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2025.12.11

【ウオッチ🔍令和7年度補正予算案】省エネ・GX 固定費を削って利益を生み出す 総額数千億円規模の投資支援

燃料費や電気代の高騰は、中小企業の利益を直接圧迫し続けています。経済産業省の補正予算では、環境対策(GX:グリーントランスフォーメーション)としての側面だけでなく、企業の足腰を強くするためのコスト削減投資に対する強力な支援が盛り込まれました。 古い設備を更新して光熱費を下げる「省エネ補助金」の使い勝手向上や、社用車のEV化、さらには「どこから手を付けるべきか」を診断する専門家派遣まで、実利に直結するメニューを解説します。

1. 「省エネ補助金」が納期遅れにも対応しやすく進化

「省エネ補助金」として知られる定番の支援策が、企業の投資環境に合わせて改善され、予算化されました。

省エネルギー投資促進支援事業費補助金

  • 予算案: 125億円(国庫債務負担行為を含め総額175億円規模)
  • 概要: 工場や事業場において、古い設備をエネルギー消費効率の高い設備へ更新する費用を支援します。
  • 対象設備: ユーティリティ設備(高効率空調、LED照明、ボイラー等)や生産設備など、「設備単位」での更新が可能です。
  • 👆重要改善ポイント: 昨今の設備納期の遅れ等を考慮し、単年度での事業実施が困難な場合に「複数年度」にまたがる事業実施が可能となりました。
  • メリット: 「年度内に工事が終わらないから申請を諦める」というリスクが軽減され、計画的な設備更新が可能になります。

2. 配送コスト削減に直結する次世代車への投資

営業車や配送用トラックの燃料費削減に直結する、次世代自動車への買い替え支援です。

クリーンエネルギー自動車導入促進補助金

  • 予算案: 1,100億円
  • 概要: 電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車等の購入費用の一部を補助します。乗用車だけでなく、商用利用の車両も対象となります。

充電・充てん設備等導入促進補助金

  • 予算案: 500億円
  • 概要: EV等の導入に合わせて必要となる「充電設備」や「水素ステーション」の設置費用(設備費・工事費)を補助します。特に商用車の導入促進を図る重点地域では、集中的な支援が行われます。

3. 無駄を「見える化」する専門家派遣

「光熱費を下げたいが、どの設備から更新すれば効果的か分からない」という企業におすすめの支援です。

中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費(省エネ診断)

  • 予算案: 33億円
  • 概要: 省エネの専門家が工場やビルを現地調査し、エネルギー使用状況を分析。「運用の改善」や「設備投資の提案」を行う「省エネ診断」にかかる費用を補助します。
  • メリット: 診断を受けることで、投資対効果の高い箇所が明確になります。
    また、診断結果の実現に向けて、ソリューション企業とのマッチング支援なども行われます。
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁の省エネポータルサイト掲載の中小企業向けパンフレット)

4.大家さん必見、賃貸物件の給湯器支援

賃貸経営を行う中小企業・個人事業主の方に向けた、新しい切り口の補助金です。

既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業

  • 予算案: 35億円
  • 背景: これまで、省エネ性能が高い「ヒートポンプ給湯機(エコキュート等)」はサイズが大きく、設置スペースが限られる既存のアパートやマンションでは導入が難しいという課題がありました。
  • 概要: 設置スペース等の都合から大型機の導入が難しい「既存賃貸集合住宅」向けに、小型の省エネ型給湯器(エコジョーズ等)への交換費用を定額補助します。
  • メリット: 物件の付加価値向上とランニングコスト削減(入居者メリット)の両立が期待できます。

5. サプライチェーン強靱化とサイバーセキュリティ

次に、リスク管理や先端産業への参入を目指す企業向けのトピックを紹介します。

GXサプライチェーン構築支援

  • 予算案: 55億円(国庫債務負担行為を含め総額845億円規模)
  • 概要: ペロブスカイト太陽電池や水電解装置など、脱炭素(GX)分野の部素材を製造する国内サプライチェーンへの投資を支援します。

産業サイバーセキュリティ対策の強化

  • 予算案: 57億円
  • 概要: デジタル化が進む中、中小企業を狙ったサイバー攻撃が増えています。安価で安心なセキュリティサービス「サイバーセキュリティお助け隊」の普及など、中小企業が対策しやすい環境が整備されます。

6.コスト削減を利益に変えるチャンス

今回は、企業の利益体質を強化する「省エネ・GX」関連の支援策をご紹介しました。
エネルギー価格の高騰が続く中、固定費の削減は、売上アップと同じくらい重要な経営課題です。今回の補正予算で用意された省エネ補助金やEV導入支援、専門家診断を有効活用することで、環境対応と同時に「コスト削減」を実現し、賃上げや次の成長投資に向けた原資を生み出すことができます。
ぜひ、自社の工場設備や社用車、賃貸物件等の状況を見直し、活用できる支援策がないか検討してみてください。

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