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2025.06.06

【2025年最新】省エネ補助金で設備更新!個人事業主・中小企業・大企業も対象に

省エネ設備への更新費用を支援


工場・事業場型に「中小企業投資促進枠」創設で注目度アップ
省エネ・非化石転換補助金が第二次公募中!

自社の設備などを省エネ設備に更新することを後押しする国の補助事業「省エネ・非化石転換補助金」の第二次公募が行われています。この「省エネ・非化石転換補助金」は、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」と「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」という二つの補助事業から構成されるものです。中小企業が、より本事業を利用しやすくなるような措置が講じられるなど、注目度が高まっています。本記事では、この補助事業の特徴や注目点をまとめました。

01 「更新」費用を補助

省エネ・非化石転換補助金は、国内で事業を営む法人または個人事業主が、自社の既存の設備を、省エネ設備・機器に更新したり、非化石エネルギーを使用する設備・機器に更新(事業区分の一つである「(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型」が主に該当します)したりする際の更新費用等の一部を支援することを目的とした補助金です。

省エネ設備への更新を図ることは、エネルギーの無駄遣いを減らすことにつながり、エネルギーコストを減らすことによる費用負担の軽減や、コスト削減による生産性の向上といった効果が期待されます。 本事業の運営を担う団体(執行団体)である「一般社団法人環境共創イニシアチブ」(SII)のホームページにある「省エネ補助金活用事例検索」では、実際に企業が導入した設備や省エネ効果などを参照することができます。

注意

本事業の補助対象となる経費は、補助対象設備に係る設計費、設備費、工事費(工事費は中小企業者等に限り補助対象となる場合があります)です。省エネルギー設備への更新を促進するための補助金であり、新たに事業活動を開始する新築・新設の事業所へ新たに導入する設備や、既存の事業所で新たに設備を追加する増設は、補助の対象外です。

02 四つの事業区分

省エネ・非化石転換補助金は、以下の二つの補助事業と、その中に含まれる合計四つの事業区分(Ⅰ~IV)で構成されています。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ)

先進的な省エネ設備、工場・事業場に合わせた特注品、汎用的な省エネ設備、電化や脱炭素を進めるため燃料の切り替えを伴う設備などの更新費用の一部を支援する。

省エネルギー投資促進支援事業費補助金

さまざまな業種で横断的に使われる汎用的な15設備(高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器など)の更新を支援する。 ※上記の15設備に該当しない場合でも、「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定した設備は対象となる。

注意

補助対象となる設備の基準や省エネルギー計算の方法などについては、公募要領に詳細な規定や留意点が記載されていますので、申請にあたっては最新の公募要領を十分に確認してください。

03 事業区分ごとの要件等

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事業区分(Ⅰ)工場・事業場型
先進枠一般枠中小企業投資促進枠
補助対象となる事業資源エネルギー庁に設置された「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」に
おいて決定した審査項目にのっとり、SIIが設置した外部審査委員会で審査・採択した
先進設備・システム」へ更新等する事業    
機械設計が伴う設備又は事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する「オーダーメイド型設備」、又はSIIがあらかじめ
定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、高効率な設備として登録及び公表した「指定設備」へ更新等する事業  
☝Ⅰ型は、工場・事業場全体での大規模な省エネ投資をより促進するため、
オーダーメイド型設備と指定設備を組み合わせる事業や、複数の指定設備を更新する事業も対象になります。
省エネルギー効果の要件申請単位において、原油換算量ベースで、以下のいずれかの要件を満たす事業
1.省エネ率+非化石割合増加率:30%以上
2.省エネ量+非化石使用量:1,000kl以上
3.エネルギー消費原単位改善率:15%以上
※「一般枠」の補助対象設備を組み合わせて上記要件を満たすことも可です。
申請単位において、原油換算量ベースで、以下のいずれかの要件を満たす事業
1.省エネ率+非化石割合増加率: 10%以上
2.省エネ量+非化石使用量: 700kl以上
3.エネルギー消費原単位改善率:7%以上
申請単位において、原油換算量ベースで、以下のいずれかの要件を満たす事業
1.省エネ率+非化石割合増加率:7%以上
2.省エネ量+非化石使用量: 500kl以上
3.エネルギー消費原単位改善率:5%以上  
中小企業投資促進枠は中小企業等のみ申請可能です。
※エネルギー消費原単位改善率での申請は、設備更新後に生産量が増加し、
かつエネルギー消費量が増加する事業に限ります。
※非化石転換の場合であっても、増エネとなる事業は補助対象外です。
※中小企業投資促進枠に申請する場合、SIIが指定するフォーマットにより、
一般枠の効果を満たす事業計画書を作成・公表することが必要です。
投資回収年数の要件5年以上であること3年以上であること
補助率中小企業者等2/3以内1/2以内1/2以内
大企業・その他1/2以内1/3以内対象外
補助金限度額1単年度事業【上限額】15億円 【下限額】100万円【上限額】15億円 【下限額】100万円
複数年度事業【上限額】30億円/事業全体 【下限額】100万円/年度【上限額】20億円/事業全体 【下限額】100万円/年度
連携事業※2【上限額】30億円/事業全体 【下限額】100万円/年度【上限額】30億円/事業全体 【下限額】100万円/年度

