
必読ポイント
- 対象者:倉庫業者、貨物利用運送事業者、トラックターミナル事業者、貨物自動車運送事業者、物流不動産開発事業者。事業(企業)規模の大小は問わず、複数社での共同申請も原則として可能です(※個別の要件については事務局へ相談が必要です)。
- 目的:システム構築(上限2,000万円)と自動化・機械化機器導入(上限3,000万円)の同時導入による業務効率化、労働環境改善、賃上げの実現。さらに「賃上げ特例」を活用すれば、上限がそれぞれ2,200万円、3,300万円に引き上げられます。
- 重要:公募(エントリー)締切は令和8年5月22日(金)17:00、計画申請締切は令和8年6月12日(金)17:00。交付決定(正式な許可)が出る前の発注は不可です。
物流業界が「2024年問題」や、さらに深刻化が懸念される「2030年問題」などで労働力不足が一段と深まる中、「トラックの荷待ち時間が長い」「庫内作業がベテランの勘に頼りきり」といった悩みを抱えていませんか。令和7年度補正予算事業「物流施設におけるDX推進実証事業」は、物流施設におけるシステム構築とロボット・自動化機器の導入費用を国が半額補助し、少ない人数でも無理なく効率的に回る仕組みづくりを目指すための補助金です。
この補助金は「①システムの導入」と「②機械・ロボットの導入」を必ずセット(同時)で行うことが必須要件として定められている点が特徴です。専門家のサポート(伴走支援)を活用して現場の課題を解決し、スタッフの負担を減らしながら賃上げも実現する持続可能な物流を目指してみませんか。
物流の2030年問題
少子高齢化に伴う労働力不足とドライバーの高齢化が深刻化し、2030年頃に日本の輸送能力が約2割〜3割以上不足する(荷物が運べなくなる)とされる構造的危機のことです。
第1章:物流拠点のDX化が必要な理由
物流業界の課題というと、トラックドライバーの長時間労働や不足(いわゆる2024年問題や2030年問題)が注目されがちですが、物流の最前線である倉庫や物流センターの現場にも深刻な課題があります。
「特定のベテラン社員しか、どこに何があるか把握していない(業務の属人化)」
「手作業でのピッキングや目視検品によるミスや残業が減らない」
「庫内作業が遅れることで、結果的に外で待つトラックドライバーの荷待ち時間を増やしてしまっている」
このように、現場の勘や体力に頼ったままでは、近い将来、新たなスタッフを確保することすら困難になってしまいます。そこで国は、物流の拠点である施設のあり方を根本から見直すため、本事業を立ち上げました。システムによるデジタル化(頭脳)と、ロボット等の機械化(手足)を同時導入することで、特定のベテランに頼らなくても、少ない人数でミスなくスピーディーに回る仕組みをつくることが狙いです。
なお、単に会社が楽になることや、作業を機械に置き換えることだけを目指しているわけではありません。効率化で生み出した利益を従業員の賃上げや労働環境の改善にしっかりと還元し、多様な人材が定着する魅力的な職場環境をつくることが、この補助事業の最大の目的(持続可能な物流の実現)です。
第2章:事業の概要や必須要件
この補助金の最も重要なルールは、「①システムの導入(システム構築・連携)」と「②機械・ロボットの導入(自動化・機械化機器)」を必ずセット(同時)で行わなければならないということです。

2.1 申請できる事業者
以下のいずれかに該当し、物流施設を保有または使用している事業者が対象です。
- 倉庫業者
- 第一種・第二種貨物利用運送事業者
- トラックターミナル事業者
- 貨物自動車運送事業者(一般、特定、軽貨物)
- 物流不動産開発事業者
★中小企業に限らない!複数社での共同申請も可能
本事業は、事業者の事業規模に関わらず(大企業でも)申請できます。また、複数社でコンソーシアム(共同体)を組んで共同申請することも原則可能です。共同申請に関する個別の要件については、あらかじめ事務局へ相談してください。
2.2 補助額・補助率
- 補助率: かかった費用の 2分の1(半額)
- 補助上限額(1社あたり):
①システム構築・連携:2,000万円
②自動化・機械化機器の導入:3,000万円
※①と②を必ず両方行うため、上限は合計5,000万円となります。
【賃上げで補助上限額アップ】
さらに、事業を実施する拠点(事業場)で以下の2つの要件を満たす「賃上げ特例」を活用すると、補助上限額がシステム2,200万円、機器3,300万円にアップします。
要件①:事業申請時の事業場内最低賃金が、その地域の地域別最低賃金を超えていること
要件②:事業終了時点における事業場内最低賃金を、申請時と比較して3%または45円以上引き上げること

