
2025年2月14日(金)にものづくり補助金第19次の公募要領が公開されました。ものづくり補助金は中小企業や小規模事業者が革新的な製品開発や生産プロセスの改善を行う際に活用できる人気の補助金制度です。なんと、今回1年ぶりの公募となります。今回の第19次は、令和6年度補正予算で行われます。本記事では、ものづくり補助金の概要や対象経費、スケジュール、前回からの変更点を詳しく解説します。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた、革新的な新製品・新サービスの開発や海外需要開拓に 必要な設備投資等を支援する補助金です。
この補助金を活用することで、設備投資や新規事業の実現を後押しし、競争力の強化を図ることができます。


(参考:令和6年補正予算ものづくり補助金チラシ)
第19次のスケジュールは?
発表されたスケジュールは下記の通りです。
申請締め切りまでの準備期間は約2ヵ月となっています。
夏~秋にかけて設備投資をしたい方におすすめのスケジュールです。

(参考:第19次公募要領より)
申請は電子申請システム(Jグランツ)を通じて行います。締切間際はアクセスが集中するため、余裕を持った準備が必要です。
申請できる企業は?│補助対象者
ものづくり補助金は、日本国内に事業所を持つ中小企業者等が申請可能です。対象となる事業者は幅広く、中小企業者・組合・小規模企業者・小規模事業者・特定事業者の一部・特定非営利活動法人・社会福祉法人なども条件を満たせば申請可能です。
中小企業庁の定める中小企業の定義とは?
中小企業者は、資本金と従業員数で定義されています。下記のように業種ごとに条件が変わってきますので、自身の業種の資本金および常時使用する従業員数を確認することが大切です。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
申請枠について
申請枠は、「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の大きく分けて2つになりました。大幅な賃上げに係る補助上限額引上げは継続しています。
製品・サービス高付加価値化枠
革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援する枠です。
革新的な新製品・新サービス開発とは、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発するこ とをいいます。 本補助事業では、単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません。
補助上限額 (補助下限額 100 万円) | 従業員数 5 人以下 750 万円 6~20 人 1,000 万円 21~50 人 1,500 万円 51 人以上 2,500 万円 |
補助率 | 中小企業 1/2、 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者2/3 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費(必須)、 技術導入費、専門家経費、運搬費、 クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、 知的財産権等関連経費 |
グロ-バル枠
海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投 資等を支援する枠です。
※ 海外事業とは、海外への直接投資に関する事業、海外市場開拓(輸出)に 関する事業、インバウンド対応に関する事業、海外企業との共同で行う事業をいいます。
補助上限額 (ただし、補助下限額 は 100 万円) | 3,000 万円 |
補助率 | 中小企業 1/2、 小規模企業・小規模事業者 2/3 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費(必須)、 技術導入費、専門家経費、運搬費、 クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、 知的財産権等関連経費 (グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)、 海外旅費、 通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
特例措置
- 大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例
大幅な賃上げに取り組む事業者について、従業員数規模に応じて補助上限額を引上げ。
従業員数 | 補助上限引上げ額 (各補助対象事業枠の補助上限額から) |
---|---|
5 人以下 | 最大 100 万円 |
6~20 人 | 最大 250 万円 |
21~50 人 | 最大 1,000 万円 |
51 人以上 | 最大 1,000 万円 |
- 最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例
所定の賃金水準の事業者が最低賃金の引上げに取り組む場合、補助率を引上げます。
※ 常時使用する従業員がいない場合、小規模企業・小規模事業者、再生事業者については使用できません。
引き上げ後補助率 2/3
対象経費は?
