
今回は環境省の令和7年度補正予算を解説します。一般会計と特別会計を合わせた環境省所管の予算総額は4,875億円です。
今回の目玉は、昨年度も実施された住宅の「断熱窓改修」への巨額投資(1,125億円)です。また、太陽光パネルやEVバッテリー、プラスチックといった「資源循環」分野にも、設備導入等への支援が用意されています。
1. 「断熱窓」改修と脱炭素志向型住宅の導入
家庭部門のCO2排出削減に向け、住宅の断熱性能を高める取り組みに重点的に予算が配分されています。
断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業
- 予算:1,125億円
- 概要:既存住宅における窓(ガラス・サッシ)の断熱改修工事(内窓設置、外窓交換、ガラス交換)等に対して補助を行います。
- ポイント:環境省の資料によれば、過去の事業(先進的窓リノベ2024事業)を活用した消費者の約95%が「満足」と回答しています。補助対象は住宅の所有者、民間事業者及び団体等となっています。
住宅・建築物の脱炭素化(ZEH・ZEB等の普及)
- 予算:808億円
- 概要:業務用ビルや公共施設のZEB化、およびZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準の水準を大きく上回る省エネ性能を有する新築住宅(GX志向型住宅)の導入などを幅広く支援します。

2. リサイクル高度化設備と再生材利用の促進
脱炭素社会と循環経済への移行に向け、リサイクル設備の導入支援に加え、喫緊の課題であるリチウムイオン電池の発火事故対策にも予算が配分されています。
高度化設備導入等促進事業
- 予算:31億円
- 概要:プラスチック、太陽光パネル、金属資源などのリサイクルを行うための省CO2型資源循環高度化設備等の導入を支援します。
リチウムイオン電池等の火災事故防止・分別回収対策
- 予算:13億円
- 概要:リサイクル現場等で頻発しているリチウムイオン電池による火災事故を防ぐため、安全な分別回収スキームの構築や、処理体制の整備を支援します。
資源循環ネットワーク形成及び拠点の構築調査・実証
- 予算:3.76億円
- 概要: 再生材供給サプライチェーンの強靱化を目指し、リサイクルのためのネットワーク形成や大規模・集約的な再生材製造施設の構築に向けた調査・実証等を行います。
3. ビルの省エネ改修と「クーリングシェルター」
防災拠点や避難施設への再エネ設備等導入支援
- 予算:40億円
- 概要:災害時の避難施設やクーリングシェルター(指定暑熱避難施設)を対象に、太陽光発電や蓄電池、高効率空調(断熱改修含む)の導入を支援します。
- ポイント:クーリングシェルターの普及に向けた高効率空調導入支援(省CO2化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業)では、補助率1/3、上限1,000万円での支援が予定されています。
サステナブル倉庫モデル促進
- 概要:営業倉庫において、省人化機器(無人フォークリフト等)と再エネ設備(太陽光発電設備等)を同時に導入する場合に補助を行います。

4. クマ対策と災害廃棄物処理
クマ対策(指定管理鳥獣対策事業交付金等)
- 予算:34億円(指定管理鳥獣対策事業55億円の内数)
- 概要:クマ類の捕獲等の強化や、緩衝帯の整備、誘引物の管理、ICTを活用した出没対策などを支援します。
災害廃棄物処理
- 予算:565億円
- 概要:令和6年能登半島地震や豪雨災害等により発生した家屋の解体や、廃棄物の収集・運搬及び処分に要する費用を補助します。
5.環境対策を経済成長に変える投資
今回は環境省の予算を解説しました。断熱窓への改修支援や、資源循環のための設備投資支援など、環境対策を進めながら経済活動を活性化させるための施策が盛り込まれています。特に1,125億円が計上された断熱窓改修は、高い顧客満足度も示されており、関連事業者にとって大きな機会となりうるでしょう。
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