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補助金・助成金

bizrize

2025.05.02

【2025年最新版】宿泊業・観光施設が活用すべき観光庁の補助金・支援策まとめ(後編)

観光産業に欠かせぬデジタルマインド

­­ーー観光事業者らを支える施策紹介【後編】

観光産業に関する主な補助事業紹介の【後編】では、デジタルノマドや観光DXなど、昨今の観光業界注目のキーワードに関連する施策を解説します。

前編はこちら〉〉

01 観光地・観光産業における人材不足対策事業

事業目的

設備やサービス導入による業務効率化で人員の再配置を促し、宿泊施設の人材不足を解消

主な補助対象経費

人手不足解消につながる以下のような設備投資に要する経費

  1. 予約・デスク業務効率化
    1. PMS、PMSオプション、宿泊予約システム、サイトコントローラー、チャットボット、SMS送信サービス、レベニューマネジメントシステム、会計ソフト
  1. 清掃業務効率化
    1. 清掃ロボット、清掃管理システム
  1. その他業務効率化
    1. 配膳ロボット、スマートロック・カードロック、施設内情報表示システム、翻訳・通訳システム、POSレジ、電子宿帳システム、キャッシュレス決済端末、在庫管理システム
補助対象事業者

旅館業法の許可を受けた宿泊事業者

補助上限額

1施設当たり500万円

補助率

1/2

一次公募の受付終了日時

参加申込締切:2025年5月23日(金)17:00

計画申請受付締切:2025年5月30日(金)17:00

事業の実現により期待される効果
  1. 省人化による人件費の抑制
  2. 従業員の負担軽減と労働環境の改善
  3. 業務効率化による生産性の向上
  4. 顧客対応の質の向上
  5. 人員の再配置とサービス水準向上
補助対象となる施設数の上限は?

申請事業者が複数の宿泊施設を経営している場合、1事業者につき3施設まで申請することが可能です。ただし、施設ごとに申請する必要があります。

02 デジタルノマド誘客に向けた補助事業

事業目的

地域の特性とデジタルノマドのニーズに合わせた受入環境を整備し、とりわけ長期滞在型デジタルノマドの継続的な誘致・受入を可能とすることで、地域消費の拡大やビジネスへの経済効果を高める

「デジタルノマド」とは?

ITを活用し、各国を転々としながら働く国際的なリモートワーカーのことです。デジタルノマド市場は世界的に急成長しており、世界各国が誘致に向けた専用ビザを発給しています。日本ではデジタルノマド誘致に向けた在留資格が2024年4月に施行されました。ノマド→ロングステイによる地域企業とのビジネス交流→定住へと誘致できれば、長期滞在による消費拡大やビジネスへの経済効果が期待できます。つまり、デジタルノマド誘致は観光促進にとどまらず、地域経済への長期的・直接的な好影響をもたらす可能性があるのです。

主な補助対象経費
  1. デジタルノマド向けワークスペースの新設やデジタルノマドのニーズにあった設備設置等のための内装整備に係る費用
  2. ワーク環境の世界との時差対応として、24 時間利用にする為のスマートロックの導入や防犯カメラ設置等の導入に係る経費
  3. デジタルノマド受入に必要な人材の育成費、受入側の関係者を対象にしたセミナーや研修等の開催に係る経費
  4. SNS等を活用したデジタルノマドが必要とする情報の発信に係る経費
  5. デジタルノマドが集まるイベント等への参加費や広告出稿に係る経費
注意

対象経費によっては、事業計画の中で設定された目標に関する効果検証や、目標の達成状況を踏まえた次年度以降の誘致計画見直しが求められます。

補助対象事業者

地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、地域振興を目的とした民間事業者等の組織、協議会等

注意

申請主体が地方公共団体ではない場合、地方公共団体との連携を必須とし、地方公共団体の実施体制への参画に関する趣意書を提出する必要があります。申請主体がDMOの場合も、地方公共団体からの趣意書の提出を求める場合があります。

補助上限額

1事業当たり500万円

補助率

1/2以内

受付終了日時

2025年5月30日(金)17:00

事業の実現により期待される効果
  1. 長期滞在型のデジタルノマドを誘致できれば、宿泊・飲食・交通・レジャーなどの地域消費が増加。ビジネスインバウンドとしての側面も強く、現地企業との交流や投資機会の創出も
  2. 「デジタルノマドフレンドリーな地域」としてのブランド力を確立し、海外からの誘客を強化
  3. 地域の特性を活かしたワーク&ライフスタイルの提案により、移住促進につながる可能性

03 全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業

事業目的

宿泊施設の収益向上に資するデータ活用施策として、個別の施設単位で申請可能なPMSやレベニューマネジメントの導入を支援。デジタル技術の活用により、観光産業の収益・生産性向上を図り、稼げる地域・稼げる産業を創出する

  1. 観光地のコンテンツの販路拡大・マーケティング強化
    1. 重要:1は地域一体でのデータ活用に向けたデジタルツールの導入に係る事業が補助対象です。
    2. 補助対象となる主なデジタルツール:直販及び地域サイト構築ツール(予約・決済が完結するものに限る)、デジタルチケット、キャッシュレス決済端末など
    3. 補助対象事業者:地方公共団体、DMO、観光協会等および観光事業者など。観光事業者等が計画を申請する場合は、複数の事業者によって事業を実施することが必要です。

地域一体とは?

