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2025.12.26

【ウォッチ🔍令和7年度補正予算案】観光・インバウンド 観光立国復活へ225億円! 「稼げる観光地」めざして集中投資

今回は観光庁の令和7年度補正予算案(総額225億円)を解説します。

インバウンド需要が回復する一方で、「オーバーツーリズム(観光公害)」や「深刻な人手不足」といった課題が浮き彫りになっています。今回の補正予算では、「持続可能な観光」をテーマに、地方誘客の促進や観光消費の拡大を図りつつ、地域住民の安全・安心を守るための施策が柱となっています。特に、宿泊事業者や観光地が直面する課題を解決するため、省人化投資や高付加価値化に重点が置かれました。これらは、観光産業の収益力と生産性の向上に直結する重要な施策です。

1.省力化設備投資を補助金で支援

宿泊業などで深刻化する人手不足に対応するため、業務効率化と待遇改善に向けた支援が行われます。

観光地・観光産業における省力化・省人化等推進事業
  • 予算案:25.5億円
  • 設備投資支援:地方公共団体や民間事業者を対象に、自動チェックイン機や配膳・清掃ロボットなど、省力化に資する設備の導入を支援します(補助率は原則1/2)。
  • 地域一体の効率化:地域の複数の宿泊事業者が共同で利用するセントラルキッチンや従業員寮の整備・改修も支援対象です。個々の事業者が単独で解決が難しかったコストや人材確保の課題に、地域全体で取り組むことが可能になります。
  • 人材確保:特定技能外国人の受入体制強化やマッチングイベントの実施のほか、宿泊業の待遇改善策の検討などを通じて、観光産業の基盤強化を促進します。

(図表の出典はいずれも観光庁予算掲載の資料)

2.混雑解消に向け、二次交通と「手ぶら観光」を強化

一部の地域に観光客が集中することによる弊害(交通渋滞やマナー違反)を防ぐための対策が強化されます。

オーバーツーリズム対策等観光交通確保事業
  • 予算案:67.7億円
  • 「手ぶら観光」等の推進:既存の公共交通機関等において、大きな荷物を持った旅客対応(手ぶら観光配送等)やキャッシュレス決済の普及、快適な乗り場環境整備等の取組を支援し、地域住民と観光客の移動環境を両立させます。
  • 二次交通の確保:地方部等における観光二次交通を確保するため、「日本版/公共ライドシェア」の導入や、タクシー乗り場の環境整備などを支援します。これは、地方誘客を促進しつつ、地域全体の「移動の足」を守ることにも繋がります。

3.特別な体験と地方誘客で単価アップ

都市部に偏りがちなインバウンドを地方へ誘客し、消費単価を高めるためのコンテンツ造成が進められます。

観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業

  • 予算案:49億円
  • 概要:この事業は、地方公共団体、DMO、民間事業者等を対象に、高単価コンテンツの開発などを支援します。
  • 補助内容:例えば「新創出型」の場合、400万円までの定額補助に加え、それを超える部分は最大1/2の補助率で支援されます(※タイプにより補助上限額が異なり、最低事業費600万円等の要件があります)。
  • コンテンツ造成:地域の自然や文化を活かした体験コンテンツや、品質を高めた「ガストロノミー(食文化)」をテーマにした高単価なツアー商品の開発を支援し、消費単価の拡大を促します。
  • ガイド育成:高品質な体験を提供できるガイド人材の育成や評価制度の構築も後押しします。

インフラの観光資源化
  • 予算案:1.1億円
  • 概要:ダムや橋などのインフラ施設を観光資源として活用(インフラツーリズム)するため、施設管理者等に対し、ライトアップ機材の導入やWi-Fi整備、多言語案内看板の作成などを支援します。

4.地方でも安心できる医療・決済環境

方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業
  • 予算案:8.8億円
  • 概要:医療機関、観光施設、地方公共団体など幅広い主体を対象に、受入環境の整備を支援します。
  • 医療・災害対応:地方での安心確保のため、医療機関におけるキャッシュレス決済や多言語対応の環境整備を支援します。また、観光施設には非常用電源装置や熱中症対策設備の整備、避難所機能の強化を促します(補助率は事業により1/2等)。
  • クマ対策:クマの出没情報を多言語で発信するなど、自然豊かな地方ならではのリスク対応も強化します。

ユニバーサルツーリズムの促進
  • 予算案:40億円
  • 概要:高齢者や障害者など誰もが気兼ねなく旅行できるよう、宿泊施設や観光施設のバリアフリー改修(客室の段差解消や手すり設置など)を支援します。
  • 補助内容:補助率は1/2、上限額は1,500万円です(自治体と防災協定を結ぶ事業者は上限増額の可能性があります)。

5.量から質へ、観光産業の転換点

今回は観光庁の予算案(総額225億円)を解説しました。これまでの「とにかく数を呼ぶ」フェーズから、「人手不足を解消しながら、質(単価)を高め、地域住民と共生する」フェーズへと、観光政策の舵が大きく切られていることが分かります。
特に、宿泊施設等の省力化投資やバリアフリー改修(補助率1/2)といった、設備投資を伴う補助金施策は、事業者の生産性向上や経営改善に直結する施策です。それぞれの事業には公募要領で定められる詳細な要件(最低事業費や対象経費など)がありますので、公募開始のタイミングで公式サイトの最新情報をチェックするようにしてください。

 

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