2.3 何に使えるのか(対象経費)
- 業務費:システム開発費、導入に必要な人件費、委託費など
- 設備費:自動化機器・ロボットの購入費、運搬費、設置工事費など
- 事務費:申請や事務手続きにかかる消耗品や通信費など
2.4 補助対象にならない経費
以下の費用は補助対象外となるため注意してください。
- ❌ システム機器等のレンタル・リース費
- ❌ 保守費・運用費・維持費・サブスクリプション利用料(月額利用料など)
- ❌ 建物の新築や用地取得などの大規模工事(恒久的な施設の新設)
- ❌ 本事業の補助対象事業と無関係と思われる経費
【経費に関するその他の注意点】
クラウド型システムの注意点:クラウド型のシステム自体は対象になりますが、補助されるのは実績報告期限(令和9年2月末)までに発生する経費のみです。
タブレット端末等の注意点:業務(システムの利用や機械の操作)を行うために直接必要であれば、ハンディターミナルやタブレット端末も補助対象になり得ます。計画書で業務への直結性をしっかりアピールしましょう。
第3章:こんなに変わる!導入事例
システムと機械をセットで導入することで、現場はどう変わるのでしょうか。過去の導入事例をご紹介します。
事例①:倉庫管理システム(WMS)+ハンディターミナルの導入
- 課題:作業員が紙のリストで目視確認しており、時間がかかりミスも多かった。
- 導入内容:倉庫管理システムを構築し、ハンディターミナルを導入。
- 効果:ハンディターミナルの指示通りに動けば正確に作業できるようになり、属人化を解消。ミスの激減と作業時間の大幅カットに成功しました。
事例②:作業データの可視化システム+データ蓄積用機器の導入
- 課題:どこで作業が詰まっているのか(ボトルネック)が分からず、効率的な改善ができなかった。
- 導入内容:ピッキングや仕分けの件数をデータとして蓄積できるシステムと、現場用の機器(タブレット等)を導入し、ダッシュボード化。
- 効果:リアルタイムで進捗が一目で分かるようになり、ボトルネックを解消。作業の可視化によりアルバイトの活用なども進み、管理する社員の省人化(少ない人数での現場管理)が可能になりました。

事例③:積載状況のデータ化システム+自動積み付け(パレタイズ)の導入
- 課題:トラックにどう荷物を積むか(パレタイズ)をベテランの勘に頼っており、積載率が悪く無駄なトラックを出動させていた。
- 導入内容:荷台の空きスペースを検知するセンサーと、どう積めば一番多く載せられるかを自動計算(最適化)するシステムを構築。
- 効果:タブレットの指示通りに積むだけで、誰でも無駄なく隙間なく荷物を積めるようになり積載率が大幅に向上。結果として、出動するトラックの台数やドライバーの数を減らすことに成功しました。

