
今回は総務省の令和7年度補正予算を解説します。地方交付税の増額分(約1.5兆円)を除いた、経済対策としての事業予算規模は約5,277億円です。
予算の柱は、3,326億円が計上された経済安全保障の強化です。宇宙・通信インフラの整備や次世代技術の研究開発に重点が置かれています。また、地域活性化や防災・減災対策、自治体システムの標準化など、地方自治体を支援する施策も盛り込まれています。
1. 低軌道衛星インフラ整備と海底ケーブルの分散
経済安全保障の観点から、通信インフラの整備や次世代技術の研究開発に巨額の予算が投じられます。通信インフラの強靱化とは、たとえるなら「デジタル社会の血管(海底ケーブルや衛星網)を太く、分散させて詰まりにくくする投資」です。こう考えると、地方分散や自律性の重要性が、身近に感じられますね。
自律性確保に向けた低軌道衛星インフラの整備の推進
- 予算:1,500億円
- 概要:海外に依存している低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスについて、我が国の自律性向上のため、インフラ整備を支援します。
海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラの強靱化
- 予算:400億円
- 概要:特定の地域に集中する海底ケーブル等の地方分散を推進するため、デジタルインフラの整備を支援します。
次世代通信技術(Beyond 5G・オール光ネットワーク)
- 予算:239億円+70億円=計309億円
- 概要:
- 革新的情報通信技術(Beyond 5G (6G))基金事業:2030年代の導入が見込まれる次世代情報通信基盤について、技術確立や社会実装を目指し、研究開発・国際標準化を支援します(239億円)。
- オール光ネットワーク技術開発:AI社会の基盤となるオール光ネットワーク(APN)の早期社会実装を目指し、イノベーションハブの構築等を行います(70億円)。
2. 地域資源の活用と関係人口の創出
地域経済の循環や、地域との関わりを深めるための新たな仕組みづくりが支援されます。
ローカル10,000プロジェクトの推進
- 予算:21.2億円
- 概要:産官学金の連携により、地域の資源と資金を活用した地域密着型の新規事業の立ち上げを支援し、地域の経済循環を創出します。
ふるさと住民登録制度の創設
- 予算:3.5億円
- 概要:関係人口を可視化し、地域の担い手確保や活性化につなげる「ふるさと住民登録制度」を創設します。スマホアプリ等で関心のある自治体を登録し、関わりを深められるよう、自治体におけるモデル事業を実施します 。

3. 携帯電話基地局の強靱化と消防DX
災害対策として、通信インフラの機能維持や消防分野へのデジタル技術導入が進められます。
携帯電話基地局等の強靱化・復旧体制強化
- 予算:計20.5億円
- 概要:
- 基地局の強靱化:災害時の停電や伝送路断による停波を回避するため、大容量蓄電池や発電機等の設置を支援します(7.5億円)。
- 通信復旧体制の強化:移動基地局や移動電源車等の応急復旧機材の配備を促進します(13.0億円)。
消防分野のDX推進
- 予算:計2.4億円
- 概要:
- 消防指令システムにおけるAI実証:緊急通報の音声の文字起こしやシステムへの自動入力など、AI実装に向けた実証事業を実施します(2.0億円)。
- 消防団ドローン・DX推進:消防学校においてドローンの操縦講習や実践的な技術習得に向けた講習を実施します(0.4億円)。
4.システム標準化とマイナンバーカード
自治体情報システムの標準化の推進
- 予算:559.4億円
- 概要:自治体情報システムの標準準拠システムへの移行に必要となる経費(現行システムの分析、データ移行等)を自治体に補助します。
マイナンバーカードの利便性向上・取得環境整備
- 予算:701.6億円
- 概要:カードや電子証明書の急増する更新需要に対応するとともに、出張申請受付等を推進するなど、円滑な取得環境や交付体制を整備します。

5.経済安全保障への重点投資と地方基盤の整備
今回は総務省の補正予算を紹介しました。予算構成としては「経済安全保障の強化」に3,326億円と過半数が配分されており、特に低軌道衛星インフラ(1,500億円)や海底ケーブル(400億円)といった通信基盤への投資規模が大きくなっています。また、地域活性化の分野では、地域資源を活用した事業立ち上げを支援する「ローカル10,000プロジェクト」や、新たな「ふるさと住民登録制度」などが盛り込まれており、地方自治体や地域企業の取り組みを後押しする内容となっています。
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