備工事)の発注ボリュームが大きい傾向が見て取れる。なお、市独自のルールとして「管工事」ではなく「給水衛生設備工事」、「舗装工事」ではなく「ほ装工事」という区分名称でランク付けが行われているため、新規参入時の業種選択には注意が必要である。
指名基準の傾向
市の規程により、原則として
(1)指名回数及び手持工事量の状況
(2)発注する工事に応じた工事経歴、技術及び施工能力の有無
(3)工事の履行場所等により契約上、有利と認められる地理的条件
(4)有資格者の登録希望順位
(5)地域貢献、
を考慮して選定することが定められている。
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
以下の2つの戦略が、最初の指名を勝ち取るカギとなりそうです。

戦略1:需要の高い「給水衛生設備」を狙う
古賀市の指名基準には、「登録希望順位」に関するルールが明記されています。これは申請時に「自社がどの業種を一番やりたいか」を役所に伝える仕組みです。つまり、希望順位が選定の重要なフィルターになっているというわけです。もし自社が水回り・空調などの管工事を得意としているなら、発注ボリュームが大きい「給水衛生設備工事」を戦略的に第1希望として登録しましょう。これにより、担当課が業者をリストアップする際、自社が優先的に抽出されやすくなるはずです。

戦略2:少額随意契約の機会を逃さず拾う
少額随意契約の受注も貴重な実績になりえます。数万円〜数十万円のちょっとした修繕でも、原則として通常名簿の中から業者が選ばれます。もし少額の見積もり依頼(随契)が舞い込んだら、「古賀市での実績」を確実にもぎ取ってください。それが本格的な指名競争入札へ呼ばれるための強力な布石となります。

福津市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
隔年(西暦の偶数年)の6月〜7月ごろに定期受付があります。今年度は7月31日まで受付です。追加受付については実施する年もありますが、確定しているものではないため、確実に登録を受けるには定期受付の機会を逃さないようにしてください。
小規模修繕枠の有無と対象工事
市内に主たる事業所を有する者が、小規模修繕に関する登録をすることが必要です。1件の予定価格が50万円を超えないものが対象となっています。なお、入札の有資格者名簿に登録済みの業者は対象外です。
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和7年度実績(件数ベース)は、土木一式工事だけで半数弱、建築一式工事が10%強、ほ装工事と電気工事が各10%弱で、これらで8割近くを占めています。

令和8年度発注見通しでは、インフラ復旧に予算が大きく割かれていることもあり、土木が全体の6割を占め、教育施設への投資も引き続き堅調な見通しです。
指名基準の傾向
福津市の規程により、
(1)不誠実な行為の有無及びその他の信用状態
(2)発注する工事又は業務に応じた工事又は業務経歴(市工事又は業務以外のものを含む)の有無
(3)業者の履行能力、手持工事又は業務、経営状態等から見た履行見込の確実性
(4)公平性及び地域性、その他の経済性の確保、
を考慮し選定されます。
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
福津市の特徴は、経審の点数とは別に「子育て応援宣言」や「ふくおか健康づくり団体」「公共エリアの清掃活動(アダプトプログラム)」など、地域貢献に対する独自の主観点(加点)が豊富に用意されている点でしょう。
市では「一般名簿」と「小規模修繕名簿」の二重登録ができないため、一般名簿で勝負に出る新規参入業者にとって、実績不足をカバーするための加点確保は必須の対策です。まずは自力で取れる加点はすべて確保して「市に協力的な優良企業」としての見栄え(エビデンス)を整えることが大切です。
その上で、民間での実績や自社の専門的な強みをまとめた資料を、実際に工事を発注する各担当部署へ提供し、「確かな施工能力を持つ業者が市内にいる」と正しく認識(認知)してもらうためのコミュニケーションを図り、最初の指名や少額随契を待つというステップが有効でしょう。

糸島市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
申請の受付は2年ごとに行っており、次回は令和9年6月の予定です。随時受付はありませんので、定期受付の際に確実に登録を受けることが重要です。
小規模修繕枠の有無と対象工事
無し
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和8年度の発注見通し(件数ベース)は、土木一式20%弱、電気と水道施設が各10%強、機械器具設置約10%など。専門工種ごとに細かく切り分けて発注する傾向がみられ、学校・公共施設改修の分離発注が多いのも特徴です。
指名基準の傾向
市の規程によると
(1)信用状態
(2)不誠実な行為の有無
(3)工事の実績及びその適性能力
(4)手持ち工事の状況及び指名状況
(5)当該工事に対する適応性
(6)暴力行為及び不当行為の有無、
を考慮することが定められている。
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
まずは地元・糸島市での受注を目指すことを前提に、以下の2つのステップで攻めてみましょう。

戦略1:「地域限定加点」をフル装備して同ランク内の優位を築く
市の格付けの加点項目である障害者雇用、保護観察対象者雇用、消防団協力事業所の3つは、市内事業所のみ対象となっています。市内に本店があるという場所のアドバンテージを最大限に生かすには、市内業者にだけ許された加点項目を自らの努力でかき集めることが重要です。自力で判定数値を底上げし、同ランク内での優位(名簿順位の向上)を築きましょう。

