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補助金・助成金

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2025.05.29

【2025年最新】物流の脱炭素化を支援!モーダルシフト関連の補助金・支援策4選

物流関連 最新の施策
環境負荷の低減を推進 主な支援事業紹介

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私たちの暮らしに欠かせない「物流」が今、大きな転換点を迎えています。インターネット通販の広がりで荷物は増え続ける一方、トラックドライバーの高齢化や人手不足が深刻化し、「モノが時間通りに届かない」といった事態も懸念されています。さらに、地球温暖化対策として、物流分野でもCO2排出量の削減が求められています。これらの課題に対応し、将来にわたって安定した物流を実現するために国が打ち出している支援策をご紹介します。今回は、「モーダルシフト」の推進など、環境負荷低減の観点から施策を見ていきましょう。

01 モーダルシフトとは?

モーダルシフトは、これまで多くの荷物の運搬を担ってきたトラック(自動車)から、より環境への負荷が少ない鉄道や船舶へと輸送手段を切り替えることを指す言葉です。環境負荷の低減を目指す取り組みとして、私たちの手元に商品が届くまでの流れ、つまり「物流」の世界で、今とても注目されているのです。なぜ今、モーダルシフトが必要なのでしょうか。

大きな理由の一つは、地球温暖化対策です。モーダルシフトは環境負荷の低減効果が大きい取り組みです例えば、1トンの貨物を1km運ぶ際に排出されるCO2の量を比べると、トラック(営業用貨物車)が207gなのに対し、鉄道は19g、船舶は42gと圧倒的に少ないことが分かっています。つまり、鉄道を使えば約91%、船舶なら約80%もCO2排出量を減らすことができるのです。

モーダルシフトが必要とされている、もう一つの理由は、物流業界の働き手不足の解消や、運転手の負担軽減のためです。トラックでの長距離輸送は運転手の労働時間が長くなりがちですが、鉄道や船舶に切り替えることで、運転手は最寄りの駅や港までの運転だけで済むようになり、より効率的に働けるようになります。

こうした変化を後押しするため、国も支援を行っています。例えば、「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」という法律では、モーダルシフトを含む物流の効率化に取り組む事業者への計画認定や補助金などの支援措置が定められています。

 

キーワード

物流効率化法
流通業務(輸送、荷役、保管、荷さばき及び流通加工)を一体的に実施するとともに、「輸送網の集約」、「モーダルシフト」、「輸配送の共同化」等の輸送の合理化により、流通業務の効率化を図る事業に対する計画の認定や支援措置等を定めた法律。

02 モーダルシフト等推進事業

事業目的

物流分野の労働力不足に対応するとともに、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を減らすため、物流効率化法の枠組みのもと、輸送などの物流に関わる作業の負担を減らし、将来にわたって続けられる物流の仕組みを作ることを目的としています。旅客と貨物を同時に輸送する貨客混載をはじめとするラストワンマイルの配送効率化について、過疎地域以外の取り組みも補助対象に追加されたことが、今年度の事業の特徴です。

 

キーワード

ラストワンマイル
物流ネットワークにおいて、最終拠点から消費者・利用者らにモノやサービスが届く最後の区間。

対象となる事業

物流効率化法に基づく「総合効率化計画」の策定経費(協議会の開催等)
「認定総合効率化計画」に基づくモーダルシフトやトラック輸送の効率化

(複数の荷主の貨物をまとめて積載率を上げる幹線輸送の集約化、トラックドライバーの負担軽減のため一つの輸送行程を複数人で分担する中継輸送、共同配送、貨客混載等)に関する事業の初年度の運行経費に対する支援

補助対象事業者

荷主及び物流事業者等物流に係る関係者によって構成される協議会

補助額、補助率

01 計画策定経費補助

総合効率化計画を策定するための経費に対する補助
定額・上限200万円+最⼤1/2・上限300万円=上限総額500万円

02 運行経費補助

認定された総合効率化計画のうち、モーダルシフト、幹線輸送の集約化、ラストワンマイル配送、中継輸送の運行経費の一部に対する補助
最⼤1/2・上限500万円+最⼤2/3・上限500万円=上限総額1,000万円
※下線部は、省⼈化・⾃動化に役立つ機器導⼊等の計画または実際に当該機器を⽤いて運⾏する場合に加算される補助上限額と補助率です。

