
先日、政府の重要課題や年末の予算編成の方向性を示す「骨太方針2025」が閣議決定されました。この「骨太方針」の主要施策の一つが「地方創生2.0」です。地方創生2.0は、東京への過度な一極集中という現状の是正を目指しつつ、人口減少が進む中でも経済を成長させ、社会が機能し続けるための適応策を講じていくことを目的としています。今回は、この「地方創生2.0」に関連し、①地方での起業(地方創生起業支援事業)と②地方への移住(地方創生移住支援事業)という二つの主要な支援事業をご紹介します。
セット活用で300万円交付、さらに子育て世帯には加算も
①地方での起業を支援=地方創生起業支援事業
この事業は、都道府県または市町村が、地域の課題解決につながる社会的事業を新たに始める方を支援するものです。支援の対象となる事業は、「社会性」「事業性」「必要性」に加え、特に「デジタル技術の活用」の観点を持った起業(社会的起業)です。各地方公共団体が起業のための伴走支援を行い、事業に必要な経費の一部を助成することで、効果的な起業を促進し、地域課題の解決を通じた地方創生の実現を目的としています。具体的には、子育て支援、地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など、地域の多様な課題に対応する幅広い分野の事業が想定されています。
補助額:最大200万円
補助割合:1/2
個人・法人、事業承継・第二創業も助成対象
助成対象となるための主な要件
新たに起業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)
ア.東京圏以外の都道府県や市町村または東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと。
イ.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと。
ウ.起業地の都道府県内に居住していること、または居住する予定であること。
事業承継又は第二創業する場合(次のア~ウすべてを満たすことが必要)
ア.東京圏以外の都道府県や市町村または東京圏の条件不利地域において、Society5.0関連業種などの付加価値の高い分野で、社会的事業を事業承継または第二創業により実施すること。
イ.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、事業承継または第二創業を行うもの。
ウ.本事業を行う都道府県内に居住しているか、または居住する予定であること。
【重要事項】
- 本事業は、計画を策定し実施している都道府県および市町村のみが対象となります。
- 東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府など、一部の都府県および市町村では本事業を実施していません。
- 令和7年度(2025年度)の実施予定は、上記の4都府県以外の43道府県となっています。
- 対象となる社会的事業の分野、申請書類、受付期間などの詳細な要件は、各道府県または各市町村が個別に設定しているため、起業を検討している地域の窓口に直接確認が必要です。本事業に関連して各道府県が開設しているウェブサイト一覧は、こちらから、ご覧いただけます
キーワード
第二創業
既存事業とは異なる新たな分野の事業を立ち上げること。
Society5.0
政府が提唱する「我が国が目指すべき未来社会の姿」のこと。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会の概念であり、サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)を高度に融合させ、経済発展と社会課題の解決を両立する、人間中心の社会を目指している。
東京圏と条件不利地域とは、具体的には以下の地域が該当します。

交付までの一般的な流れ
事業を希望する人は地方自治体の担当窓口に相談し、必要な書類を揃えて申請する。
申請後、審査を受け、交付が決定したら事業を開始(開業)する
事業実施後、実績を報告する。
報告された実績に基づき、所定の範囲内で、対象経費が精算払い(後払い)される。

②地方への移住支援:地方創生移住支援事業
地方創生移住支援事業は、地方公共団体が主体となって実施する移住支援策です。この事業は、東京23区に在住または通勤している方が、東京圏外の地域、あるいは東京圏内の条件不利地域へ移住し、特定の条件を満たす起業や就業、またはテレワークによる移住前の業務継続などを行う場合に、都道府県と市町村が共同で「移住支援金」を支給するものです。
※東京圏、条件不利地域については上記をご参照ください。
※移住支援金について。世帯の場合は100万円以内(18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満の者一人につき最大100万円を加算)、単身の場合は60万円以内で具体的な支給額は、各都道府県が設定します。
地方創生移住支援事業を実施している都道府県・市町村は こちら です。
移住支援金の交付対象となる要件
※次の①②③すべてに該当する方が対象となります。
【移住元に関する要件】東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者
- 移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住または東京圏(条件不利地域を除く)に在住し、東京23区へ通勤(※)している者。ただし、直近1年以上は、東京23区に在住または通勤していることが必要。
※雇用者としての通勤の場合にあっては、雇用保険の被保険者としての通勤に限ります。 - 東京圏(条件不利地域を除く)に在住しつつ、東京23区内の大学などへ通学し、東京23区内の企業などへ就職した者については、通学期間も本事業の移住元としての対象期間に加算可能。
【移住先に関する要件:東京圏以外の道府県または東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限ります)であること。
時期等の要件
- 転入後1年以内に移住支援金の申請を行うこと。
- 申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があること、など。
【就業などに関する要件】移住先の要件として、以下の1~4のどれかに該当する必要があります。
- 地域の中小企業などへ就業すること
- 移住支援金の対象として道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業すること。
- または、プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業すること。
- 自己の意思で移住し、移住前の業務をテレワークで継続すること。
- 自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行うこと。
- 市町村ごとの独自要件を満たすこと。
- 市町村が地域の人々とかかわりがある者(関係人口)として認め、地域の担い手となる要件を満たすこと。
(要件は市町村によって異なるため、詳細は移住希望先都道府県・市町村へ問い合わせてください)
- 地方創生起業支援事業を活用していること
- 1年以内に起業支援金の交付決定を受けていること。
【重要事項】
- 本事業の実施期間や支給額などの制度の詳細は、各地方公共団体によって異なります。必ず、事業を実施する都道府県・市町村が公表する最新の情報をご確認ください。
- 移住支援金は、返還が求められる場合があります。移住支援金の申請から5年以内に移住先から転出した場合や、虚偽の申請をした場合などは返還対象になります。詳細は、移住希望先市町村へ問い合わせてください。
注目
本事業の 公式サイト には、移住を検討する際の参考になる各種サイトが紹介されていますので、参考にされてください。
各都道府県・市区町村の移住等に関する総合的な窓口について。
地方移住やその検討に役立つ支援情報をが、まとまっています。
「地方暮らし」の魅力を紹介。
道府県別の移住支援事業の実績(令和元年度~5年度)をご覧いただけます。
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