
新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継として、令和6年度補正予算で新設された注目の補助金です。本ブログでは、その概要、補助額、対象経費、申請の流れ、事業再構築補助金との違いについて詳しく解説します。
新事業進出補助金とは?
新事業進出補助金は、中小企業・小規模事業者が新たな市場や高付加価値事業への進出を支援するために創設された補助金です。企業の成長・拡大を促進し、生産性向上や賃上げにつなげることを目的としています。
POINT
事業再構築補助金の後継として1,500億円の予算が組まれている注目の補助金です。

(参考:中小企業庁令和6年度補正予算・令和7年度当初予算関連より)
補助額と補助率
補助額と補助率は、企業の従業員数や賃上げの取り組みに応じて異なります。事業再構築補助金と同じく金額は高めの補助金になります。以下に、従業員数別の補助上限額を示します。
従業員数 | 通常の補助上限額 | 大幅賃上げ特例適用時の補助上限額 |
---|---|---|
20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 |
21~50人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
51~100人 | 5,500万円 | 7,000万円 |
101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
大幅賃上げ特例を適用するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 事業終了時点で、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること。
- 給与支給総額を年平均6%以上増加させること。
これらの要件を達成することで、補助上限額が引き上げられます。
補助対象経費
新事業進出補助金で補助対象となる経費は以下のとおりです。
事業再構築補助金では対象外だった「構築物」が対象になっています。
また建物費・広告費と用途が幅広いのも特徴です。
補助対象となる経費
- 建物費:新たな拠点の新設や増築にかかる費用。
- 構築物費:建物以外の構築物に関する費用。
- 機械装置・システム構築費:生産設備や情報システムの導入費用。
- 技術導入費:新技術の導入にかかる費用。
- 専門家経費:専門家への相談や指導にかかる費用。
- 運搬費:機械や設備の運搬にかかる費用。
- クラウドサービス利用費:クラウドサービスの利用にかかる費用。
- 外注費:外部業者への業務委託にかかる費用。
- 知的財産権等関連経費:特許取得などにかかる費用。
- 広告宣伝・販売促進費:新事業の広告や販売促進にかかる費用。
公募はいつから?公募スケジュール
新事業進出補助金の公募は令和7年4月より公募(公募要領の公開)を行うとされています。
(「中小企業新事業進出促進事業」に係る事務局公募要領より)
この補助金は、2026年3月末までに合計4回の公募が予定されており、累計6,000件の採択が見込まれています。
詳細なスケジュールや申請手続きについては、今後公式発表が行われる予定ですが、最新情報を随時確認しながら、早めの申請準備を進めることをお勧めします。
基本要件は?
中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業(※)への挑戦を行い、 (※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること)
- 付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における 最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、 又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円 以上の水準
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等 の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。
事業再構築補助金との違い
新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継として始まります。では、事業再構築補助金との違いはなんでしょうか?
対象経費に「構築物」が追加
補助対象経費
- 建物費
- 構築物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
新事業進出補助金では、事業再構築補助金で対象外だった「構築物費」が新たに補助対象に加わりました。これにより、建物の新設や増築だけでなく、構築物に関する投資も支援の対象となります。
収益納付を求められなくなりました
事業再構築補助金では、補助金を受けて実施した事業で利益が出た場合、その一部を国に返納する「収益納付」の制度がありました。新事業進出補助金では、この収益納付が求められなくなり、得た利益を全て事業者のものとすることができます。
これらの変更により、新事業進出補助金は、より幅広い経費を支援し、事業者の負担を軽減する制度となっています。
申請に向けた流れ
- 1. 事前準備
- GビズIDプライムの取得:電子申請にはGビズIDプライムが必要です。未取得の場合は早めに申請しておきましょう。
見積書の準備:公募が始まっていざ計画書を書きたいと思っても見積書が揃わなくて申請に間に合わなかったということもよくあります。また採択後の経費の変更はできませんので、しっかりと固めておくことが大切です。
専門家探し:公募前から申請について相談にのってくださる専門家もいらっしゃいます。公募開始後にすぐに取り掛かれるように専門家に頼む際は早めに探して相談をしておきましょう。
- 2. 公募開始・申請書類の作成
- 公募開始後、最新の公募要領を確認し、必要書類を準備します。公募要領を読み込み、申請に必要な要件や審査項目を網羅するよう計画書を作成します。
- 3. 電子申請
- 申請は「jGrants」を通じてオンラインで行います。必要書類をすべて揃えた上で、締切までに提出しましょう。
- 4. 審査・採択
- 提出後は書類審査が行われ、審査基準に基づき採択が決定されます。採択結果は公式サイトで公表され、採択者には通知が届きます。
- 5. 交付申請
- 採択された内容の通りに見積依頼書・見積書・設計図・カタログ・仕様書などを揃えて提出します。審査には1~3ヵ月程度かかり、交付決定がでてからの発注となりますので、納品が事業完了期限までに終わるように採択後できるだけ速やかに提出を行うことが大切です。
- 6. 事業実施・実績報告
- 交付決定後ついに発注・納品・支払いを行います。事業終了後、補助金の支給を受けるために実績報告を行います。経費証拠書類を正確に揃え、報告内容に漏れがないように申請します。
- 7. 清算払い請求・入金
- 実績報告の審査後、確定通知が発行されます。その後清算払い請求で振込先の通帳等を申請し、入金となります。
- 8. 事業化状況報告
- 補助金受領後も一定期間、事業の実施状況に関する報告が求められます。必ず報告をするようにしましょう。
まとめ
新事業進出補助金は、中小企業・小規模事業者が新たな市場に挑戦するための強力な支援策です。補助対象経費の拡充や収益納付の撤廃といった改良点があり、より使いやすい制度となっています。
補助金を活用するためには、GビズIDの取得や事業計画の作成、申請書類の準備を早めに行い、スケジュールを意識して申請に臨みましょう。最新情報を随時確認しながら、チャンスを逃さず活用することが大切です。
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