重点施策:以下のような取り組みが重点施策とされ、優先的に採択されます。

A) 荷主や輸送事業者等の連携・工夫(輸送方法や手続きの平準化・標準化)による輸送の効率化(※業界団体等で定めた規格を用いた標準化は、さらに評価されます)

B) 複数の企業が貨物をまとめて輸送する混載または帰り荷を確保したモーダルシフトや、 過疎地域や、オフィスビルや大型商業施設などの館内物流における共同配送

C) 旅客鉄道やバス等の空きスペースを活用した貨客混載

D) 鮮度保持機能を有するコンテナを活用したモーダルシフト等、農産品輸送の効率化 (※輸出につながる農産品輸送の効率化は、さらに評価されます。ただし、補助対象は、国内流通区間のみとなります。)

E) 中継輸送や、流通業務への省人化・自動化機器を用いた輸送の効率化

F) 物流企業内や企業間の事業再編又は企業間の協調的投資を伴う輸送の効率化

応募期間

2025年6⽉6⽇(⾦)17:00まで(必着)

運行経費補助は、総合効率化計画に認定されていなければ補助対象外なのか。

運行経費の補助金交付を申請する時点では、総合効率化計画の認定は必須ではありません。ただし、補助金の交付決定を受けるためには、総合効率化計画の認定を受けていることが条件となります。

03 地域連携モーダルシフト等促進事業

事業目的

地方に行くほど、トラックの輸送力不足の深刻化と物流コストの上昇が懸念されています。本事業は、地域の産業振興等を担う地方自治体や産業団体・経済団体、荷主、物流事業者等によって構成される協議会等が、地域の産業振興等と連携した先進的な取り組みを行う際の検討に必要な調査・分析に関連する費用や、物流の効率化と持続的成長に向けてモーダルシフト等を促進するための物流拠点の整備や設備・機器の導入、実証運行等に必要な経費を補助することで、モーダルシフトや共同輸配送等を強力に推進することを目的とします。

事業概要

輸送ニーズに応じて荷主・物流事業者のマッチングを行うとともに、地域物流の核となる拠点を整備することで、新モーダルシフトやそれに向けた地域の物流ネットワークの再構築の実現を目指す先進的な取り組みに対し、費用を補助します。本事業は、事務局による協議会への伴走支援が予定されています。

新モーダルシフトのイメージ

  1. 鉄道・内航海運へのモーダルシフト強化
    輸送ニーズに応じた荷主・物流事業者間のマッチングや地域物流の核となる拠点を整備することで、モーダルシフトをより一層強化する。
  2. 先進的な各種取り組み
    新幹線等の貨客混載、航空機の空きスペース等の有効活用、ダブル連結トラックを活用した共同輸配送・中継輸送、ドローンによるラストマイル配送、自動配送ロボットの活用。

地域物流ネットワーク再構築のイメージ

  1. 共同輸配送
    複数の荷主・物流事業者が共同利用可能である地域物流の核となる拠点を整備することで、共同輸配送を実現する。
  2. 中継輸送
    遠距離地域間のトラック輸送において中継地点を設定することで、ドライバーの日帰り運行や複数荷主の共同輸配送を実現する。
(出典:国土交通省の資料

補助対象者

地方自治体や産業団体・経済団体、荷主企業、物流事業者等で構成される地域の産業振興等と連携した物流の効率化に取り組む協議会等です。協議会等には地方自治体が1自治体以上かつ荷主もしくは物流事業者が2社以上参画することを必須とします

本事業の対象となる取り組み

モーダルシフトを促進するための「検討経費」と「実証経費」に対して、補助を実施します。

検討経費

  1. 地域の物流量の把握・可視化等に必要な調査・分析
  2. 協議会等の運営

補助対象経費の例

  • 調査・分析
  • 事業素案立案
  • 事業計画立案(次年度以降を含む)
  • 協議会運営・プロジェクトマネジメント

実証経費

  1. 共同輸配送やモーダルシフト等の物流効率化へ向けた実証
    ※これらに要する経費のうち、事業を行うために必要な工事費(本工事費、付帯工事費、機械器具費、測量及試験費)、設備費、業務費及び事務費並びにその他必要な経費で事務局が承認した経費について、補助金の交付の対象とします。

