
農林水産省の補正予算解説の2回目は、食品メーカー、卸・小売、物流、外食事業者などに向けた「流通・加工・輸出」分野がテーマです。キーワードは「海外市場への挑戦」と「国内回帰(国産化)」。円安や海外需要を取り込むための輸出向け施設整備(HACCP対応など)や、輸入リスクに備えた米粉などの国産原料転換に手厚い支援が用意されています。また、人手不足に悩む飲食・物流業への省力化投資も見逃せません。
1. HACCP施設整備と海外商流の獲得
輸出向けHACCP等対応施設整備
- 予算:60億円(輸出産地育成対策 総額129億円の内数)
- 概要:食品製造事業者が、輸出先国の厳しい衛生基準(HACCP)や宗教的要件(ハラール等)に対応するために行う、施設の改修や機器の導入を支援します。輸出拡大を目指すメーカーにとって必須の補助金です。
サプライチェーン連結強化
- 予算:25億円
- 概要:現地の商流(スーパーや外食チェーン)に入り込むため、生産から現地販売までを一気通貫でつなぐサプライチェーン構築の実証を支援します。コールドチェーン機器の導入なども対象です。

2.米粉や国産肥料への転換投資
米粉の利用拡大
- 予算:20億円
- 概要:小麦の代替として注目される米粉の普及に向け、新商品開発や、製粉・製造ラインの増設・機器導入を支援します。パンや麺、菓子メーカー等の新事業展開を後押しします。
国内肥料資源の利用拡大
- 予算:70億円
- 概要:輸入に頼る化学肥料を減らすため、下水汚泥や家畜排せつ物(堆肥)を肥料として活用する取り組みを支援します。堆肥のペレット化施設や、広域流通に必要なストックヤードの整備が含まれます。
3.ロボット導入や飲食店の生産性向上を支援
食品産業の省力化投資
- 予算:3億円(全体)
- 食品製造:AIやロボットを活用した製造ラインの省人化・自動化を支援します。
- 飲食業:中小の飲食事業者が労働生産性を高めるためのシステム(モバイルオーダーや配膳ロボット等)の導入を支援する枠組みも用意されています。
卸売市場の緊急整備
- 予算:78億円
- 概要:老朽化した卸売市場の再編に加え、物流効率化のための自動搬送車(AGV)導入や、伝票電子化などのDX投資を支援します。

4.「2024年問題」対応と食料安保の強化
食品物流の合理化
- 予算:20億円
- 概要:トラックドライバー不足(2024年問題)に対応するため、パレットの標準化や、中継物流拠点の整備、モーダルシフト(鉄道・船への転換)に必要な機器導入を支援します。
食料備蓄と民間在庫調査
- 予算:4億円
- 概要:不測の事態に備え、民間企業が持つ食料在庫(小麦・大豆等)の実態調査や、シミュレーションモデルの構築を行います。
5.食のサプライチェーン全体を強くする投資
今回は、農林水産省予算の中から加工、流通、販売に関わる施策を解説しました。HACCP対応施設の整備や、米粉ラインの増設といった「設備投資への補助」が手厚く、食品メーカーや加工業者にとっては事業拡大のチャンスです。また、飲食店の省力化支援や物流DXなど、サービス産業の生産性向上にも目配りされた予算となっています。
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