※1非化石転換の場合は、補助金の上限額が、いずれも引き上げられます。

※2「連携事業」とは、「(Ⅰ)工場・事業場型」において、複数の事業者が連携し、一体となって省エネルギーを行う事業のことをいいます。

注目

  • 過年度からの変更点として、中小企業においても大規模な省エネ投資を促すため、「中小企業投資促進枠」が創設されています。これにより使いやすくなっています。
  • 「事業全体」とは、1件の申請によって行われる事業の全体を意味します。例えば、上限額が「30億円/事業全体」の場合、1件の申請によって行われる事業全体として、最大で総額30億円の補助金が交付される場合があるということになります。
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事業区分(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(Ⅲ)設備単位型(Ⅳ)エネルギー需要最適化型
補助対象となる事業電化や、より低炭素な燃料への転換を目的として、
省エネ効果が高い高効率な指定設備へ更新する事業を支援する。
対象となる可能性のある設備として、産業ヒートポンプ、業務用
ヒートポンプ給湯器、低炭素工業炉などが挙げられる
さまざまな産業・業務分野で共通的に使用される汎用的な
設備(ユーティリティ設備や生産設備など)のうち、
SIIが補助対象設備として登録及び公表した高効率な設備
(指定設備)への更新を支援する。
設備単体で省エネに取り組むことが主な対象となる
SIIに登録されたEMS(エネルギーマネジメントシステム)機器を
導入し、エネルギー使用状況の「見える化」や運用改善を行うことで、
省エネルギーや、エネルギー需要の最適化を図る事業を支援する
省エネルギー効果の
要件等又は申請要件
SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、
補助対象設備として登録及び公表した「指定設備」へ更新等し、
電化・脱炭素目的の燃料転換を実現する事業であること
指定設備へ更新し、省エネルギー化を図る事業であること。
また、省エネ要件のうちいずれかを満たすこと。
【省エネ要件】
1.省エネ率 :10%以上
2.省エネ量 :1kl以上
3.経費当たり省エネ量:1kl/千万円以上
SIIが予め定めたシステム要件を満たし、補助対象設備として
登録及び公表したEMSを導入して、導入する範囲において設備
又は工程単位のエネルギー消費状況を把握・表示・分析し、
運用改善を実施すること。EMSを活用した省エネの中長期計画
(計画期間は2年間)を作 成し、改善による成果の公表を行うこと。
(原油換算量ベースで2%改善を目安とする)
補助率1/2以内1/3以内中小企業者等:1/2以内
大企業・その他:1/3以内
補助金限度額【上限額】
3億円/事業全体 (電化する事業の場合は5億円/事業全体)
【下限額】
30万円/事業全体
【上限額】
1億円/事業全体
【下限額】
30万円
【上限額】
1億円/事業全体
【下限額】
30万円

「(Ⅳ)エネルギー需要最適化型」を他の事業区分(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)と組み合わせて申請する場合、事業区分ごとの申請要件・補助率が適用されます。また、事業区分ごとの上限金額の合計が、組み合わせた事業全体の補助金限度額となります。

注目

  • 中小企業がより本事業を利用しやすくなるよう、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型について、1件の申請あたりの補助金下限額が引き下げられ、30万円から申請可能となりました。
注意

過年度からの変更点として、省エネルギー投資促進支援事業費補助金の「(Ⅲ)設備単位型」を申請する場合、省エネ法に基づく定期報告義務がない事業者(=省エネ法上の「特定事業者」でない事業者のこと。事業者の年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kl未満の事業者を指す)であっても、エネルギー合理化に関する中長期計画の策定が必要になりました。SIIが定める指定様式にて、中長期計画書を必ず作成・提出してください。

04 GX要件

本事業は、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略(GX推進戦略)に関連して、GX経済移行債を活用した先行投資支援の一つです。政府は、先行投資支援にあたり、支援対象の事業者にコミットメントを求めています。事業区分「(Ⅰ)工場・事業場型」「(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型」の申請者は、以下の要件を満たす必要があります。

 

(1)GX推進への取組に関する要件

  1. 民間企業は、SIIのホームページで公表するフォーマットに、公募要領記載の取組内容を記入又は意思を表明し、申請する必要があります。
  1. 一部の要件について、温暖化対策法における算定報告制度に基づく2021年度CO2排出量が20万t未満の企業又は中小企業基本法に規定する中小企業に該当する企業については、本事業により見込まれる省エネ効果を含めた省エネ計画の提出をもって、これに替えることができます。
 

