人手不足が叫ばれる中、企業にとって労働⼒の確保と労働者の⽣産性の向上は切実な課題の一つです。労働者が能力を最大限に発揮するためには、心身の健康が不可欠ですが、厚⽣労働省の令和5年の「労働安全衛⽣調査(実態調査)」によると、仕事や職業⽣活に関して強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合は82.7%に上っています。職場のストレスが労働者の健康を脅かし、モチベーションや生産性の低下、ひいては離職・休職へとつながると、組織の⽣産性にも影響を及ぼしかねません。そこで経済産業省は、こうした課題を解決し、中小企業の「心の健康投資」の拡大を目指して、先端技術を活用したメンタルヘルスサービスのサービス利用料を補助する事業を実施中です。今回は、本事業の概要をご紹介します。 01 健康経営と健康投資 本題に入る前に、健康経営と健康投資の考え方をご紹介します。 健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。そして、従業員の健康の保持・増進に向けた取り組みが、将来的に収益性などを高める投資であるという考えのもと、こうした取り組みに充てる費用を