
今回は、賃上げを強力に後押しする2025年度版の賃上げ支援助成金パッケージをご紹介します。賃上げの負担を軽減しながら、従業員のモチベーションアップや企業の成長が期待できる各助成金(主なコース)について、ポイントを分かりやすくまとめました。自社で適用できる制度がないか、ぜひチェックしてみてください。


(出典:厚生労働省の「賃上げ」支援助成金パッケージ チラシ)
目次
- 業務改善助成金
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)
- 働き方改革推進支援助成金
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
- 特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)
- 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース、中途採用拡大コース)
- 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)
- まとめ
01 業務改善助成金
事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上のための設備投資等を支援する助成金です。中小企業・小規模事業者の賃上げを後押しし、持続的な成長に繋げることを目的としています。
助成対象となる経費
生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等(機械設備、POSシステム等の導入、車両(貨物自動車等一定の要件を満たす乗用自動車)、専門家によるコンサルティングなど) 。
助成額・助成率
事業場内最低賃金の引上げ額や、事業場の状況によって異なります。
事業完了期限
原則として交付決定の属する年度の1月31日までですが、やむを得ない理由がある場合は3月31日まで延長される場合があります。
-
既に持っているタブレットで使える営業報告ソフトを購入する場合も対象になりますか?
-
はい、対象となる可能性があります。
助成対象経費は「生産性向上・労働能率の増進に資する」ものであることが要件です。出先で営業報告書を作成できるソフトウェアの導入が業務効率化に繋がると認められれば、対象となる可能性があります。
02 キャリアアップ助成金(正社員化コース)
非正規雇用労働者の正社員化、無期雇用労働者化、または処遇改善に取り組む事業主を支援する助成金です。正社員化コースを中心に解説します。
対象となる労働者
有期雇用労働者、無期雇用労働者、派遣労働者。
正社員化の要件
就業規則等に正社員への転換制度を規定し、実際に転換等を実施すること。多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)への転換も対象となります。
支給額
転換した労働者の雇用形態や企業の規模によって異なります。重点支援対象者の場合は加算があります。
キャリアアップ計画
事前のキャリアアップ計画の作成・提出が必要です。
03 働き方改革推進支援助成金
労働時間の縮減や年次有給休暇・特別休暇の取得促進、勤務間インターバルの導入など、労働時間・休日・休暇に関する課題解決に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する助成金です。労働時間の短縮による賃金低下を防ぐための賃金制度見直しも支援対象となる場合があります。
対象となる取組
労働時間短縮のための設備・機器等の導入、労務管理コンサルティング、休暇制度の導入・改善など。
助成対象経費の例
労務管理ソフトウェア、勤怠管理システム、生産性向上に資する設備・機器など。
助成額・助成率
コースや企業の規模、取り組み内容によって異なります。
04 人材開発支援助成金
従業員のスキルアップやキャリア形成を目的とした職業訓練などを支援する助成金です。訓練期間中の賃金助成や訓練経費の助成が行われます。
対象となる訓練
Off-JT、OJT、eラーニングなど、従業員の能力開発に資する様々な訓練が対象となります。
賃金要件
在籍型出向によるスキルアップ支援の場合、出向前から出向後に賃金を5%以上アップさせる必要があります。ベースアップや定期昇給、賃金改定等も算定対象となります。

05 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
魅力ある職場づくりのために、雇用管理制度の導入や雇用環境の整備を行い、離職率の低下や人材の確保を図る事業主を支援する助成金です。評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度などの導入・実施が助成対象となります。これらの制度整備を通じて、従業員の定着促進やモチベーション向上に繋がり、結果的に賃上げの原資確保にも寄与する可能性があります。
対象となる制度
評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度など。
支給要件
制度を導入・実施し、一定期間後の離職率が目標値を下回ることなど。
支給額
導入する制度の種類や、離職率の改善状況によって異なります。
06 特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)
成長分野等において、一定の要件を満たす求職者(高齢者、障害者、母子家庭の母など)を雇用し、育成する事業主を支援する助成金です。成長が期待される分野での人材確保を促進し、企業の活性化を図ることを目的としています。
対象となる求職者
高齢者、障害者、母子家庭の母、若者、UIJターン就職者など。
対象となる成長分野
情報処理・通信技術者等に該当する業務。
支給額
対象者の種類や企業の規模、育成計画の内容によって異なります。
07 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース、中途採用拡大コース)
離職者の早期再就職を支援する事業主や、中途採用を積極的に行う事業主を支援する助成金です。雇入れ支援コースでは、離職者を早期に雇い入れた事業主に対して助成が行われ、中途採用拡大コースでは、中途採用者の採用数を増加させた事業主に対して助成が行われます。
雇入れ支援コース
ハローワーク等の紹介により、一定の要件を満たす離職者を雇い入れた場合に支給されます。
中途採用拡大コース
45歳以上の中途採用者の採用数を一定数以上増加させた場合等に支給されます。
制度を導入・実施し、一定期間後の離職率が目標値を下回ることなど。
支給額
コースや対象者の種類、企業の規模によって異なります。
08 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)
在籍型出向により、労働者のスキルアップを図る事業主を支援する助成金です。出向元と出向先の双方に雇用契約がある「在籍型出向」を活用し、新たなスキル習得やキャリア形成を支援することで、雇用の安定と事業の活性化を目指します。
「在籍型出向」の活用
出向元に籍を置いたまま、出向先で一定期間勤務し、スキルや経験を習得します。
賃上げ要件
出向労働者の賃金を出向前から出向後に5%以上アップさせる必要があります。
対象となる経費
出向に要する費用の一部(賃金など)。
計画届の提出
事前に出向計画届を労働局に提出する必要があります。

(出典:厚生労働省のガイドブック)
まとめ
今回ご紹介した八つの助成金は、業務改善による生産性向上、非正規雇用労働者の処遇改善、働き方改革の推進、従業員のスキルアップ、新たな人材の確保、離職者の再就職支援、そして在籍型出向によるスキルアップといった、様々な側面から賃上げをサポートするものです。これらの助成金を有効活用しながら、賃上げの実現に向けた取り組みを加速させ、従業員のモチベーション向上、人材の定着、そして企業の持続的な成長へとつなげていきましょう。
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