(2)低炭素な化石燃料への燃料転換を行う事業等に関する要件

  1. 石炭・石油等からガス等のより低炭素な化石燃料への燃料転換を行う事業又は、継続して化石燃料を使用する事業を実施する補助対象事業者に対しては、公募要領記載のコミットメントが求められます。
  1. 交付申請時には、申請者に、コミットメントに対する意思表明が求められます。なお、省エネ法上の特定事業者等については、コミットメントの内容を省エネ法の中長期計画書に記載する必要があります。
 

キーワード

GX推進戦略
GX(グリーントランスフォーメーション=化石燃料から、再生可能なクリーンエネルギーに転換していく取り組み)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長を同時に実現するための戦略のこと。政府は、10年間で150兆円規模のGX投資を、官民で実現することを目標に掲げている。民間投資を後押しするための財源として政府が発行する債券がGX経済移行債であり、GX経済移行債を活用した事業の一つが「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」である。

05 補助対象となる経費など

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補助対象経費
区分事業区分内容
Ⅰ、Ⅳ
設計費対象対象外補助事業の実施に必要なシステム設計費等
設備費対象対象補助事業の実施に必要な機械装置の購入、製造(改修を含む。)に要する経費
工事費対象中小企業者等のみ対象補助事業の実施に不可欠な工事に要する経費

※「(Ⅲ)設備単位型」の補助対象経費は、設備費のみです。

補助対象事業者

国内で事業活動を営んでいる法人及び個人事業主であること。なお、個人事業主は、青色申告者であり、確定申告書と所得税青色申告決算書の写しを提出する必要があります。ただし、電子申告(e-Tax)を行った場合は、国税電子申告・納税システムで確認できる受信結果(受信通知)を提出してください。

受付期間

2025年7月10日(木) 17:00(必着)

06 申請内容に関する評価項目

  1. 計画省エネルギー量
  2. 計画省エネルギー率
  3. 経費当たり計画省エネルギー量(補助対象経費1千万円当たりの計画省エネルギー量)
  4. EMSを活用した省エネ取り組み(中長期計画等)

※非化石設備を導入する場合は、「非化石使用量」及び「非化石割合増加率」も考慮されます。

本事業では、他に追加の評価対象となる事業があります。「中小企業取組関連」として挙げられている主な事業は以下の通りです。詳細は公募要領を確認してください。

  1. 中小企業者等が行う省エネルギー事業
  2. 資源エネルギー庁の「省エネ・地域パートナーシップ」におけるパートナー金融機関による支援を受けた中小企業者等が行う省エネルギー事業
  3. 2022年度以降に省エネルギー診断を受けた省エネルギー事業、など

07 交付申請フローの概要

計画立案・書類作成

 SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)のホームページから、実施計画書等の様式をダウンロードし、事業計画を立てた後、申請書類を作成する。

アカウントの登録

SIIのホームページでアカウント登録手続きをする。登録から数日以内に、SIIからユーザ名等がメールで送られてくる。

補助事業ポータルにログイン

メールで通知されたURLにアクセスし、SIIが提供するシステム「補助事業ポータル」にログインする。

補助事業ポータルに入力

申請に必要な情報を補助事業ポータルに入力する。

書類の出力

書類作成機能から申請書類を出力する。

書類の郵送     

ポータルから出力した書類と、別途収集・作成した必要書類をファイリングして「一般社団法人環境共創イニシアチブ」に郵送する。

08 よくある質問

リース契約終了後に無償譲渡する内容を含んだ所有権移転付リースとして申請できるか。

処分制限期間内に譲渡する前提のリース契約の場合は申請できません。処分制限期間後に所有権が移転される契約であれば申請可能です。

自社所有でない建物等に設備を設置する場合、申請できるか。

申請可能ですが、建物の所有者の承諾書(設備設置承諾書)の提出が必要です。「処分制限される設備を、設備の持ち主が事業所内に設置すること」を、建物の所有者が承諾する書類を提出してください。

建物登記が異なる建物が複数あり、設備のエネルギー管理を一体で行っている場合、一つにまとめて申請できるか。

エネルギーを一元管理しているということであれば、一つにまとめて申請することが可能です。審査の過程でヒアリングや説明資料の提出等が求められる場合があります。

09 まとめ

エネルギー価格の高騰が事業経営に重くのしかかり、さらに、政府が実現を目指している「2050年カーボンニュートラル」に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)推進が重要な課題となる中、国内で事業を営む法人および個人事業主の皆様にとって、省エネルギー対策への取り組みは喫緊の課題であるとともに、将来を見据えた競争力強化に不可欠な投資となっています。すなわち、省エネ・非化石化は、単なるコスト削減にとどまらず、企業が競争力を維持し、持続可能な社会の実現に貢献する取り組みでもあるのです。今回ご紹介した補助事業は、未来に向けた事業基盤の強化と、カーボンニュートラル社会への貢献を同時に目指す上で、事業者の皆様を強力にサポートする支援策になるのではないでしょうか。

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