戦略2:分離発注の専門工種と少額随契を狙い、的確な認知を図る
実績ゼロのうちは、市発注工事の特徴である「専門工種ごとに細かく切り分ける分離発注」の傾向を生かしたいところです。自社の得意な専門工種や民間実績をまとめた資料等を担当課へ提供し、「市内に対応可能な専門業者がいる」と正しく認識(認知)してもらうためのコミュニケーションを図りましょう。そこから少額随意契約(見積もり合わせ)の案件を一つずつ獲得して、市内での実績を作っていくことが、本格的な指名獲得へ繋がる突破口となります。

那珂川市

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入札名簿への登録時期や随時登録の有無
定期受付は隔年の9月(直近では昨年実施済み)。今年9月には追加受付を予定しています。
小規模修繕枠の有無と対象工事
無し
格付け(ランク)対象となる工事の種別と傾向
令和8年度発注見込(件数ベース)によると、ほ装工事が約19%、次いで土木、建築、機械器具設置が各約16%、電気14%、管工事12%となっており、これら上位業種で全体の約9割を占めています。
注目すべきは、小中学校体育館のエアコン設置工事です。那珂川市ではこれを一括発注せず、「建築・断熱(建築工事)」「電気・LED(電気工事)」「空調機械設備(管工事)」の3つに分離して発注しています。これにより、各専門工事業者に元請け受注のチャンスが分散しているのは大きな魅力と言えます。
また、別の注目点として、市内各所でのマンホールポンプ・制御盤の更新が大量に予定されており、これが機械器具設置工事の割合を上位に押し上げているのも特徴です。
指名基準の傾向
市の要綱によると、地場業者の育成のほか、
(1)契約の実績及びその適正能力
(2)当該契約に対する適応性
(3)受注契約の状況、
を総合的に勘案して選定します。
最初の指名をもらうためのステップ(コツ)
以下の2つのステップで戦略的に参入を進めることが効果的です。

戦略1:「地場業者の育成」方針を活かし、自社の存在を的確に認知させる
市の指名基準には、業者選定の大前提として「地場業者の育成」が明記されています。この方針に照準を合わせ、自ら動くことが重要です。自社の専門的な強みや民間での施工実績をまとめた資料を担当課へ提供し、「いざという時に対応可能な専門業者が市内に存在する」ことを認知してもらう努力が欠かせません。

戦略2:分離発注や少額随意契約を狙う
実績がないうちは、市発注工事の特徴である「学校のエアコン設置」や「ポンプ更新」といった専門工種の分離発注案件、あるいはランク付け(等級区分)が行われない「ほ装工事」などの獲得を目指します。 少額随意契約(見積もり合わせ)の機会を得られたら、丁寧な施工によって優良な工事成績を獲得してください。那珂川市における加点要素である「工事成績」を高め、次回の名簿更新時に備えて客観的な評価(エビデンス)を高めることが、本格的な指名獲得へとつながります。

3.実績ゼロから「最初の1勝」を掴む3つのアクション

全3回にわたってお届けしてきた「公共工事 新規参入への道」。見えてきたのは、名簿に登録して、そこからどう動くかが大切だということです。
実績がない新規参入企業が、実績がないから指名されない⇒指名されないので、実績が築けない、という負のループを抜け出し、最初の指名や受注を勝ち取るためには、以下の3つのアクションを並行して進める必要があります。

3.1 自力で「点数(エビデンス)」を極限まで高める

実績ゼロの企業が唯一、自らの努力で上げられるのが「点数」です。全国共通のP点向上に努めるのはもちろん、各自治体が独自に設けている「主観点(防災協定、エコアクション、消防団協力など)」や「地域貢献の優遇制度」を貪欲にかき集めてください。これが同ランクのライバルに埋もれず、発注者の目に留まるための攻めの武器となります。

3.2 「実績がいらない枠組み」をフル活用する

過去の市発注工事の実績がなくても参入できるルートを泥臭く拾っていきます。

  • 入札外ルート:小規模修繕枠(特設名簿)での顔つなぎや、通常名簿登録後の少額随意契約獲得を通じて、市の担当者との信頼を着実に構築する。
  • 自ら手を挙げるルート:指名競争入札は、指名を受けない限り参加できません。しかし一般競争入札であれば、新規参入者らを対象としたものが設けられていることもありますので、そういった工事が予定されていないか普段から情報(国・都道府県含む)をこまめにチェックします。また、ゼネコン等の「下請け」として現場に入り、公式な実績を積み上げることも有効です。

3.3 自社の認知を高める

自社の存在や実績を役所に知ってもらうことは必須です。専門的な強み、民間での施工実績、対応可能な業務をまとめた資料等を用意し、各担当課へ提供し、「いざという時に素早く対応できる、確かな能力を持った業者がここにいる」と認知してもらいましょう。

自社が最も輝ける舞台(自治体)を見極め、ぜひ第一歩を踏み出してください。

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