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2025.12.18

【ウォッチ🔍令和7年度補正予算案】防災・交通・物流 過去最大級3兆円の投資! 国土強靱化と「移動の足」再構築へ

今回は国土交通省の令和7年度補正予算案を解説します。予算規模は過去最大級となる総額3兆557億円(自動車安全特別会計への繰戻し等を含む)。
今回の目玉は、総額1.8兆円にも上る「防災・減災、国土強靱化」への集中投資と、人口減少で危機に瀕する「地域交通・物流」の再構築です。私たちの安全な暮らしを守るためのインフラ整備(ハード)と、経済活動を支える交通サービス(ソフト)をどう守るのか、主要な施策を見ていきましょう。特に、この巨大な投資や支援策が、中小の建設業者や運輸・物流事業者の皆さんにとって、具体的にどのような商機や経営課題の解決をもたらすのか、その視点から施策を深掘りします。

1. インフラ老朽化対策と流域治水へ集中投資

今回の補正予算の最大の柱が、災害対策です。「危機管理投資・成長投資」の枠組みの中で、防災・減災・国土強靱化に約1兆8,003億円(国費)が計上されました。

能登半島地震等からの復旧・復興
  • 予算案:約4,950億円(施設災害復旧等)
  • 概要:河川、道路、港湾、上下水道などのインフラ復旧を本格化させるとともに、同じ施設や場所が同じように被災する「再度災害」を防止するための改良復旧を積極的に進めます。また、被災者の住まい確保のため、災害公営住宅への支援も行います。
流域治水とインフラ老朽化対策
  • 予算案:流域治水に約2,756億円、老朽化対策に約1,752億円
  • 概要:気候変動で頻発する豪雨災害に備え、堤防整備やダム再生などの「流域治水」を加速させます。また、インフラ老朽化に起因する重大な事故を防ぐため、河川・ダム、道路、都市公園、鉄道、港湾等の重要インフラについて、予防保全的な修繕を集中的に実施します。
  • ポイント:この集中的な対策は、地域の守り手である建設・メンテナンス分野の中小企業に対し、安定的かつ継続的な修繕需要をもたらすことが期待されます。

2. 「移動の足」を守るライドシェア・自動運転の実装

バスやタクシーの運転手不足により、地域の足が失われる「交通空白」の解消に向けた取り組みが強化されます。

地域公共交通の「リ・デザイン」
  • 予算案:約379億円(公共事業関係費と非公共事業費の合計)
  • ライドシェア導入:自治体や事業者が連携して行う「日本版ライドシェア」や「公共ライドシェア」の導入、デマンド交通の実装を支援し、地域の輸送資源をフル活用します。
  • 自動運転・ローカル鉄道:自動運転移動サービスの事業化や、ローカル鉄道の再構築に向けた実証・実装を支援します。
タクシー・バス等の人材確保
  • 予算案:約65億円
  • 概要:二種免許の取得支援や採用活動への助成を行い、ドライバー不足の解消を図ります。

3. 経済安全保障と2024年問題への対応

造船業の再生・強化
  • 予算案:約1,204億円
  • 概要:経済安全保障の観点から、我が国の造船能力を抜本的に向上させるため、生産基盤の強化や先進生産技術の開発・実証を支援するための基金を創設します。これは、海事関連産業の国際競争力回復を目指す大規模な投資です。
物流コスト削減(高速道路割引)
  • 予算案:約78億円
  • 概要:物流事業者(トラック運送事業者等)のコスト負担を軽減するため、高速道路の大口・多頻度割引の最大割引率(最大50%割引)の拡充措置を令和9年3月末まで延長します。これは「2024年問題」に対応した物流効率化への直接的な支援策です。
タクシー燃料価格激変緩和対策
  • 予算案:約19億円
  • 概要:LPガス価格高騰の影響を受けるタクシー事業者に対し、燃料油価格激変緩和対策事業に準じて支援を継続します。

4. リフォーム・空き家活用で、中古住宅市場を活性化

住宅価格高騰対策
  • 予算案:約18億円
  • 概要:都市部を中心に住宅価格が高騰する中、比較的購入しやすい既存住宅(中古住宅)の流通を促進します。具体的には、空き家の利活用やリフォームへの支援、および固定金利型住宅ローンの利用円滑化等を通じて、中古住宅市場の活性化を後押しする施策であり、不動産仲介業やリフォーム・建設業の中小企業に影響を与えるものです。

5. 建設・運輸・不動産業の賃上げ環境整備

今回の補正予算では、金額規模はそこまで大きくないものの、中小企業の稼ぐ力と賃上げを支えるための環境整備予算も計上されています。

建設・不動産・運輸業の市場環境整備(約7億円)
  • 建設業:労務費の適切な転嫁を確保するための実効性ある対策や、若手入職者の拡大に向けた魅力発信などを推進します。
  • 不動産業:省力化による生産性向上を通じ、地域の事業者の稼ぐ力の強化を後押しします。
  • 運輸業:内航海運の省力化投資や、港湾運送事業の取引環境改善(適正な運賃設定など)に向けた調査・検討を行います。

6.生活の足元と安全を固める投資

今回は国土交通省の予算案から、私たちの命を守る「防災(強靱化)」と、生活の足を支える「交通・物流」に焦点を当てました。1.8兆円規模の強靱化投資は、建設・土木関連の中小企業にとって安定的かつ継続的な需要につながると考えられます。また、ライドシェアや自動運転といった新技術の社会実装は、地域交通のあり方を大きく変える転換点となりそうです。
これら以外にも、国交省予算では建設産業、不動産業、運輸業の持続的な成長のための市場環境整備(約7億円)など、中小企業の賃上げや稼ぐ力強化を目的とした事業も盛り込まれており、今後の動向が注目されます。

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