
省エネ推進を後押しする補助事業の一つ「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」。中でも注目を集めているのが、「設備単位型」事業です。この記事では、設備単位型に焦点を当て、事業の特徴などをご紹介します。省エネ補助金の全体像や他の事業区分についてお知りになりたい方は、こちらの記事をお読みください。
目次
汎用的な15設備の更新が対象
設備単位型は、産業や業種によらず汎用的に使われる既存設備を、省エネルギー性能の高い設備へ更新することを後押しするものです。省エネ補助金の中でも設備投資型が人気を集めるのは、多くの事業所で活用しやすいという、この使い勝手の良さが大きな理由でしょう。
補助対象となるのは、空調や冷凍冷蔵設備、ボイラ、工業炉などの「ユーティリティ設備」と、工作機械や印刷機などの「生産設備」です。省エネ補助事業の運営を担う団体である「一般社団法人環境共創イニシアチブ」(SII)があらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、SIIが補助対象設備として登録及び公表した「指定設備」(省エネ効果が高い高効率な設備)へ更新する事業に係る経費の一部を補助します。設備単位での省エネの取り組みを支援するものであり、具体的には以下の15設備が対象となります。新たに事業活動を開始する新築・新設の事業所へ新たに導入する設備や、既存の事業所において新たに設備を追加する増設の場合は、補助対象外です。
指定設備を公式サイトでチェック!
指定設備(低炭素工業炉を除く)に関するメーカー名、製品名、型番、使用エネルギーの種類等は、SIIの公式サイト「『(Ⅲ)設備単位型』補助対象設備一覧」で調べることができます。
圧縮機(コンプレッサ)を除く産業用モータについては、製品型番登録されていない設備であっても申請可能な場合があります。対象設備となりうる基準値等を公募要領で確認してください。
また、指定の15設備に該当しない場合でも、「その他SIIが認めた高性能な設備」とされた設備は対象となる場合があります。「その他SIIが認めた高性能な設備」の一覧表(随時更新)についても、SIIの公式サイトから確認することができます。
重要な変更点が2点あります!
設備単位型については、特に重要な変更点が2点ありますので、申請を検討されている方は、ご留意ください。
省エネ要件が加わりました
より省エネルギー効果の高い事業を支援するため、要件の一つとして、省エネ要件が新たに加わりました。
原油換算量ベースで、以下いずれかの要件を満たすこと。
- 省エネ率:10%以上
- 省エネ量:1kl以上
- 経費当たり省エネ量:1kl/千万円以上
特定事業者以外の事業者も、中長期計画の策定が必要に!
年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kl以上である事業者(特定事業者等)は、省エネ法に基づき、中長期計画書(=3~5年の期間におけるエネルギー使用の削減目標などを定める)及び定期報告書(=エネルギー使用状況等の報告)が義務付けられています。特定事業者については、これまでも、中長期計画書及び定期報告書の提出義務を果たしていることが、省エネ補助金の補助対象事業者となる要件の一つとされてきました。
今年度は、特定事業者以外の事業者(年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kl未満)についても、エネルギー合理化に関する中長期計画の策定が必要となりました。SIIが定める指定様式にて、中長期計画書を必ず作成・提出してください。
中長期計画書の作成にあたっては、本事業の公式サイトから申請様式一式をダウンロードしてください。交付申請に関する変更点等をまとめた資料では、中長期計画書作成時の注意点や作成のポイントを確認することができます。
その他の要件
設備単位型に関する、そのほかの要件を見てみましょう。
補助対象事業者
国内で事業を営む法人と個人事業主(個人事業主は青色申告者であること)
補助対象経費
設備費のみ
※設備費については、設備区分ごとに原則3者以上の見積を取得し、最低価格の見積書に基づいて交付申請してください。
※補助対象設備の設置に伴う配線や配管、オプション設備等は補助対象外となります。設備ごとの補助対象となる範囲は、公募要領の「別表1 指定設備の設備区分と設備区分毎に定める基準表」を参照してください。
補助率
企業規模を問わず1/3以内
補助金限度額
上限額1億円/事業全体
下限額30万円/事業全体
※「事業全体」とは、1件の申請によって行われる事業の全体という意味です。
2次公募期間
2025年7月10日(木)17時(必着)
※昨年も2次公募で予算が消化されたのでご希望の方は早めにお申し込みください!
※申請書類の作成にあたっては、SIIホームページでの事前アカウント登録や、SIIが運営するシステム「補助事業ポータル」での入力作業等が必要です。
2年度にわたる事業にも活用できます
設備単位型を含む省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、単年度事業に加え、2年度にわたる投資・事業計画にも活用できます。2年度にわたって申請できるのは、単年度での実施が困難な事業であって、年度ごとの発生経費を明確に区分した事業計画が提出される場合です。2年度にわたる事業の場合も、設備単位型の補助金の上限額は1億円です。
ポイント 補助金も年度ごとに入金されるのでご安心ください

「エネルギー需要最適化型」との組み合わせ申請もOK
設備単位型は、「エネルギー需要最適化型」事業と組み合わせて交付申請することもできます。エネルギー需要最適化型は、エネルギーマネジメントシステム(EMS)機器の導入により、より効果的にエネルギー需要の最適化を図ることを目的とする事業区分です。エネルギーの効率化をさらに進めたい事業所は、併用を検討すると良いでしょう。
なお、事業区分を組み合わせて交付申請する場合、事業区分ごとの補助率が適用され、補助金限度額の総額は、各事業区分の上限額を合算した金額となります。
- 複数年度事業の要件として、「単年度での実施が困難な事業であって年度ごとの発生経費を明確に区分した事業計画が提出される場合」とあるが、どういった事業が対象となるのか。
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以下のようなケースが想定されます。
- 工事が単年度で完了しない場合。
- 交付決定後に発注すると納品が翌年度になることが既に分かっている場合。
- 経理の関係上、導入予定の設備を一括購入できず2年度に分けて購入したい場合
- 複数年度事業で申請した場合、初年度に補助対象経費の支払いが発生しない計画であっても申請は可能か。
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初年度に補助対象経費の支払いが発生しない計画においても申請は可能ですが、発注は初年度に行う必要があります。
- 設備単位型において、補助対象とならない費用(補助対象外経費)はどのようなものがあるか。
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公募要領の「別表1指定設備の設備区分と設備区分毎に定める基準表」に定められているものが補助対象の範囲となりますので、同基準表で定める対象の範囲外及び設計費、工事費は補助対象となりません。
郵送により申請
交付申請は、申請書類を一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)へ郵送することにより行います。余裕をもった作業スケジュールを立ててください。
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