インバウンド需要回復の波に乗る!
ーー観光事業者らを支える施策紹介【前編】

インバウンド需要の回復基調が続き、また、国内旅行の消費額や旅行者一人当たりの支出額も増加傾向にあるなど、観光業界には新たなビジネスチャンスが広がっています。一方で、人材確保や施設整備、デジタル対応など、乗り越えるべき課題も少なくありません。こうした課題を克服し、競争力を強化することを目的とする主な補助金制度を、前編と後編に分けて、ご紹介します。前編は、インバウンド関連の施策等をまとめました。皆さんが抱えている課題と、それにマッチした支援策を選ぶためのヒントにしてください。

01 観光地・観光産業におけるユニバーサルツーリズム促進事業
事業目的
施設のバリアフリー化を進め、高齢者等の旅行需要を喚起することで収益向上を図る
補助対象事業者
- 宿泊事業者(旅館業法の許可を受けた者および申請予定者)
- 観光事業者(観光施設を所有または運営する者および開業予定者)
補助対象施設
- 宿泊施設(ホテル、旅館、ゲストハウス、民宿)
- 観光施設
- 文化施設(博物館、美術館、水族館、植物園、動物園、資料館、公園・庭園、展示場等)
- 歴史施設(遺跡、名所・旧跡、城郭、歴史的建造物等)
- 娯楽施設(テーマパーク・遊園地、観光農園・牧場、レジャーランド、海水浴場、スキー場、スポーツ施設、郷土芸能関連施設、展望台等)
- 食事買物施設(お土産店、農産物直売所・食堂、レストラン、道の駅等)
- 温泉施設(温泉、共同浴場、クアハウス、足湯等)
- その他施設(体験施設、観光案内施設等)
- 申請できる施設数に上限はありますか?
-
同一の補助対象事業者による申請の上限は3施設です。
主な補助対象事業
- 施設改修
出入口、廊下、傾斜路、エレベーター、トイレ、駐車場、浴室・案内表示等のバリアフリー整備<段差解消・スロープ設置、幅員確保等>、授乳室等
- 客室改修(宿泊施設のみ)
以下の2つの整備内容のいずれかに該当する客室改修が対象
A:車椅子使用者用客室整備
バリアフリー法に定められる「車椅子使用者用客室」の水準を満たすための施設整備
B:一般客室整備
バリアフリー法に定められる「一般客室」の水準を満たすための施設整備
- 備品購入
可搬性のあるもの<設置工事を伴わないもの>が対象
貸出用車椅子、浴槽用手すり、おむつ交換台、電動ベッド、折り畳み式スロープ等
補助上限額(下図の通り)

(出典:公募要領)
補助率
補助対象経費の 1/2
受付終了日時
2025年5月16日(金)17:00
事業の実現により期待される効果
- 誰もが訪れやすい環境づくりが進み、長期滞在型観光やリピーターが増加
- 満足度の向上により口コミやSNSでの好評なレビューが増え、集客力が強化される
- 観光地の持続可能な発展を追求するという国際的なトレンドへの適応
02 宿泊施設サステナビリティ強化支援事業
事業目的
サステナビリティ向上により、訪日外国人旅行者に選ばれる宿泊施設を目指す
主な補助対象経費
- 省エネ対策に資する設備・備品への入れ替え
- 省エネ型空調
- 省エネ型ボイラー、配管
- 二重サッシ
- 節水トイレ
- 照明機器
- 環境負荷低減や、CO2 削減に寄与する新たな設備の導入
- 太陽光発電、蓄電設備
- 温室効果ガス排出量計測システム
補助対象事業者
宿泊事業者(旅館業法の許可を受けた者)
補助上限額
1,000 万円
補助率
1/2
受付終了日時
2025年5月30日(金)17:00
- 修理費用の申請は可能ですか?
-
申請できません。この事業の補助金は宿泊設備の買い換えが主な対象であり、修理費用は対象外です。
03 インバウンド受入環境整備高度化事業
事業目的
訪日外国人旅行者の受け入れ環境を充実させ、旅行者の満足度を高めることにより、広域周遊の促進と消費額の増加を図る

