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2025.12.12

元法務省職員で在留資格(ビザ)申請に精通 運送業分野、特定技能・育成就労やインドネシアとの連携にも注力

外国人雇用の現場で、企業と本音で真摯に向き合う行政書士の大北晋也さん。近年は経営管理ビザの要件が厳しくなり、外国人起業家にとってハードルが上がっていますが、そのような難化する在留資格申請にも精通し、的確に対応しています。

――法務省に勤務されていたということで、当時の経験が、外国人関係の現在の仕事に繋がっているのかと思ったのですが、どちらかと言えば、その後の民間企業の経験が生きているのですね。

そうです。会社員時代は新規事業の開発などに携わり、その中で食品製造の現場や技能実習生と関わる機会がありました。

――在留資格(「ビザ申請」という)に力を入れておられますが、外国人の方とのコミュニケーションなど、気をつけていることはありますか。

分かりやすく、単純化して話すということです。お客様が日本人の場合は丁寧に、正確さを重視します。しかし、外国人の場合は正確さを重視しすぎて丁寧に説明するほど、分かりづらくなってしまいます。

――外国人の依頼者とは通訳を介されているのでしょうか?

通訳を挟む場合もありますし、そうではない場合もあります。私自身は現在、インドネシア語の勉強中です。

相手に合わせた接し方

――外国人の方は、日本での生活に不安を抱えていると思います。接する際に心掛けていることはありますか。

基本は、相手の話に耳を傾け、同じ時間を共有することです。もちろん、求められる接し方は人それぞれ違います。膝を突き合わせてじっくり対話をした方が良い方には、深く関わってお話をします。一方で、そうではない方の場合は、無理に言葉を交わすよりも、できる限り一緒に過ごして、同じ場の空気を共有することを大切にしています。

――外国人従業員を雇用する側の企業と接するにあたり、気を付けていることは。

外国人の方を採用することの意味や重みについての認識という点では、率直なところ、濃淡があると感じています。人手不足で企業が苦労をされていることは理解していますが、安直な考えではだめです。そのような考えでは、外国人従業員に定着してもらうことは難しいですよということは、率直に申し上げています。企業、外国人従業員双方にとって「定着できる環境」が望ましいことは言うまでもありません。そのために、企業側にお伝えすべきは伝え、守っていただくべきは守っていただくというのが、私のスタンスです。
そういった点をきちんと理解している企業は、きちんとした方を雇用されますし、結果として従業員も定着します。これが一番の理想形です。働く側と雇う側が歩み寄ることができるよう、両者をうまく繋ぐこと。それが、私の果たすべき役割だろうと考えています。

行政手続きはプロセスが違えば結果も変わる

――外国人材の採用に関しては、制度的に複雑な部分もあると思います。企業の中には、知らないが故にうかつに振舞ってしまう…という部分があるのでは。

その通りだと思います。外国人、企業ともに言えることですが、正確な情報がなかなか伝わっていない。「友人の場合はこうだった」「知り合いはこう言っていた」という、いわゆる噂レベルの情報を鵜呑みにして相談に来られることが多いのですが、それは決して正確な情報ではありません。
なぜなら、そうした噂話は「うまくいった」「ダメだった」という結果しか伝わっておらず、そこに至るプロセス(経緯や条件)が抜け落ちているからです。行政手続きにおいて、結果を左右するのはプロセスです。「知人がダメだったから自分も無理だ」と安易に判断される方が多いのですが、たどるルートや前提条件が違えば、結果は全く異なるものになります。そのため、誤った認識を持っておられる方には「プロセスが違えば結果も変わる」ということを、かなり強調してお伝えするようにしています。

――2027年4月に育成就労制度が施行予定です。

育成就労制度は、2027年4月に技能実習制度を廃止して導入される新制度です。最長3年間の就労を通じて技能を習得し、試験等を経て特定技能1号へ円滑に移行できる仕組みが特徴です。対象職種も拡大する見込みであり、私自身もこの分野に参入していきたいと考えています。

――こういった制度変更などに関する情報は、どのように収集されているのですか。

最新の情報については、企業の動きが早いですね。メールマガジンなども端緒にしながら、情報の核になる部分はどこなのかを探し出して調べるようにしています。

――特定技能では「自動車運送業」が創設されました。

自動車運送業の特定技能については、ご相談が増えるのはこれからだと見ています。現状、この分野は自社で国内外に教習所を持っていたり、指導員や教育設備が充実していたりする大手企業が圧倒的に有利な状況です。
一方で、中小企業はそうした育成環境を整えるのが難しく、外国人をドライバーとして迎え入れる「準備段階(ステージ)」にまで達していないのが実情です。だからこそ、私が目指すのは、中小企業が、その「採用できるステージ」に上がるための体制づくりを支援することです。
また、大手の採用枠には入らなかったものの、十分に活躍できるポテンシャルを持った人材を開拓し、中小企業とマッチングしていくことにも力を入れたいと考えています。