地方公共団体、DMO、観光協会等または観光事業者等が同一地域内の複数事業者を取りまとめ、連携するものを想定しています。地域内の複数の事業者が連携し、データを共有・活用することで、より効果的な販路拡大やマーケティング戦略を立てることが期待できます。例えば、地域全体の観光客の動向を把握し、共通の課題に対応したり、新たな魅力を共同で発掘・発信したりすることが可能になります。同一地域の事業者間で連携が図られている場合、審査において優先的に採択される可能性があります

  1. 観光産業の収益・生産性向上
    1. 宿泊事業者における観光産業の収益・生産性向上に資するデータ活用に向けたデジタルツールの導入に係る事業が補助対象となる。
    2. 補助対象となる主なデジタルツール:PMS(顧客予約管理システム)、レベニューマネジメント、宿泊予約システムなど
    3. 補助対象事業者:宿泊事業者(2は、個別の宿泊施設単位で申請可能な施策であり、1の地域一体型のDX推進(観光地全体でのデータ活用施策)とは区別されます)
    4. 1と2それぞれの補助上限額:1,500 万円補助率:1/2
注目

2は、宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインに基づく登録制度において登録を受けた事業者、または登録申請をした事業者は、優先的に採択される可能性があります。

  1. 専門人材による伴走支援
    1. DX活用に向けた計画策定、デジタルツールの導入、導入後の活用等における専門人材の伴走支援を受けるための経費を支援する。
    2. 主な補助対象事業:観光DXに関する計画の策定、旅行者の利便性向上や観光産業の生産性向上等に資するデジタルツールの導入、旅行者の利便性向上や観光産業の生産性向上等に向けたデジタルツールの導入後の活用
注目

3では、以下の事業に関する伴走支援及び地域一体で観光DX推進に取り組む事業に関する専門人材の伴走支援が優先的に採択される可能性があります。

・旅行者の利便性向上や周遊促進(地域サイト、デジタルマップ等)

・観光産業の収益・生産性向上(PMS・レベニューマネジメント等)

・観光地経営の高度化(CRM・DMP 等)

専門人材とは?

上記の、優先採択される可能性がある事業領域に関連するノウハウやスキルを持つ人材のことです。補助対象事業者が自ら専門人材を選定する必要がありますが、見つけられない場合は、計画申請前に事務局に相談してください。

補助対象事業者

地方公共団体、DMO、観光協会等および観光事業者等

補助上限額

800 万円
複数名の専門人材の派遣を行う場合も、補助額の上限は合計で800万円

受付終了日時

参加申込受付:2025年6月3日(火)17:00まで
※2025年5月15日(木)13:00までにメールで計画申請を提出した事業者は、参加申込は不要

事業計画の提出締切日時:2025年6月6日(金)17:00
※2025年5月15日(木)13:00 までに提出する場合は、メールに提出書類を添付し提出する。2025年5月15日(木)13:00 以降に提出する場合は、特設ウェブサイトのマイページから提出する。

事業の実現により期待される効果
  1. デジタル技術を活用した新たな販路の開拓
  2. データに基づいた効果的なマーケティングの実施
  3. 業務プロセスの効率化による生産性の向上とコスト削減
  4. 顧客満足度の向上とリピーターの増加
  5. 収益力の強化

(出典:本事業に関する特設ウェブサイト

04 持続可能な観光の促進に向けた受入環境整備事業

事業目的

事業目的:自然環境や文化などの地域資源の保全・活用や、オーバーツーリズムの未然防止にかかる整備を行い、地域と旅行者の双方がメリットを得られる持続可能な観光を促進する

主な補助対象事業
  1. 地域資源の保全や活用に資する整備
    1. 自然保護のための保護柵、遊歩道等の整備
    2. 景観に配慮した工作物の整備
    3. 光害防止のための照明の整備
    4. バイオトイレ等の整備
  1. オーバーツーリズムの未然防止・抑制に資する整備
    1. 地域における受入環境の整備や増強整備
    2. 需要の分散・平準化に必要な整備
    3. マナー違反行為の防止や抑制に必要な整備
    4. 地域住民と協働した観光振興の取組
補助対象事業者

地方公共団体、DMO、民間事業者等

補助上限額

5,000万円

補助率

補助対象経費の1/2
※補助率は原則1/2(50%)だが、補助対象事業者となる地方公共団体又はDMOが日本版持続可能な観光ガイドラン(JSTS-D)ロゴマークを取得している場合又は2025年12月末までに取得することを誓約する場合は、1/10(5%)が加算され、最大55%となる。

受付終了日時

2025年6月10日(火)17:00(必着)
※予算が無くなり次第、公募受付終了

事業の実現により期待される効果
  1. 自然環境や文化財の保護を強化し、持続可能な観光地としての価値向上
  2. 持続可能な観光施策を通じて、地域の雇用創出や経済活性化に貢献
  3. 混雑状況の可視化や予約システムの導入により、観光客の分散促進
  4. バイオトイレや給水機の設置により、廃棄物削減と水資源の有効活用を推進

(出典:本事業に関する観光庁のウェブサイト

よくある質問

複数の補助金に同時申請できますか?

原則として、事業内容が重複する補助金を併用することは認められません。ただし、補助対象が明確に異なる場合は、他の補助金との併用が可能な場合もあります。

すべての支出が補助対象になりますか?

汎用的な事務機器の購入など、経費として認められないものがあります。

採択後、すぐに事業に着手してよいでしょうか?

原則として「交付決定後」に対象事業に着手する必要があります。交付決定前に契約・発注・支出した場合、補助対象外となるため注意が必要です。

まとめ

コロナ禍を経て再生が進む観光地や観光業界。しかし、施設整備の遅れや対応にあたる人手不足のため、歯がゆい思いをしている企業等も多いのではないでしょうか。【前編】では、ユニバーサルツーリズムやインバウンド、【後編】では観光DXやデジタルノマドといった観光産業で注目のキーワードにまつわる補助事業を紹介しました。皆さんが抱える課題に応じた最適な支援策を活用し、事業の成長と地域観光の底上げを図りましょう。

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BizRize事務局

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