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2025.12.11

【ウオッチ🔍令和7年度補正予算案】中小企業向け支援策 総額1兆円超賃上げ・成長支援パッケージ

このほど、国の令和7年度補正予算案が閣議決定されました。各省庁の補正予算案資料から、注目トピックをまとめて、ご紹介します。まずは、経済産業省・中小企業庁が発表した、中小企業・小規模事業者の皆様の経営に直結する支援策を取り上げます。物価高や人手不足、最低賃金の引上げなどの課題に対応するため、補正予算案8,364億円に加え、既存基金の活用を含めて総額1兆円を超える規模の対策が用意されました。今回は特に「攻めの投資」に対する支援が、企業の成長ステージや目的に応じて整理されています。

1. 最大50億円の大型支援

今回の補正予算案の中で最も予算規模が大きく、飛躍的な成長を目指す企業向けの支援策です。

中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
(予算案:4,121億円 ※新規2,000億円、既存2,121億円)

人手不足等の課題に対応し、工場等の拠点新設や大規模な設備投資を行う企業を強力にバックアップします。

  • 概要: 労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を図るための大規模投資を支援します。
  • 投資規模の要件:
    • 新規公募分の投資下限額:20億円(「100億宣言企業」は15億円
    • 補助上限額:50億円
  • 「100億宣言企業」枠: 売上高100億円を目指す企業に向けた専用枠(1,000億円程度)も確保されています 。
  • 経営人材確保支援: 本事業とセットで、大企業から経営人材を受け入れた場合、「地域企業経営人材確保支援事業給付金」として、最大450万円(転籍等の場合)などが支給されます。
(出典:経済産業省のウェブサイト「令和7年度補正予算案の概要」掲載の資料)

2. 既存基金と生産性革命推進事業の使い分けがカギ

従来、多くの中小企業が活用してきた設備投資や販路開拓の支援は、目的に応じて「既存基金」と「新規予算(生産性革命推進事業)」の2つのルートで実施されます。

① 一般的な設備投資・省力化(既存基金の活用)

これまでの設備投資支援に近いニーズに対応するのが、こちらの「既存基金」を活用した枠組みです。

  • 革新的製品等開発や新事業進出支援(1,200億円規模)
    • 概要: 中小企業等の革新的製品・サービス開発や、海外を含む新市場への進出等に係る設備投資等を支援します。
    • ポイント: 「新製品・新サービスの開発」や「設備投資」を支援する内容となっており、従来のものづくり補助金等で支援されてきた取り組みへの活用が期待されます。
  • 省力化投資支援(1,800億円規模)
    • 概要: 業種別の「省力化投資促進プラン」に基づき、省力化投資を推進します。従業員規模ごとの補助上限額の見直しなども行われる予定です。
② さらなる成長・DX・販路開拓(中小企業生産性革命推進事業/補正予算案:3,400億円)

より高い成長目標や、デジタル化、販路開拓を目指す企業向けの支援です。

  • 中小企業成長加速化支援事業(中小企業成長加速化補助金)
    • 概要: 売上高100億円を目指すような、飛躍的な成長を志向する企業の設備投資等を支援します。
  • 中小企業デジタル化・AI導入支援事業(デジタル化・AI導入補助金)
    • 概要: 業務効率化やDX推進に加え、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援します。
  • 小規模事業者持続的発展支援事業(小規模事業者持続化補助金)
    • 概要: 小規模事業者が自ら経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取組を支援します。
  • 事業承継・M&A支援事業(事業承継・M&A補助金)
    • 概要: 事業承継・M&Aに際し、設備投資やM&A前後(PMIを含む)での専門家活用費用等を支援します。
(出典:中小企業庁のウェブサイト「中小企業対策関連予算」掲載の資料)

3. コスト高や債務負担、関税リスクに対応するセーフティネット

厳しい財務状況にある企業や、米国関税等の外部環境変化の影響を受ける企業向けの支援です。

  • 中小企業信用補完制度関連補助事業(信用保証料補助)
    • 予算案:152億円
    • 内容: 経営改善や事業再生に取り組む中小企業の借入に対し、信用保証料を補助します。
  • 日本政策金融公庫等による資金繰り支援(米国関税対応)
    • 予算案:40億円
    • 内容: 米国関税措置の影響を受けた事業者等に対し、資金繰り支援を実施します。
  • 認定支援機関による経営改善計画策定支援事業
    • 予算案:101億円
    • 内容: 認定支援機関(税理士等)の助言を受けて経営改善計画を策定する際の費用の一部を国が負担します。
  • 中小企業活性化・事業承継総合支援事業
    • 予算案:74億円
    • 内容: 再生支援や事業承継のマッチング支援等を実施します。

4. 相談体制の強化/価格転嫁を後押し

  • 事業環境変化対応型支援事業
    • 予算案:148億円
    • 内容: 最低賃金引上げやインボイス対応等の相談体制を強化します。「よろず支援拠点」の増員や「インボイス相談窓口」の設置などが行われます。
  • 中小企業取引対策事業
    • 予算案:7.6億円
    • 内容: 下請Gメンによる調査や価格交渉力向上のための情報発信を行い、適切な価格転嫁を後押しします。

5.被災地のなりわい再建

  • なりわい再建支援事業等
    • 予算案:計 約268億円
    • 内容: 令和6年能登半島地震、福島県沖地震、令和2年7月豪雨等の被災事業者に対し、施設復旧費用等を支援します。

6.自社のフェーズに合わせた活用を

今回の対策は、補正予算だけでなく既存基金もフル活用した1兆円規模のパッケージとなっています。特に以下のポイントをチェックし、有効活用してください。

  1. 数十億円規模の工場新設・大型投資
    👉 「大規模成長投資補助金」をチェック。
  1. 新製品開発・設備投資
    👉 「革新的製品等開発や新事業進出支援(既存基金)」や「成長加速化補助金」をチェック。
  1. IT化・販路開拓・省力化
    👉 「デジタル化・AI導入補助金」、「持続化補助金」、「省力化投資支援」をチェック。
  1. 資金繰り・経営改善
    👉 「信用保証料補助」や公庫の「資金繰り支援」を活用。

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