――自動車運送業分野で特定技能外国人を雇用する企業には、「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入が義務付けられているそうですが、見落としがちな要件ではないですか。

自動車運送業分野の事業者(トラック・バス・タクシー)はすべて、特定技能外国人を雇用する際に「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入が必須です。加入手続き自体は決して難しいものではなく、業界内では割と当たり前のこととして認知されています。加入すること自体が大きな壁になるわけではありません。
とはいえ注意点はあります。加入そのものより、「どのタイミングで手続きを行うか」という手順(プロセス)が重要です。入管への申請や、外国人の呼び寄せを行う一連の流れの中で、この手順の前後関係を間違えてしまうと、手続き全体に無駄な時間がかかってしまいます。ですから、協議会への加入手続きそのものというよりは、全体の審査が遅れないように適切な順序で進めるという点に注意を払っています。

――千葉市内で開業していらっしゃいますが、千葉市あるいは関東地域からの依頼が多いですか。 地域性は、ほぼ関係ありません。コロナ禍以降はオンラインによる打ち合わせや相談が主流になり、地域を問わず、ご依頼をいただいています。ただ、マーケットとしては関東・首都圏が中心であり、千葉市を拠点に全国対応できる体制を整えています。

廃棄物処理業や倉庫業に参入予定の方はご相談を

――これから力を入れていきたい業務の分野をご紹介ください。

大きく三つあります。一つは経営・管理や高度人材の在留資格についての相談対応です。この分野は、ここ半年で、行政書士に求められるレベルは格段に上がっています。特に中小企業に対しては、コンサルティングにまで踏み込まないと対応できない状況だと感じています。
二つ目は、特定技能の対象に追加予定の廃棄物処分業と物流倉庫業についてです。この分野は、懇意にさせていただいている方と提携しながらかかわっていきたいと考えています。新たに廃棄物処理業や倉庫業で外国人雇用をすることを検討している方は、事前にご相談いただければ、いろいろと対応できることがあるのではないかと考えています。
最後は、インドネシアに関係することです。現在、現地の関係者と業務提携を進めるなどして、連携を深めている最中です。単に労働者を呼ぶだけでなく、特定の地域に入り込んで「地域おこし(地域活性化)」と人材育成をセットにしたプロジェクトを計画しています。現地の地域発展に貢献しつつ、そこから日本へ人材を送り出し、日本でしっかりと育成するという循環(流れ)を作りたいと考えています。今後は、こうしたインドネシアとの独自のパイプラインも強みになりますので、インドネシア人材の受け入れに関しても、ぜひご相談いただければと思います。

――最後に、相談を検討している企業や外国人の方へのメッセージをお願いします。

お客様がご相談に来られるタイミングは、大きく分けて二つのパターンがあります。一つは、新規事業を始める前など、動き出す前の段階で計画的に相談に来られる方。もう一つは、トラブルが起きて「火がついた」状態になり、慌てて駆け込んでこられる方です。
前者の「事前に相談される方」に対しては、まだ漠然としている計画を具体化するお手伝いをすることが、私の重要な役割になります。
一方で、実際には後者の「慌てて来る方」がかなり多いのが現状です。専門家としては、トラブルになる前に、あと1歩か2歩手前の段階で相談に来ていただければ、打てる手も多いのに…と感じることが、ままあります。
事務所によって方針は異なると思いますが、私は基本的に「飛び込み(事前準備なしの即時相談)」は、その場でお受けすることは少なく、アポイントメントを入れて時間の取れるときに対応します。もちろん、緊急時にお電話などで概要だけお聞きすることはありますが、責任を持ってお答えするためには、当方も事前のリサーチや下準備が欠かせません。お客様のニーズに的確に応えるためには、どのような解決策があるか情報をしっかりと仕入れ、準備を整える時間が必要だからです。
そのため、最初の相談であっても、きちんとお時間を確保するという形で対応させていただくスタイルをとっておりますので、ご理解いただければと思います。

専門家プロフィール

大北 晋也

行政書士事務所TAKO・GIVER
行政書士

国と地方の公務員を経て企業へ就職。法務省職員時代には、社会人入試制度を活用し大学院で経営組織論を学んだ。
お客様が納得されるまで、くっついて離れない精神で寄り添う――。事務所名には、そのような思いも込められている。

事業者情報
事務所名行政書士事務所TAKO・GIVER
代表者大北 晋也
連絡先050-3743-3741/rebelliongyousei@group.email.ne.jp
事業内容就労系在留資格(就労ビザ)申請、不服申立て、相談・コンサルティング
住所〒260-0025 千葉市中央区問屋町1-50 
千葉ポートタウン108-A Chiba Visa Support Station内
アクセスJR千葉駅から 徒歩20分
京成千葉線千葉中央駅から 徒歩15分
千葉都市モノレール市役所前駅から 徒歩10分
JR京葉線千葉みなと駅から 徒歩15分
営業時間平日9:00~17:00(メールは24時間365日対応)
定休日土日祝日
ホームページhttps://rebelliongyousei.jp/

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