(出典:観光庁のリーフレット)
主な補助対象事業
地方運輸局長等に提出し認定を受けた高度化計画に基づき、以下の事業などが補助対象となります。
- 賑わい環境の創出
- ナイトタイムエコノミーの環境整備、イベント開催拠点の整備、廃屋撤去
- 新たなニーズへの対応・新技術の活用
- ワーケーション環境の整備、 ICTを活用したゴミ箱の整備、 多様な移動手段の整備(電動キックボード等)、 飲食店・観光案内所等を対象としたロボット等の導入
- ストレスフリー・快適な旅行環境の整備
- 多言語案内の整備、 観光スポット等の掲示物等の多言語化、無料公衆無線LAN環境の整備、飲食店等における多言語対応・先進的決済環境の整備、トイレの高機能化・洋式便器の整備、手ぶら観光カウンターの機能向上
- ユニバーサル対応
- 段差の解消、子供連れ環境の整備、 近距離移動支援モビリティの整備 ü拠点機能の整備・改良: 外国人観光案内所の整備・改良、 観光スポット情報・交流施設の整備・改良、 EV急速充電器の整備、 既存おもてなし観光施設(トイレ含む)の魅力度向上のための整備
-
高度化計画とは何ですか?
-
訪日外国人旅行者の増加が見込まれる観光地で、駅から個々の観光スポットに至るまでの「まちあるき」や広域的な周遊に係る環境整備を一体的に進める事業を実施し、ストレスフリーで快適に旅行を満喫できる環境の整備を図る計画のことです。
補助対象事業者
高度化計画に記載された事業を実施する者
補助率
補助対象経費の1/2以内(原則)
受付終了日時
2025年5月30日(金)17:00
※予算が無くなり次第、公募受付終了
事業の実現により期待される効果
- 多様なニーズに対応した質の高い受入環境の実現
- 地域内の周遊性の向上と広域観光ルートの形成
- 消費単価の向上と地域経済への貢献
- 訪日外国人の満足度を高め、また日本を訪れたいと思ってもらえる
- 地域のブランドイメージ向上
04 地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業
事業目的
災害時や医療機関における多言語対応の促進、自治体による危機管理の強化により、地方を訪れる訪日外国人旅行者の安心感を高める
- 災害時の観光施設等における避難所機能の強化
- 災害時の観光施設等における多言語対応の強化
- 1と2の主な補助対象事業
- 訪日外国人旅行者の一次的な安全・安心確保のための非常用電源装置や多言語対応AED等整備、多言語機能強化等の環境整備
- 補助対象事業者
- 観光案内所・観光施設等を設置し、若しくは管理する者、観光地における店舗・事業所等を運営する者
- 補助対象となる主な施設
- 神社、城跡、庭園又は公園、動植物園又は水族館、テーマ公園又はテーマ施設、道の駅
- 1と2の主な補助対象事業
- 訪日外国人患者受入機能の強化
- 補助対象事業者:病院・診療所等を設置し、又は管理する者
- 補助対象施設:病院、診療所、歯科診療所
- 主な補助対象事業:訪日外国人旅行者が医療機関を受診する場合の利便性向上に向けたキャッシュレス決済導入、医療機関内の多言語化等の環境整備
- 災害時等における観光危機管理の強化
- 補助対象事業者:地方公共団体
- 主な補助対象事業:訪日外国人旅行者を含めた観光客に対する災害時の対応方針等の計画策定支援
補助率
補助対象経費の2分の1以内。ただし、上記「4.災害時等における観光危機管理の強化」は、経費の2分の1以内かつ上限500万円
受付終了日時
2025年9月26日(金)17:00
※予算が無くなり次第、募集を終了する
事業の実現により期待される効果
- 訪日外国人旅行者の安全・安心に対する信頼性の向上
- 災害発生時における迅速かつ適切な情報提供と避難誘導
- 地方への誘客促進と周遊の促進
- 訪日外国人旅行者の満足度向上とリピーターの増加
- 地域経済の活性化

(出典:観光庁のリーフレット)
事業フロー
各事業の実施に向けた一般的な流れは以下の通りです。それぞれの締切日を確認しながら、手続きに遅れることがないよう留意してください。
事業計画の提出
計画採択
書類に不備がないか、事業の目的に沿った計画となっているかなどが審査されます。採択となった時点では、まだ補助事業に着手(契約・納品・発注先への支払い等)することはできません。
交付申請
補助金を受け取るための手続き。申請書のほか、振込先に関する書類、経費の見積書などを添付します。
交付決定
採択事業者に交付決定が通知されます。
事業の実施
交付決定の通知を受けた後、事業計画に基づき補助事業を実施することができます(※交付決定通知前に実施した事業に係る経費は認められません)。なお、事業ごとの実施期間は決まっています。事業者は、この期間内に事業を完了させる必要があります。
完了実績報告
補助事業が終了した後、補助金の額を確定させるために提出します。
補助金交付・精算
完了実績報告が審査され、受領できる補助金の額が確定します。
まとめ
今回ご紹介した、旅行者の満足度向上や、持続可能性の追求といった観点は、観光における国際トレンドと言え、リピーター獲得に欠かせない視点ではないでしょうか。後編では、観光産業における人材不足の解消や観光DX(デジタルトランスフォーメーション)推進につながる施策を取り上げます。
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