(導入事例の図の出典はいずれも、本事業の特設サイトに掲載されている事業概要説明資料)
第4章:申請フローと審査のポイント
4.1 エントリーから補助金入金までの全体フロー
エントリー(公募申請):特設Webサイトから申請様式をダウンロードし、必要書類を添えてEメールで事務局へ提出します。
伴走支援(計画磨き):事務局が派遣する専門家のサポートを受けながら、DXの方向性の整理、DXの内容の具体化、新規性・独自性等のDX実証の成果・投資対効果などの計画を具体的に磨き上げます。
計画申請:伴走支援を経て一定水準に達した「DX推進実証計画」を、期日(6月12日)までに正式に提出します。
有識者ヒアリング:提出した計画について、費用対効果や業界への波及効果などの観点から、有識者によるヒアリング(審査)を受けます。
採択:ヒアリング等による審査の結果、基準を満たした計画が補助金の対象候補として選ばれ、結果が通知されます。
交付決定(⚠️ここで初めて発注可!):採択後に具体的な交付申請手続きを行い、事務局の審査を経て正式な事業の許可(発注・契約の解禁)が下ります。
事業実施(令和9年2月末まで):交付決定後にシステム開発や機器の発注・導入を開始し、令和9年2月末までに経費の支払いまですべてを完了させます。
実績報告:事業完了後、導入効果の検証結果や支払い内容がわかる証憑(領収書等)をまとめ、事務局へ「完了実績報告書」を提出します。
補助金支払(精算):提出された報告書を事務局が検査して最終的な補助金額を確定し、後払いで補助金が振り込まれます。
4.2 伴走支援(専門家のサポート)
本事業では、公募申請(エントリー)を行い、事前の審査を経て候補事業者として選定されると、事務局から最適な専門家(伴走担当)が派遣され、計画作りをサポートする仕組みになっています。そのため、事業者様ご自身で外部のコンサルタントや専門家をわざわざ探して依頼する手間はかかりません。
伴走支援を受けるための選定審査では、提出したエントリー書類の「熟度(どこまで具体的に考えられているか)」が確認されますので、自社の課題ややりたいことをエントリー書類に可能な限り具体的に記載して提出することが重要です。
なお、伴走支援は計画策定時だけでなく、事業実施後の効果検証や次年度に向けたフォローアップの際にも活用することが可能です。システム開発や機器設置といった事業実施期間中の実作業・進行管理のサポートは含まれませんので、実際の導入作業は自社および委託先(システム会社やメーカー等)と協力して進める必要があります。
【申請・実施に関する注意ポイント】
交付決定前の発注・契約は補助対象外:正式通知の前に契約した費用は一切認められません。
補助金は事業完了後の精算払い(後払い):導入前に資金計画(立て替え)が必要です。
原則2社以上の相見積もりが必要:特殊な設備で1社からしか取れない場合は理由書が必要です。
賃上げ特例について:賃上げ特例を申請する場合は、指定の誓約書や申請時の直近1ヶ月分の賃金台帳、雇用条件の写し等の提出が必須です。
4.3 主要なスケジュール
- 公募申請(エントリー)締切:令和8年5月22日(金)17:00必着
- 計画申請(正式提出)締切:令和8年6月12日(金)17:00
- 事業実施・報告期限:令和9年2月末まで。この日までに設備の導入から支払い、さらに事務局への「完了実績報告」の提出まですべてを完了させる必要があります。

4.4 計画審査と有識者ヒアリングの審査基準
提出した計画は、事務局による事前評価を経たうえで、有識者ヒアリングによって採択・不採択が決定されます。これらの審査プロセスにおいては、以下の共通の「審査基準」に基づいて総合的に評価されるため、これらを計画書にしっかりと盛り込むことが必須となります。
審査基準
A. 自社に関すること(申請事業者単体)
- DXを行う目的が明確で、補助事業の主旨に合致しているか
- DX施策の費用対効果が高いか(時間削減などの定量効果に加え、コンプライアンス遵守などの定性効果も含む)
- 計画のスケジュールや実施体制が現実的か
- 従業員への還元:DX施策の効果(効率化で浮いた時間や利益)を、従業員へどう還元するかを見据えているか
B. 業界全体への貢献に関すること
- モデルケースとしての先進性・独自性・汎用性があるか
- 業界全体への波及効果:他社や物流業界全体への波及を見据えた横展開が容易であるか(サプライチェーン全体での連携強化などが感じられるものが望ましい)
第5章:よくある質問
-
リースやサブスクリプションでの導入も補助されますか?
-
いいえ。本事業ではシステム機器等のリース費やシステムの月額利用料(サブスク)は対象外となります。買い取りの設備や構築費用を検討してください。
-
複数拠点でDX事業を実施する場合、賃上げの書類はどうなりますか?
-
複数の事業場(拠点)で事業を実施する場合は、その事業場ごとに賃上げ計画や賃金台帳をご対応(提出)いただく必要があります。
-
導入した設備を後から売ったり、別の用途に使ったりしてもいいですか?
-
不可です。単価50万円以上のシステムや機械を、国の許可なく一定の期間内に売却・廃棄したり、補助金申請時と違う目的(他事業など)に使ったりすること(目的外使用・財産処分)は固く禁じられています。違反が発覚した場合、補助金の全額返還を求められるおそれがありますので、十分にご注意ください。
第6章:システムと機械の同時導入で根本的な課題解決へ
物流施設におけるDX推進実証事業は、システムと機械を連携させることで現場のムダを根本からなくし、従業員の負担軽減や賃上げの実現、サービス水準の向上という、企業にとっての明るい未来を創り出すための強力なサポート制度です。専門家が無料で計画作りを手伝ってくれる伴走支援の仕組みもあるため、DXに詳しくない事業者でも安心してチャレンジできます。まずは現状の課題を洗い出し、早めに準備を進めていきましょう。
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