補助対象経費の例

  • 設備/機材購入
  • 物流拠点整備
  • システム導入
  • 実証運行

補助上限額、補助率

検討経費:2,500万円(定額補助)

実証経費:5,000万円 (補助率1/2以内)

公募期間

2025年6月9日(月)17:00まで(必着)

個人事業主も協議会へ参画することができるか。

参画は可能です。ただし、申請の際に確定申告書等の提出が必要です。

採択される前に着手している事業でも、補助対象になるか。

事業期間内(交付決定日から2026年2月13日頃まで)に契約・発注し、検収・支払いが完了する経費が補助対象となります。採択された後であっても、交付決定より前に契約・発注した経費は補助対象外となります。

04 モーダルシフト加速化事業

事業目的

本事業は、貨物輸送の委託者である荷主企業と貨物輸送を実施する貨物運送事業者など、物流の関係者によって構成される協議会が、コンテナラウンドユース(=輸入時に使用したコンテナを返却せず、そのまま輸出時に利用する取り組み)等の先進的なモーダルシフトの取り組みを実施する場合に、モーダルシフトの推進に役立つ機器の導入等を行う実証事業に必要な経費の一部を補助することで、物流分野の労働力不足に対応した物流効率化の取り組みをより一層推進することを目的とします。

補助対象事業者

以下の1. 2.のいずれも満たす者とします。

  1. 荷主企業及び貨物運送事業者等の物流関係者によって構成された協議会
  2. 実施事業についての計画を作成し、当該計画が、物流総合効率化法の規定による国土交通大臣の認定を受けた者

※貨物の所有権を有する個々の荷主企業が個別に協議会に参加することが困難な場合、荷主から貨物の輸送方法について委託を受けた貨物利用運送事業者等についても、荷主と同様とみなされます(ただし、貨物の輸送方法を決定する者に限る)。

※リースによる機器導入を予定している場合、リース会社も協議会に参画していることが必要です。

※物流総合効率化法の認定へ申請中の者も適用対象です(その場合は申請状況について運輸局に確認を行い、運輸局の許可が取れたもののみが対象とされます)。

注意

本事業は協議会による申請のため、協議会構成員の代表者が所属する企業・団体が代表申請者となり、申請に係る対応等の窓口を担う必要があります。補助金の支払いは、代表申請者に一括で支払われます。

補助対象となる設備、機器等

新たにモーダルシフトを実施する(すでにモーダルシフトを実施している場合であって、新たな荷主が加わる等の新規性が認められた場合を含む)にあたって追加で必要となる設備、機器等に係る経費(下記の表)。

(出典:本事業の公募要領)

注意

申請にあたっては、同一の仕様条件で見積を3者(社)以上に依頼したことが確認できる書類を提出することが必要です。

補助上限額、補助率

1億円(補助率1/2 以内)

※補助金上限額は1件あたりの額です。1件とは、実施事業についての計画を作成し、物流総合効率化法の規定による国土交通大臣の認定を受けた計画1件を指します。

公募期間

2025年6月12日(木)16:00(必着)

審査基準

以下の審査基準に基づいて総合的な評価が行われます。

  1. 省力化効果が高い取り組みであるか。
  2. 補助事業に係る取り組みが先進性を有しているか。
  3. 他の事業者への普及が見込まれる取り組み・技術であるか。
  4. 補助事業に係る計画が妥当であるか。
  5. 補助事業に係る実施体制が妥当であるか。
トレーラーを20台購入予定だが、全てについて見積書が必要か。1台分でも可能か?

補助対象として申請される全てについて見積書が必要です。20台分の見積りを提出してください。合わせて2社以上の相見積書を提出してください。

設備機器をレンタルで導入することは可能か?

