国内外を問わず、中小企業が事業展開を図る際、今や知的財産の保護と活用は事業展開を進めるうえで欠かせないテーマとなっています。模倣品による損失防止、海外パートナーとの交渉材料、信頼性の裏付けとしての権利取得など、知財は事業の根幹に関わる戦略資源となります。 本記事では、特許庁やJETRO、自治体が提供する多様な支援制度のうち、主に海外展開や権利化に関わる主要事業を取り上げます。制度の違いや活用場面を明確にしながら、中小企業の皆さんが「自社にとって最適な選択肢は何か」を判断しやすくなるような情報をお届けします。 1 中小企業も知財戦略が必要 1.1 知財が企業競争力の源泉となる時代 知的財産は、模倣防止(海外での模倣品流通を防ぐ)や信用獲得(技術力の裏付けとしての特許取得など)、交渉力の向上など、企業の競争力を支える重要な資産です。特に中小企業においては、限られたリソースの中で知財をどう守り、どう活用するかが事業の成否に直結します。 1.2 制度の全体像:「攻める」と「守る」の2軸構成 本記事でご紹介する知