ものづくり補助金で対象となる経費には、以下のようなものがあります。
- 機械装置費:生産性向上に必要な設備の購入・設置費用
- システム構築費:業務効率化に向けたソフトウェア導入
- 技術導入費:外部からの技術指導やコンサルティング費用
- 外注費:製品試作や一部工程の委託費用
- 知的財産権関連経費:特許申請や商標登録の費用
実際に採択された活用事例をご紹介
ものづくり補助金は製造業だけではなく、様々な業種に活用されています。
製造業
- 最新型複合旋盤加工機導入による高精度・生産性向上と新規市場開拓
- 高機能溶接ロボットの導入による生産性と品質の向上
- 3D – CAD導入による鉄骨製作図面作成工程の高度化
- 家具建具の生産能力及び製品価値向上を図る技術の習得及び標準化
- パネルソー及びカッティングマシン導入による看板等制作技術の高度化
食品製造業
- 生産力200%達成のための昆布粉末製造設備における大型乾燥機の設備投資
- 電解水装置導入による製造ライン構築事業
- 「ほくほくスイートポテト」製造ラインの自動化による生産性向上と販路拡大
- 国内外市場を開拓するための新商品開発!<納豆粉末ドレッシングシリーズ>の開発
~常温輸送で北海道から健康を届ける~ - 全道展開に向けた、セントラルキッチンの生産効率向上とインシデント防止
飲食業
- 達人窯を活用した、味を落とさない レトルト食品開発と販路拡大計画
- サードウェーブコーヒー焙煎機導入による新たな事業展開
- 販路拡大でV字回復を目指す、新規キッチンカー事業。
- 独自ノウハウによりそば粉から一貫製造する、本格手打ち十割そばの提供と技術伝承
- コーヒー豆自動選別機によるブランド化事業
- 居酒屋メニューを「手軽・安全・美味しく」提供するための冷凍食品開発
建設業
- 足場工事における作業効率向上による工期の短縮・人的資源の有効活用事業
- ICT完全自社施工による競争力の強化と生産性向上の実現
- 情報通信技術を使った「ICT土工」の導入で生産性向上と働き方改革を実現
- 建築物飲料水水質検査のワンストップ化による短納期化及び測定精度向上計画
- 3次元測量技術と建設機械を組み合わせた新たな手法による事業展開
- ドローン映像等の遠隔情報共有システムHec-Eye(ヘックアイ)を活用したICTの推進
小売業
- 顧客ニーズ多様化に対応させた革新的スタジオ写真の提供事業
- 加工食品開発における新たな分析ニーズへの対応
- 被災農タブレット端末を使った地域密着型企業向け次世代型ポイントカードシステムの試作
- 開発地復興に寄与する国産飼料米を利用した6次産業化ビジネス
- 生花の鮮度を保持し24時間いつでも顧客ニーズに迅速に安定供給する葬儀花の専門店ヘ
- タブレット端末を使った地域密着型企業向け次世代型ポイントカードシステムの試作開発
第18次からの変更点は?
1. 申請枠と補助金額の変化
第19次公募では、申請枠が大きく見直され、これまでの「省力化枠」「製品・サービス高付加価値化枠DX・GX」が廃止され、以下の2つの枠に統一されました。
補助金額についても、以下のような変更が加えられています。
- 下限額の設定
補助金の下限額が100万円に設定され、より小規模な事業でも申請しやすくなりました。
- 51人以上の事業者枠の拡充
従業員数51人以上の事業者に対する補助枠が新設され、大規模な事業者も支援を受けやすくなりました。
- 最低賃金引上げ特例の新設
最低賃金の引上げを実施する事業者については、補助率が通常より高くなる特例措置が追加されています。
2023 年 10 月から 2024 年 9 月までの間で、3 か月以上、補助事業実施場所で雇用している全従業員の うち、事業実施都道府県における最低賃金+50 円以内で雇用している従業員が 30%以上いること。
第18次 補助上限額 | 第19次 補助上限額(補助下限額100万円) |
---|---|
5人以下 750万円(850万円) | 5人以下 750万円 |
6~20人 1,000万円(1,250万円) | 6~20人 1,000万円 |
21人以上 1,250万円(2,500万円) | 21~50人 1,500万円 |
― | 51人以上 2,500万円 |
2. 基本要件の変更
①給与支給総額の年平均成長率1.5%→2.05に引き上げ
補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、 従業員(非常勤を含む。以下同じ。)及び役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を 2.0%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること、 又は 従業員及び役員それぞれの 1 人あたり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金 の直近 5 年間(2019 年度を基準とし、2020 年度~2024 年度の 5 年間をいう。)の年平均成長率(以下 「1 人あたり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること。が必要になりました。
②「一般事業主行動計画の公表」が追加(21名以上の場合のみ)
「次世代育成支援対策推進法」第 12 条に規定する一般事業主行動計画の策定・公表を行うこと。具体的には、申請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を 支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した一般事業主行動計画を公表することが必要になりました。
※一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に掲載するにあたっては、1~2 週間程度の期間を要しますので早めに着手しましょう
3.事業実施期間が交付決定日から10 か月に延長
交付決定日から 10 か月(ただし採択発表日から 12 か月後の日まで)
前回第18回は事業実施期間が短かったですが、第19回は年度をまたぐ事業実施が可能となりました。
4.事業計画書の提出形式が変更
第18次は、所定のWord様式に事業計画書を作成し電子申請システムへアップロードする方法でしたが、第19次では電子申請システム(jGrants)上で本文を直接入力し、図表等はA4判3ページ以内のPDFを添付のみとなっています。今回一番大きな変更かもしれません。
まとめ
2025年のものづくり補助金第19次公募は、革新的な製品開発や生産プロセス改善を目指す中小企業や小規模事業者にとって、大きなチャンスです。公募は令和7年2月14日に開始され、申請受付は4月11日から4月25日までとなっており、採択結果は7月下旬に発表される予定です。
基本要件や加点項目には、申請後すぐに反映されないものもあります。早めの準備を行うことが大切です。
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