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2025.05.22

「廃業=破産」だけじゃない! 中小企業活性化協議会が再チャレンジ事例集を公表

皆さんは、「中小企業活性化協議会」(活性協)をご存じでしょうか。企業や経営者を取り巻く環境は厳しく、多くの課題を抱えています。こうした厳しい状況下で、事業の継続が困難になるケースも残念ながら存在します。しかし、事業をたたむことになったとしても「再スタート」を図ることが可能な場合もあります。そんな再スタートへ向けた支援を行っているのが活性協です。今回は活性協と、活性協が公表した「再チャレンジ事例集」について、ご紹介します。

01 「廃業=破産」にとらわれない

事業の継続が困難になると、「廃業=破産」というイメージにとらわれがちです。しかし、「円滑な廃業」や「軟着陸的な破産」といった道を選ぶことで、従業員の雇用を守ったり、経営者自身が再スタートを切ったりすることが可能なケース、すなわち「再チャレンジ」の可能性が残されている場合があります。活性協は、事業再生等が極めて困難な中小企業や、保証債務に悩む経営者・保証人等を対象とした「再チャレンジ支援」を行っています。

(出典:再チャレンジ事例集)

02 中小企業活性化協議会の活動

2022年4月、中小企業再生支援協議会の支援業務部門と経営改善支援センターが統合され、中小企業の収益力改善から再チャレンジまでを幅広く支援する「中小企業活性化協議会」となりました。活性協は国が産業競争力強化法の規定に基づき、すべての都道府県に設置している公正中立な機関です。その設置場所(委託先)は、都道府県庁所在地の商工会議所や県の公益財団法人等(認定支援機関)となっており、地域全体でバックアップする体制が整えられています。

注目

中⼩企業活性化協議会連絡先⼀覧(2025.05現在)

  • 窓口相談(第一次段階)は無料です。第二次段階以降の支援で外部専門家が関与する場合など、費用負担が発生する場合があります。
  • 相談内容及び相談申込みについての秘密は守られます。
  • 企業がすでに民事再生や破産の申し立てをしている場合、企業自体は支援の対象になりませんが、保証人が保証債務の整理について相談することは可能です。
  • 個人事業者の方も相談できます。

03 5つのソリューション(解決策)

活性協は、大きく5つのソリューション(解決策)を提供しており、活性協自身が支援を手掛ける類型と、税理士などの専門家を活用した類型の2類型があります。

活性協自身による支援
収益力改善支援経営環境の変化に伴う収益力の低下などに対し、現状の課題・問題点を分析し、収益力改善に向けた計画策定を支援します。
プレ再生支援・再生支援深刻な経営状況のため金融支援を得る必要がある中小企業を対象に、事業面・財務面の経営再建に向けた取り組みを支援します。  
再チャレンジ支援収益力の改善や事業再生等が極めて困難な中小企業や、当該企業の保証債務に悩む経営者・保証人が円滑な廃業や保証債務の整理を行うための取り組みを支援します。
民間プレーヤーを活用した支援
早期経営改善計画策定支援 (バリューアップ支援事業)国が認定した専門家の支援を受けて経営改善計画を策定する場合、専門家に対する支払い費用の一部を補助します。
経営改善計画策定支援 (405事業)通常枠・中小版GL枠国が認定した専門家の支援を受けて本格的な経営改善計画等を策定する場合、専門家に対する支払い費用の一部を補助します。

04 再チャレンジ事例紹介

今回、活性協が事例集を公表した再チャレンジ支援では、事案により以下のような枠組みを検討することができます。

出典:再チャレンジ事例集

では、事例集に掲載されている一例を見てみましょう。

業種 学習塾経営
売上高 約7億円
負債 約10億円
経営悪化の背景 新型コロナウィルスにより授業の中止を余儀なくされたため、授業料収入が減少した
再チャレンジ開始まで 先代の経営者が事業再生に向けて相談をしていた。その後、先代が亡くなり、経営を引き継いだ後継の経営者は、自社の財務状況に鑑み事業再生を断念し、再チャレンジに向けた取組みを開始した。
再チャレンジで目指したゴール 授業の中断をなるべく回避し、生徒への迷惑を最小限に抑える。希望した従業員(講師ら)の雇用を継続する
結果 従業員の雇用継続に合意する企業への事業譲渡に合意することができた授業を中断することなく、事業譲渡を行うことができた。公租公課の滞納があったため私的整理の枠内では処理しきれず、事業譲渡完了後、企業については破産、経営者については相続放棄で対応した。
元経営者からのメッセージ もっと早期に的確な支援を受けていれば、もっと良い解決策があったかもしれない。経営悪化の際は、早い段階での相談と支援受け入れがポイントだと思う。
成功要因 再チャレンジで目指したいゴールを明確にしたため、そのゴールに沿った意思決定ができ、専門家の支援方針も明確になった。事業譲渡先の選定、交渉等に関する適切な支援を専門家から得ることで、早期に事業譲渡先が決まった。

05 成功のカギとまとめ

事例集から読み取れる再チャレンジ成功のカギは、以下の2点です。

  1. とにかく早期に相談をする
  2. 再チャレンジ分野に通じた適切な専門家から支援を得る

昨今の厳しい経営環境の中で、事業継続に不安を感じたり、困難な状況に直面したりすることは珍しいことではありません。そのような苦難の状況下にある方々へ、公正中立な立場で支援を提供する機関の一つが活性協です。 活性協が公表したチャレンジ事例集は、再チャレンジ支援を受けることを検討している、あるいは躊躇している企業等に対し、事業の「終わり方」は法的な破産だけでなく、円滑な廃業や、経営者・保証人の再スタートといった、より良い結果につながる事例があることを示すとともに、困難な状況に直面しても希望を失わず、早期に相談することの大切さを訴えているのです。

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