設備機器をレンタル(賃貸借契約、使用貸借契約)で導入する場合は補助対象となりません。

05 物流脱炭素化促進事業

事業目的

本事業は、物流施設等において、物流の脱炭素化促進に役立つ取り組みを実施するため、水素および大容量蓄電池等を活用した再生可能エネルギー電気の利用に必要な設備や、それらを利用する車両等の導入を行う事業に要する経費の一部を補助することにより、物流に伴う環境への悪影響(負荷)を減らすことを目的としています。

補助対象事業者

倉庫事業者、貨物運送事業者、貨物利用運送事業者、トラックターミナル事業者等、その他前記の事業者と共同で事業を実施する事業者(リース事業者・PPA<電力購入契約>事業者・不動産事業者)。ただしリース事業者、PPA事業者、不動産事業者等は単独で申請を行うことはできません。

補助対象事業

01 水素を活用した取り組み

 

「①創る」取り組み

  • 水素製造設備(新設/既設※)の導入または活用
  • 水素の購入
    ※補助対象事業の要件には含まれますが、補助対象経費の対象外です。
 

②溜める」・「③使う」取り組み

  • 水素貯蔵設備(液体水素対応設備、圧縮機、蓄圧器、気化器等)(新設/既設※)の導入または活用
  • 水素充填設備(プレクーラー、ディスペンサー等)の導入
  • 物流業務用FCV車両等の導入
    ※補助対象事業の要件には含まれますが、補助対象経費の対象外です。

02 再生可能エネルギーを活用した取り組み

 

「①創る」取り組み

  • 太陽光発電施設(新設/既設※)の導入または活用
  • 再生可能エネルギー電力の購入
    ※補助対象事業の要件には含まれますが、補助対象経費の対象外です。
 

②溜める」・「③使う」取り組み

  • 大容量蓄電池(新設/既設※)の導入または活用
  • EV充電スタンドの導入
  • 物流業務用EV車両等の導入
    ※補助対象事業の要件には含まれますが、補助対象経費の対象外です。

03 「01」、「02」共通事項

  • 先進的取り組みに必要な機器類等※の導入
    ※対象設備は補助対象事業の要件になりませんが、設備や機器によっては、購入費および導入費が補助対象経費として認められる場合があります。

上記、「01」水素の取り組みを行う場合は「①創る」から1つ以上、かつ「②溜める」・「③使う」から2つ以上、「02」再生可能エネルギーの取り組みを行う場合は「①創る」から 1つ以上、かつ「②溜める」・「③使う」から2つ以上をまとめて導入する一体的な取り組みとする必要があります。

補助金額、補助率

  1. 水素を活用した取り組み
    補助率:1/2以内、上限額:1事業者あたり2.5億円
  1. 再生可能エネルギーを活用した取り組み
    補助率:1/2以内、上限額:1事業者あたり2億円

※上記「1.」「2.」に付随して実施される先進的取り組みに必要な機器類の導入経費についても補助対象となります。

主な補助対象施設

  1. 営業倉庫
  2. 貨物運送事業者や貨物利用運送事業者の荷物の集配を行う拠点(トラックターミナル含む)

補助対象事業の設備等および補助対象経費

原則として、導入設備の組み合わせにより脱炭素化を図る事業です。また、下記の表2「補助対象事業の要件となる設備、機器類」を参照し、1)水素の活用、2)再生可能エネルギーのいずれかまたは両方を選択してください。「15.先進的取組に必要な機器類」は補助対象事業の要件とはなりませんが、機能や目的により導入に係る費用が補助対象経費として認められる場合があります。詳細は公募要領で確認してください。

(出典:本事業の公募要領 )

優先配分・優先採択の要件

  1. 水素の活用を行う申請
  2. 「非常時に災害拠点の非常用水素充填拠点、非常用電源として、地域に開放する等の活用を図る」取り組みを行う申請
  3. 本事業の趣旨である「創る・溜める・使う」に則った活用を行う実施計画の申請
  4. 令和5年度、6年度の本事業において交付決定されていない事業者による申請
  5. その他、事業内容が特に優れていると判断される取り組み等

公募期間

2025年6月12日(木)16:00まで(必着)

06 まとめ

物流にまつわる国の施策のうち、環境に配慮しつつ持続可能なネットワークを構築・維持するという観点に注目した主な補助事業をご紹介しました。次回は「2024年問題」でも注目された、物流効率化に焦点をあてた主な補助事業について、ご紹介します。

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